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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第243回

「シビック e:HEV」はよく走るスポーティーなホンダのイメージそのものだった

2022年08月13日 12時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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最も素晴らしいのは
走っていて楽しいこと

 そして、なによりもうれしかったのは「シビックe:HEV」は、走っていて“とても楽しかった”こと。

 びっくりするのは、“エンジン音がする”ことです。高速道路のような高速域以外では、シビックe:HEVはモーター駆動が中心です。エンジンは発電機。つまり本来は、一定に回して発電すればいいはず。ところが、シビックe:HEVは、アクセルの踏み込み量に合わせるようにエンジン音が大きくなるのです。さらに、まるでシフトアップするかのようなエンジン音の変化まであります。一瞬、「あれ? これエンジン車なのか?」と勘違いするほど。

 開発者に聞いてみると、「エンジンの音には相当にこだわった」とのこと。エンジン音にこだわっても、出力や速さ、燃費にはほとんど関係ありません。でも、運転手目線で言えば、この音が非常に楽しかった。我ながら「エンジン音がするだけで楽しいなんて、なんと自分は単純なんだろう」と呆れるばかりです。

軽快そのもののハンドリング

 さらにハンドリングの良さも楽しさに拍車をかけます。ほんのわずか、指1本分以下でもハンドルを動かせば、クルマはしっかりと応答してくれます。かといってナーバスなわけでもありません。4輪がしっかりと路面をつかんでいる安心感があります。また、パワフルなパワートレインということで、アクセルのわずかな操作にも、しっかりとトルクが出てクルマを加速させることができます。

 気分のよいエンジン音を耳に、ハンドルとアクセルの操作に忠実に動くクルマ。これが楽しくないはずがありません。いつまでもワインディングを走り続けたくなることでしょう。ホンダはシビックe:HEVのグランドコンセプトを「爽快CIVIC」と説明しますが、運転だけでいえば、言葉通り爽快そのものでした。

【まとめ】シビックの上位グレードとしての
高い質感も魅力

 爽快というだけでなく、シビックe:HEVは上質さも魅力と言えるでしょう。まず、乗り心地がエンジン車よりも、ワンランク上となります。パワートレインを合わせて、ガソリン車よりも重量が100kg以上も重くなっています。それが落ち着いた乗り心地を生んでいるのでしょう。

赤色のステッチがスポーティーな車内

後部座席は大柄な人じゃなければ窮屈には感じない

 フロントのアッパーグリルとドアガラス周りがグロスブラックになり、ミラーもブラック化されており、エンジン車よりも上質感があります。ゆっくり走ったときの静粛性もエンジン車よりも上。つまり、シビックの最上級グレードと言える、質感の高さを備えているのです。価格は394万0200円。FFのみで4WDはありません。

 シビックe:HEVの試乗を終えて思うのは、「よく走り、スポーティーなホンダ」が戻ってきたといううれしさです。

 最近のホンダは、軽自動車やSUV、ミニバンが商売の中心です。「NSX」もありますが、あまりに高額のうえに終売です。そういう意味で、400万円ほどのシビックe:HEVも安くはありませんが、頑張れば庶民でもギリギリなんとか行けるかも~、と思わせる額です。ちなみに、新しい「シビック TYPE R」も、500万円前後という噂。これまた悩ましい設定額ですね。ですが、どちらにせよ走りの良いシビックがあることで、スポーティーなホンダに乗るチャンスが生まれた。これが一番の朗報なのではないでしょうか。

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筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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