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RevCommがZoomと新サービス 「MiiTel for Zoom」発表

(上段左から)RevComm社CPO重城 聡美氏、ZVC Japan株式会社社長 佐賀 文宣氏、(下段)RevComm社 代表取締役 會田 武史氏

 株式会社RevCommは音声技術とAIを組み合わせることにより、インサイドセールスやコールセンター業務におけるトークの可視化や営業ノウハウの蓄積を実現するコミュニケーションツール「MiiTel」の開発、販売を行っている。同社は、このMiiTelの技術をオンライン会議ツールZoomと連携させ、オンライン営業の生産性向上を実現するAIオンライン商談解析ツール「MiiTel for Zoom」の販売を開始した。

 コロナ禍によるリモートワーク普及の波に乗ってZoomなどオンライン会議システムの利用は当たり前のものとなったが、こと社外クライアントとの商談など営業活動に関しては、オンラインツールに頼れない、頼りたくないという話も根強い。

 MiiTel for ZoomはAIによる文字起こしとトーク分析機能により、Zoomを用いた商談を可視化するとともに、その履歴を経験の浅い営業マン向けのセルフコーチング素材として活用できるようにする。2022年7月7日にこのMiiTel for Zoomの概要を公開する記者発表会を開催。

コミュニケーションの未来と進化するZoom

 記者発表に先立ち、Zoom Video Communications, Inc.の日本法人であるZVC Japan株式会社社長の佐賀 文宣氏から、「コミュニケーションの未来と進化するZoom」と題したプレゼンが行われた。

 コロナ禍によるリモートワークの増加で急成長したZoomだが、Google MeetやMicrosoft Teamsなどライバルの猛追を受けながらもトップランナーであり続けている。毎日の延べミーティング参加者数は300万人を超え、最も利用しているWeb会議システムとして60%のシェアを獲得している。

 そのようなユーザーからの支持に甘えることなく、Zoomは機能強化を続けている。例えば自動字幕と翻訳機能が今春に実装された。対応言語は英語、日本語、ドイツ語、スペイン語など10か国語を超える言語に対応しており、グローバルに展開する企業の大きな助けになってくれるだろう。

 また、Zoomが提供するクラウド電話サービス「Zoom Phone」では、従来使用していた050から始まる番号だけでなく、03や06から始まる0ABJ番号を利用できるようになった。0ABJ番号が利用できるようになったということは非常に高い音質や安定性を実現していることを示すもので、今後企業での採用がさらに拡がっていくことが期待される。

 コロナ禍の拡大によって開催延期や中止に追い込まれていたリアルなイベントも、徐々に復活の動きを見せつつある。その際、多くのイベントはリアルとオンラインのハイブリッド形式で実施されることが多く、Zoom Eventsはイベント当日のオンラインコミュニケーションだけでなく、そのようなイベントの事前事後の作業(告知・チケット発行やフォローアップメールの送信など)をフルカバーするソリューションとなっている。

 

 Zoom MeetingやZoom Phoneのような自社のサービスだけでなく、Zoomの提供する機能を各企業のソリューションに組み込んで利用できるよう開発者向けプラットフォームの提供も行なっている。RevCommのMiiTel for Zoomもそのひとつあり、Zoomだけでは提供できないサービスとして連携を進めていくとのことだ。

MiiTel for Zoom開発の背景

 続いてRevComm社 代表取締役の會田 武史氏が登壇し、MiiTel for Zoom開発の背景を解説した。RevComm社は音声技術とAIを組み合わせてコミュニケーションを加速し、オフィスの生産性を向上させるツールの開発を行っている。

 少子高齢化が進む日本では、2015年に7600万人だった生産年齢人口が2060年には4400万人に減少すると推計されている。その状態で日本のGDPを維持するためには、生産性の向上が必須となる。その障害となっているのが「何を言ったかではなく、誰が言ったかが優先される」ことに起因するコミュニケーションコストの高さ。これを下げるコミュニケーションツールを提供することにより、日本の生産性を劇的に向上させることをRevCommは狙っている。

