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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第185回

アバルト 595のノーマルとオートバックスのデモカー595を乗り比べ

2022年01月01日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●新 唯(@arata_yui_)編集●ASCII

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デモカーとノーマルの違い

 まずエクステリアから。一見、ABARTHと書かれたラジエターカバーとサーキット走行用の牽引フック以外に、ノーマルとの違いを見出すことはできません。

ノーマルのアバルト 595 コンペティツォーネ

ナンバーの位置を上に上げたA PIT AUTOBACS SHINONOMEのアバルト 595

 ですが「このラジエターカバーは、EVEデザインの“ロゴインパクト(1万9800円)”を被せてドレスアップしています。そして文字が見えるようにナンバープレートの取り付け位置を、EVEデザイン“ヴァーティカルライザー(8800円)”で上げました」というコダワリっぷり。

写真どころか現物を見てもワカラナイが、ヘッドライトカバーの上にはフィルムが貼ってある

 さらに「ヘッドライトにフィルム(DYNOshade・ヘッドライト/テールレンズ専用ペイント保護フィルム)を貼っています。ヘッドライトへの飛び石などによる傷や、鳥の糞からの酸性シミ、紫外線などでの劣化から守ってくれます。自己回復機能があるので、万が一フィルムに多少のキズがついても、お湯などで熱を加えると元に戻ります」というから驚き。

天井にはカーボン柄の保護フィルムで引き締め。さらにシャークフィンを備えている

FIAT 500を高さ制限のある立体駐場に入れたところ

アバルト 595、FIAT 500ともに、バーアンテナがゲージにひっかかってしまう。しかも折りたたみ機構がないので、そのまま折れてしまう危険性がある

 天井面を見るとカーボンに換装!? と思いきや「これもヘッドライトと同じメーカーのフィルム(DYNOblack-carbon)です。ここのフィルムは表面がとてもなめらかで光沢があり、しかも自己回復機能までついているのでオススメですよ」とのこと。あとはEVEデザイン“デザインアンテナ SHARK type7(2万5850円)”に変わっています。これは立体駐車場を利用している方にとってはうれしい変更ポイント。というのも、アバルト 595は全高1550mmで高さ制限のある立体駐車場に入ることはできるのですが、バーアンテナがひっかかるのです。シャークフィンならそれが回避できますからね。

A PIT AUTOBACS SHINONOMEのアバルト 595のリア

 リアを見ると、これまた普通。強いて言うならリアウィンドウ等にステッカーを貼って、牽引フックを付けた程度でしょう。「何を言っているんですか! ユーロプレートを取り付けるの所のフタが同色になっているんですよ。ノーマルは黒なんです」と力説する森田さん。

A PIT AUTOBACS SHINONOMEのアバルト 595

アバルト 595 コンペティツォーネ

 確かに見比べると……おぉ、確かに違う!「これは元々欧州の細長いナンバーに合わせてあいている穴なんですが、日本仕様は黒いキャップでふさいだだけなんです。ですからボディーカラーと同色にしました。ちなみに、このキャップはEVEデザイン“カラードットキャップ(6380円)”で、店舗で販売していますよ」なのだそう。

A PIT AUTOBACS SHINONOMEのアバルト 595のマフラーエンド

アバルト 595 コンペティツォーネのマフラーエンド

 「あと、マフラーがHKSのものに変わっています」というので見ると、確かにテールエンドパイプにチタンの焼き色が! って、ノーマルのコンペティツォーネとよく見ないと違いがワカラナイような……。しかも同じ左右4本出しだし。「何を言っているんですか! これの音がイイんですよ」とのこと。こちらについては後ほど。

アバルト 595 コンペティツォーネのノーマル仕様と、A PITオートバックス東雲チューンをガチ比較することに!

 このように、外観はあまりモディファイされていないA PITオートバックス東雲のアバルト 595。ですが、走りには自信アリ! と森田さんは力説します。「最初にコンペティツォーネに乗って感じたのは、乗り心地の悪さとリアがブレること。そしてエンジンのツキが悪いということでした」。と言われても、ノーマルがわからないと何が変わったのかわかりません。と言うことで、唯さんに、まずはアバルト 595 コンペティツォーネのノーマル仕様を乗っていただくことになりました。

アバルト 595のスタンダード仕様

 スタンダード仕様のアバルト 595に乗った時の唯さんの評価は、「面白いクルマですけれど……パワーがもっとあればいいなと思います」というもの。それでもベース車となるFIAT 500に比べればパワーはあるわけで、普通に走るには十分すぎるのですが、八方ヶ原で鍛えたMT娘には物足りないご様子。唯さんに試乗をお願いしているのは、単にMT車が運転できるからではありません。ガチでぶん回す御仁だからお願いしているのです!

