来年で誕生50年を迎えるHondaの「シビック」。今夏11代目となった新型車をワインディングロードで走らせ、その素晴らしさに感動した不肖。ですが「いうてワインディングだからいいのであって、一般道はどうなんだ?」という疑問が。さらに言えば、今回のシビックの想定ユーザーがZ世代(25歳から35歳)というので、ターゲットとなる人にはどのように映るのだろう? とも。
そこでASCII.jpではおなじみのMT車が運転できるスポーツカー大好きモデルの新 唯(あらた・ゆい)さんに試乗してもらうことにしました。ただ、彼女は25歳以下なのですが……。
若い女性にも受け入れられる新型シビック
新型車ということもあり、まだなかなか見かけない新型シビックを用意した不肖。「これが新しくなったシビックです!」と、自分のクルマでもないのに、ドヤ顔をしてお出迎えです。ですが唯さんは「これ、もう乗りましたよ」というではありませんか!
というのも自動車系出版大手「三栄」から刊行されている「ニューモデル速報 Vol.612 新型シビックのすべて」にモデルとして出演。撮影の間、たっぷりと触ったそうです。よって「私、結構詳しいですよ」と逆にドヤられ、不肖は完全に戦意喪失意気消沈。ついでに言えば、この取材に立ち会ったHondaの関係者から「今日のモデルさん、どこかで見かけたような……え!?」というわけで、その場にいた本人以外、全員ビックリ! ですのでエンジンや車内のことなど、クルマに関する細かい内容は「ニューモデル速報 Vol.612 新型シビックのすべて」か、以前不肖が書いたシビックの記事をご参照ください(生まれ変わった新型シビックからはホンダの未来が垣間見える)。
久々に新型シビックとご対面した唯さん。若い彼女にシビックはどう映るのでしょう? ちなみに以前エンジニアとお話をする機会があったのですが、彼らは「今度のシビックは、若い女性にも受け入れられると思うんですよ」と申していました。というわけで、ズバリ若い女性の代表として唯さんに感想を伺うことにしましょう。すると「なんか、以前のモデルと違って随分スッキリしちゃったんですよね」というではありませんか。さらに「前のモデルの方がフロントライトがキリっとしていて私は好みですね」とまで。
実は唯さん、FK8型シビックTYPE Rの「空力パーツてんこ盛り&ツリ目のフロントマスク」がお好きで、それに比べると新型シビックはやや物足りないのです。Hondaのエンジニア様、ちょっと特殊な女の子で申し訳ございません。一方で唯さんなりの一般論を伺うと「でも、どこにおいても、誰にとっても受け入れられる形だと思います。だから、誰でも似合うクルマだと思いますよ」とのこと。つまり若い人が乗っても嫌味に感じないクルマになっている、といえそうです。
室内も「シンプルで飽きのこないといいますか、すごくカジュアルでいいと思います。嫌味がないというか、リラックスできる空間ですね。ちょっと気になったのは、パンチングメタル部分の掃除が大変そうという事くらいでしょうか」と、インテリアにはおおむね好印象を抱かれた様子。掃除のことを気にされるあたり、さすがと思った不肖です。
「新しいシビックって、後席が凄く広いんですよね。見た目よりも天井が高いんですよ」と唯さん。「できればUSB端子が後席にもあればうれしいですけど」と、機能面に少し不満はあれど、おおむね好印象。「あと、何となくですが先代シビックより乗り降りがしやすいように思います。後席はお年寄りの方が乗車されることが多いので、その点でも便利ですね」と乗降性の高さにも感心した様子。
「ラゲッジにロールカーテンみたいなものがあるんですよね。私、ポーズを撮って写真を撮りましたよ。間口が広くて、使いやすいですよね」と、ここでも他誌を振り返る唯さん。次第に「私が撮っても、三栄さんの別冊と同じような写真になるよね」と思い始め、撮影はこれにて終了。
しっとりとしたドライブフィーリング
とはいうものの、「新型シビックは見て触っただけで、運転はさせてくれなかったんですよ」と語る唯さん。ならば、といいますか、本題の試乗に移りたいと思います。まずはMT仕様のシビックからステアリングを握ってもらうことに。「凄く滑らかなフィーリングという印象です。低回転からトルクがあるので、とても走りやすいですね。全体的に“しっとり”という言葉がピッタリだと思います。一方でシフトもクラッチもとても滑らかなので、シフトチェンジした時に手ごたえが欲しいかな」というのが第一印象。
「初めてMTに乗る人にはちょうどいいと思うのですが、ハードなスポーツカーに乗ったことがある方には、マニュアル車らしい手ごたえが薄い気がします」。確かにオートブレーキホールド機能を使えば坂道発進はラクラクですし、トルクも太いですから発進もしやすいのですが、少し軽めのクラッチペダルや、軽い力でスコっと入るシフトレバーにマニュアル車っぽくないと感じられたのでしょう。
「Aピラーが細いためか、とにかく視界が広いですね。運転していてストレスが少ないんですよ」と唯さんは市街地を走行していきます。シビックの足は、いわゆる乗用車と比べてスポーティーな味付けだと感じたのですが「乗り心地もイイと思いますよ」とのこと。不満は感じられなかったようです。
もしシビックで硬いとおっしゃる方は、恐らく多くの欧州車に対し「足が硬い」と不満を覚えると思うことでしょう。「家族がいらっしゃる方に、シビックはいいと思うんですよ」と唯さんは小気味よくシフトを操作しながら、笑顔で街を駆け抜けます。
そしてそのまま首都高へ合流。「速度を上げた方が、クルマが喜んでいるように感じますね。ショックの突き上げも少なく、安定感も抜群でイイと思います」と笑顔で巡航。「JCTの合流も、後方視界が広いからやりやすいですね」とすんなり。「追い越し時でも、5速に落とした方がいいのは当然としても、6速巡航からすんなり行けそう」とも。「シビックは長距離移動にイイクルマですね」との評。「撮影の時、色々触ってイイナと思っていたんですよ。実際に運転してみると、やっぱりイイな、と感じました」と、唯さん的にはシビックに好印象を抱かれたようです。
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