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浜辺ごみの自動収集ロボなど起業家、学生らと地元企業が共創 北九州市が試作コンテスト実施

北九州市「IoT Maker’s Project」2021年度デモデイ

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浜辺のゴミを自動で拾い集めるロボット「Seaside Robotics」

 2番目の登壇者は神奈川県逗子市に住む個人事業主の横岩良太氏。フリーランスでプロダクトデザインや設計に取り組み、浜辺をロボットで清掃する「Seaside Robotics(シーサイド・ロボティクス)」を開発した。3年前に神奈川県逗子市に引っ越して海岸を走り、海ゴミ問題の深刻さに気づいたことがきっかけだった。散乱するゴミを無視できず、拾って持ち帰る日が続き、訪れた沖縄でも観光化されていない場所にたくさんのゴミがあって、横岩氏は「局所的な問題ではない」と認識した。

 自治体が処理したプラスチックゴミを年間約6000トンと独自に推定し、神奈川県を取材して海ゴミはブルドーザーで清掃していると知った。しかし、重機での掃除では砂浜の生き物に悪影響を与える。また、日本とハワイの間で太平洋の真ん中にあるミッドウェー諸島では、親鳥がプラスチックをエサと間違えて食べ、吐き出して与えられたひな鳥のお腹にたまって死んでいる。ゴミが流れ着く島で人が定期的に掃除することも難しい。

 そこで横岩氏は、あたかも自然の自浄作用のようにロボットがゴミを回収する仕組みを構想した。海岸清掃の予算は減少傾向で、担い手も高齢化で現場は疲弊しているので、重機で砂ごとさらうのではなく、安価になった画像認識技術を活用してゴミだけを丁寧に拾い上げる。会場で披露した試作機はキャタピラでゆっくり前進してゴミを見つけ、爪付きアームで拾い上げた。PCで画像認識した後、マイコンボードの「Arduino(アルドゥイーノ)」でキャタピラを動かす指令を出している。

 試作機は「本当によちよち歩き」(横岩氏)だが、キャタピラで入れない場所に行ける歩行型のロボットも投入し、互いに通信して共同作業する。ゴミのある場所を空から見つけるハイパースペクトルカメラ搭載のドローンを飛ばし、位置情報をもとにロボットを向かわせる。ゴミを一時保管し、太陽光発電でロボットを充電する施設も置く。横岩氏は「潮風のある過酷な環境で2~3年で作れるものではなく気の長い話だが、10年後も人が集まってゴミを拾い続けているのは想像しにくいので実現したい」と構想を説明した。

 開発と普及の費用は、環境省や各自治体が海岸清掃に充てる予算や、CSR(企業の社会的責任)で支出される年間2000億円弱の一部、さらに日本でも増えてきた寄付金約1兆2000億円を想定する。スマートフォンのアプリを使って寄付金500円で回収できるゴミの重さやロボット稼働時間を算出しておき、回収量や時間に応じてクラウドファンディングで資金を集める構想も語った。

 プレゼン後、共創企業のドーワテクノスは「SDGsにつながるテーマで採択した案件で、ビジネスにつながるのかという意見もあったが、浜辺の生き物に優しいゴミ収集ロボットに対する熱い思いを見守った。もっとバージョンアップして国内外で活躍できたらと期待する」と講評した。

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