オールマイティーさが魅力のクロスカブ
地球上でいちばん売れているオートバイといえば、これはホンダ・スーパカブ。世界中のどこへ行っても見かける、郵便・警察・銀行・出前の足であり、お仕事のパートナー。なにせ、生産累計1億台を超えたのが2017年。発売が1958年だから、2018年に生誕60年を迎えたオバケバイクだ。
そして今、スーパーカブファミリーは遊びの足や趣味の乗り物として、どんどん人気が高まっている。街乗りによし、ツーリングによし、仕事にもよし。カブファミリーでロングツーリングは、一種のブームにさえなっている。
中核にいるのは、やはりスーパーカブファミリー史上もっともゴージャスな「ハンターカブ CT125」だ。アウトドアムード満載、走りもどっしり。けれど、しっかりしすぎて、逆にスーパーカブ感が希薄なハンターカブは、もはやカブファミリーではなく、別のオートバイと考える人も少なくない。そこで注目されているのが、「クロスカブ CC110」だ。
ハンターカブと同じく、スーパーカブのバリエーションモデルで、ハンターカブよりも前の2013年に登場。2018年にはフルモデルチェンジを受け、スーパーカブの代名詞ともいえるレッグシールドさえ取り払ったスタイリングにお色直しした。50cc、110ccの2ラインナップだが、やはり公道30km/h規制を受ける50ccよりも110ccの方が、行動範囲も広く使い勝手もイイ。
そのクロスカブが2022年にマイナーチェンジ、最新の排気ガス規制に適合し、エンジンもボア×ストロークを変更してロングストローク仕様に。新たにディスクブレーキを採用、キャストホイール+チューブレスタイヤとした。この2022年モデルが、とにかく完成度が高いのだ!
その新型クロスカブは、走りの印象がガラリと一変。エンジンの回転フィーリングが滑らかで、振動が少なく、回転フリクションを感じさせない特性となった。旧型からトランスミッションがややローギアードに振られているから、ローギアからの発進が力強く、ギアのつながりがいい。トップ4速もローギアードにされているから、最高速ではエンジンの回転数が上がってうるさいのでは? と思いがちだけれど、そこはロングストロークエンジンのおかげもあって、エンジンがうなるほどではない。シフトアップごとに力強く、最高出力が変わっていなくてもパワーアップしたような印象があった。
車体まわりも、スポークホイールからキャストに変更されたことで、走りがカッチリしたわけではない。ただしディスクブレーキの採用で、制動・減速がはるかに良くなった。ブレーキレバーを握り込めばコントロール性はよく、制動力も強い。キャストホイールは、走りの質というよりもチューブレスタイヤを履けるようになった効果が大きく、これはスーパーカブファンが一番喜ぶところかもしれない。
この連載の記事
-
第483回
自動車
【ミニバン売れ筋対決】ホンダ「フリード」とトヨタ「シエンタ」の良いところと微妙なところ -
第482回
自動車
これがBMWの未来! フラッグシップEVの「iX」は乗り心地良すぎで動くファーストクラス -
第481回
自動車
アルファ・ロメオのハイブリッドSUV「トナーレ」はキビキビ走って良い意味で「らしく」ない -
第480回
自動車
独特なデザインが目立つルノーのクーペSUV「アルカナ E-TECH エンジニアード」はアイドルも納得の走り -
第479回
自動車
レクサスのエントリーSUV「LBX」は細部の徹底作り込みで高級ブランドの世界観を体現した -
第478回
自動車
レクサスの高級オープン「LC500 コンバーチブル」は快適さのその先を教えてくれる -
第477回
自動車
BMWの都市型SUV「X4」は直6エンジンならではのパワフルな走りがキモチイイ! -
第476回
自動車
最新のマツダ「ロードスター」は乗った誰もが乗り換えを検討するレベルのデキの良さ -
第475回
自動車
EV=無個性ではない! BMWのEV「iX3」は剛性ボディーが魅力のミドルサイズSUV -
第474回
自動車
ルノーのコンパクトカー「ルーテシア E-TECH エンジニアード」は軽量でパワフルでスポーティー! -
第473回
自動車
ホンダの大人気ミニバン「FREED」に乗ってわかった5つの良くなったポイント - この連載の一覧へ