アバルト 595 コンペティツォーネ

 ということで、40馬力アップのアバルト 595 コンペティツォーネに触れた唯さんは「全然違う! コッチでしょ!」と笑顔。「パワーがあるって楽しいですね! それに排気音が全然違いますね」と、レコードモンツァマフラーの排気音に大満足! その一方で「これ、乗り心地が硬すぎません? というか、シートも硬すぎる」と違和感を覚えたようです。

試乗したアバルト 595 コンペティツォーネのコクピット

 さらに唯さん的に不満だったのが、お借りしたクルマがATだったこと。「このAT、ギクシャクするんですけれど、大丈夫なんですか?」というわけです。これはいわゆるDCTではなく、シングルクラッチだから。というわけでパドル操作をご提案するものの「パドルシフトって、使い方がよくわからないんですよ。勝手にギアが下がったりする時があるし」と言い出すではありませんか。そのうちATで走らせることに退屈になってしまった唯さんは「もう、いいですか?」と完全に飽きてしまいました。ATとはいえ、ガチガチでハイパワーのコンペティツォーネに飽きるとは、これいかに? 「運転している時はいいのですが、助手席に座るクルマじゃないですね」というのが、唯さん的アバルト 595 コンペティツォーネ評。にしても、ATとはいえアバルト 595 コンペティツォーネに乗って退屈とは、唯さん末恐ろしい……。

HKS製アバルト 595用サスペンション(38万5000円・取り付け工賃別途必要)

 こうして戻ってきたところで、森田さんにコンペティツォーネ評をご報告。「そうなんですよ。ですのでサスペンションを街乗りでもサーキットでも楽しめるように、HKSの車高調に変えて、セッティングをバッチリ出しています」

TWSのホイールに換装!

TWSの鍛造アルミホイールで足元を軽量化

 併せてホイールはTWSの鍛造にして軽量化。これで足回りはバッチリと森田さん。ちなみに普段はADVANのA052を履いているとのことですが、「今回はガチ比較するということで純正採用のミシュランに履き替えています」とのこと。

ボンネットを開けてエンジン内部を見る唯さん

赤いヘッドカバーは取り外された内部。BMC製のエアクリーナーが目を惹く

エアクリーナー出口から分岐したパイプはブローオフバルブへと導かれている

 「もちろんエンジン回りにも手を入れています。吸気はBMCのOTA(オーバルトランペットエアボックス:5万2000円)。これで吸気効率を大幅に向上させています。さらにブローオフバルブへの経路もワンオフで新設しました」

HKS製マフラー。価格は38万5000円

チタンの焼き色が美しい

運転席に取り付けられたマフラーのバルブ動作スイッチ

 排気系はHKSに変更。標準のレコードモンツァマフラーと違い、低回転時は静か、上は最高に音がイイんです!」と力説される森田さん。「そして水温がある程度上がってきたら、3,000回転以上でバルブが開くようになっています」とのこと。

バッテリー直近に置かれたCPU。このプログラミングも変更されているとのこと

 「あとCPUも変更していますね。ブーストとかアクセルのツキとかを細かくマップを作りこみました」なのだとか。その結果「最終仕様を測ってはいませんが、200馬力オーバーは出ていますね」というから驚き。「筑波サーキットのTC2000だと、コンペティツォーネが1分10秒台ですが、このクルマは1分6秒台に入っています。もう少し煮詰めれば5秒後半は見えてきそうですね。ですが、その先はタービン交換とかしないと無理でしょう」とのこと。実際220馬力より上を目指すにはタービン交換が必須だそうで、森田さんもデモカーのタービン交換を考えているそうです。

 ちなみに室内は至って普通。ロールゲージはおろか、シートすら変えていません。「実際、筑波を走った時はシートを変更しましたが、その程度ですね」とのこと。あとはステアリングボスを入れてハンドルの位置がドライバー側に寄せたくらいです。

A PIT AUTOBACS SHINONOMEのアバルト 595

 気になるお値段ですが、部品代だけで150万円前後。これに工賃やらアライメント費用などが加わりますので、ざっくり200万円といったところでしょうか。アバルト 595 コンペティツォーネが約400万円のクルマですので、デモカー総額は600万円前後となります。「600万円のアバルト……」と言葉を失ってしまう唯さん。はたして600万円の価値はあるのか? 実走です!

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