 2018年10月にローンチしたMiiTelでは、営業担当と顧客の間で行われている(電話による)会話を記録・解析し、担当者と顧客が「何を」「どのように」話しているかを可視化する。能力の高い営業マンのノウハウを共有し、営業部隊の活動全体の質を向上させる。

 MiiTelは、まず担当者と顧客の会話データを解析し、それを自動的にテキスト化(文字起こし)、要約してシステムに登録する。従来なら電話後に担当者が手入力で行っていたが、それをすべてシステムに任せることができるため、担当者は営業活動に集中できる。

 

 登録されたデータはダッシュボードを経由して確認することができ、マネージャー層はどのような営業活動がどのくらいの頻度で行われているかをリアルタイムで把握することが可能になる。また担当者にとっては、電話でのやり取りから、話すスピードや相手の話に被せて話してしまう回数などを分析し、セルフコーチングに役立てることができる。

 MiiTelによって電話を用いた営業活動(架電・アポ獲得)は可視化され、効率化が進んだものの、その後の商談まではカバーできていなかった。一方でZoomなどを用いたオンライン商談はコロナの影響もあって拡大を続けており、その効率化を求める声がMiiTelのユーザーから上がってきていた。

 MiiTel for Zoomは、MiiTelで可視化された営業の前工程に向けた機能をZoomを用いたオンライン商談およびそのフォローアップにまで拡張したもので、コロナ後の営業活動全体のDX化を実現するものと言える。

MiiTel for Zoomの機能紹介

 Zoomを用いたオンライン商談が普及するにつれ、その課題も明らかになってきた。例えば商談を録画したのはいいが、どのデータのどこでどんな会話をしたのか探すのが困難だったり、商談を行えば行うほど書き起こしに時間がかかり、商談そのものに十分な時間を割けなくなってしまっていた。

 オンライン商談にMiiTel for Zoomを利用すると、その動画を保存するだけでなく、会話はすべて自動的にテキスト化され、画面上に表示される(下図右)。議事録作成の負担も軽くなるし、テキスト検索により動画を用いた商談の様子の確認も容易になる。

 各参加者の発言比率、沈黙、被りなどの定量的な情報も一目でわかるよう表示され、誰がどのようなタイミングでどのくらい話をしたのかを容易に把握できる。また、音声データの解析により会話のトピックを抽出し、どのような流れで商談が進行したのかを見ることができる。

 Salesforceとの連携も実現しており、MiiTelおよびMiiTel for Zoomを通じて行われた営業活動の動画データや書き起こしされた会話データはすべてSalesforceで一元管理することができる。

 今後もMiiTel for Zoomの機能拡張は続けて行くとのことで、同社CPO重城 聡美氏はSalesforce以外の外部ツールとの連携や、商談の解析結果を表示するダッシュボードの強化を挙げていた。

プレゼンテーションの後、質疑応答の時間が設けられた。

Q:MiiTel for Zoomの競合優位性はどこにあるか。

A:文字書き起こしエンジンの精度の高さには優位性がある。正確な数値を挙げることはできないが、お客様からは95%以上の精度が出ているとの声を頂戴している。多くのエンジンは欧米発であり、英語や中国語ではコモディティ化している。日本語向けのエンジンは多くなかったが、パートナー企業からもRevCommのエンジンがビジネスにおいては一番良いとの評価を頂いた。

Q:Zoomは無償版・有償版いずれのユーザーでもMiiTel for Zoomを利用できるのか。

A:Zoomの無料版ではクラウド録画ができないため、現在は有償版のみの対応となっている。

コロナによって対面での営業活動に制約が発生してしまっている環境では、効果的なオンラインでの商談ができるかどうかは、企業の将来性に決定的な影響を及ぼすことになる。日本の企業が抱える非効率性という課題を解決するための強力な武器としてMiiTel for Zoomが拡がっていくことを期待する。

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