ボディーサイズからは考えられない燃費の良さ!
まずは普通に走行。見た目は大きいのですが、実際に乗ってみると取り回しの良さに「さすが日本の道を知っている」と関心しきり。今回お借りしたのはハイブリッドのFF仕様で、1.8リッター直列4気筒 DOHC 16バルブのエンジンからは最高出力98PS、モーターからは95PSが出ますから、加速面で不満ナシ。
そして驚かされるのは燃費のよさ! 街乗りで23㎞/Lを記録! 最初、その数字を見た時は目を疑いました。とにかく燃費はミニバン界イチなのでは?
重心が高いので、コーナーリングにはクセがあるのですが、もっとも飛ばしてナンボのクルマではありませんから、普通に走れば問題ありません。乗り心地はかなり柔らかめ。「そうそう、トヨタってこういう感じだよね」という、トヨタの足です。荒れた道では強い衝撃は少ないものの、振動がなかなか収束しない「トヨタらしい動き」といえばご理解いただけるかもしれません。
静粛性が高いのも、ノアの美質。高速道路の巡航でもかなり静かで、快適な旅が約束できます。この静粛性はかなりのもので、おそらく各社ミニバンの中でもトップクラスに入るのでは? その要因の一つは、タイヤからのロードノイズの少ないこと。TOYO TIREのミニバンタイヤは初めての体験だったのですが、こんなに静かなのか、と驚きました。
高速走行と車中泊の実力を試すべく
関ヶ原へ向かった
今回は関ヶ原までの一泊二日の車中泊旅行をしてみることにしました。東名高速で一路、関ヶ原ICを目指します。
当然、アダプティブクルーズコントロールに車線監視機能をオンにして、走行車線を100km/hで巡航となるわけですが、なんとなくですけれど「レーンキープ力が弱い」ような印象。というのも、80km/hで東名の右ルート(下り)や山北区間(上り)を走ったのですが、ちょっと白線から外れるような印象を受けました。
とにかく驚くのは燃費のよさ。高速道路でもリッター19㎞/L台を記録します。これは他社ミニバンよりリッターあたり5㎞ほど上回るものです。トヨタのハイブリッド、恐るべしです。
目的地についたら車中泊です。ノアの場合、2列目と3列目シートのヘッドレストを取り外し、背もたれを寝かせれば、ほぼフラットなベッドができ上がります。ですが、真ん中は空いたまま。ですので「広大な空間」を求める方は、ベンチシート仕様を求めることをオススメします。この状態で実際に寝ようと思ったのですが、完全フラットではないので、何かしらのマットレスが必要になります。さらに言えば、2列目の座面にはクッションを置いてかさ上げをする必要がありそう。ミニバンで車中泊の最大のポイントは、「フルフラットにならない状態」でいかに快適に寝られるか、の工夫になります。
さらに問題は、3列目の背もたれを倒した状態にすると、荷物の場所がほぼないという、運用面で問題が出てくることです。荷物をすべて助手席と運転席に放り込むしかないのですが、周囲にに寝ている人がいる時に、ガサゴソガサゴソしたり、扉の開閉時にピーピー音がでるので近所迷惑に。
一番手っ取り早いのは、3列目をたたんで、2列目を思いっきり寝かせる方法。オットマンもありますので、足を伸ばして寝ることができます。ですが、身長185cmの筆者では、足が助手席または運転席の背もたれにあたってしまいました。
ですが、実用面を考えると2列目を思いっきり倒して寝るというのが現実的な気がします。その時の快適さはというと「かなりイイ」から驚き。革製シートなので、夏場はタオルケットなどがあった方が好ましいのですが、思ったほど体は痛くならず、サイドサポートによって寝返った時に体が床に落ちることもありません。起きた時に体がバキバキ、ということにもなりませんでした。また2列目にはプライバシーシェードが用意されていたのですが、これがカーテン替わりになるのも助かります。
体験してみて「車中泊をするなら、ミニバンはよい選択肢であり、その中でもノアは有力候補になりうる」と思った次第。いくつか「こうだったらいいのに」という部分はあるのですが、「コレがないから選択肢から外れる」というのもなく。クルマ作りの上手さ、さすがトヨタだと寝ころがりながら感じたのでした。
最後に、今回取材した車両のオプションリストを公開します。オプション料金80万円超には正直言って驚き。そのほとんどが個人的には「ないと困る」というもので、結果として車両価格が455万円を超えます。確かに455万円のクルマといわれると納得せざるをえないのが悔しい限りですが、運転支援などは他社は標準装備だったりするので、オプションじゃくなくても……と感じました。

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