Veeamのデータ保護製品最新版、RHVハイパーバイザ対応やKubernetesバックアップとの統合強化も
「Veeam Backup & Replication v11a」発表、クラウド対応をさらに強化
2021年10月08日 07時00分更新
Veeam Softwareは2021年10月6日、同社の主力製品最新版「Veeam Backup & Replication v11a(VBR v11a)」をはじめとする3製品を発表した。VBR v11aでは、主要パブリッククラウドへの対応強化、Kubernetes/コンテナバックアップ「Kasten K10」との統合、対応プラットフォーム拡充などの強化点がある。10月末から一般提供を開始する。
同日の記者説明会に出席したVeeamのシニア・グローバル・テクノロジスト、アンソニー・スピテリ氏は、現在のVeeamがフォーカスする領域と業績を報告したうえで、VBR v11aなど3つの新製品について紹介した。
クラウド、セキュリティ、コンテナがフォーカス領域
VMware仮想マシンのバックアップソフトウェアからスタートしたVeeamは今年、パブリッククラウドからハイブリッド/マルチクラウド環境までを含む「クラウド」、不変性(Immutable)バックアップを活用したランサムウェア保護などの「セキュリティ」、そして昨年買収したKubernetesデータ保護の「Kasten K10」を軸とする「コンテナ」の3分野にフォーカスしている。
今年上半期も大きな成果を残した。たとえば2月に発表したVBR v11は、すでにダウンロード数が30万件を超えた。また、1月にリリースされたSaaSバックアップ最新版「Veeam Backup for Microsoft Office 365 v5(VBO v5)」も好調で、第2四半期は前年同期比で58%の売上増加、VBOのアクティブユーザー数は660万人以上になった。特に「Microsoft Teams」のネイティブバックアップに対応している点が好評だという。
Veeam製品は顧客のクラウド化、クラウド活用も助けている。今年上半期、顧客がVeeam製品を介して主要パブリッククラウドへ移行したデータ容量は225PBにも及んだ。
クラウド、コンテナにフォーカスしたVBR v11a
VeeamはVBRを中心に据えた「Veeam Platform」戦略を敷く。これにより「パブリッククラウド、ハイパーバイザー、プラットフォーム、SaaSとワークロードがどこにあってもバックアップができる」とスピテリ氏は説明する。
今回は主力製品最新バージョンのVBR v11aに加えて、監視/レポート製品の「Veeam ONE v11a」、サービスプロバイダー向けバックアップソリューションの「Veeam Service Provider Console v6」を発表している。
VBR v11aでは、クラウド、コンテナ、ハイパーバイザ、物理システム、そして中核となるデータ保護という、5つの領域それぞれで機能強化が図られた。
クラウドでは、パブリッククラウドのネイティブ保護機能を拡張し、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudのバックアップとリカバリを単一コンソールで統合管理できるようになった。バックアップのモビリティ(移植性)も維持しており、すべてのVeeamバックアップがAWS、Azure、Google Cloudの各環境に直接リストアできる。
ネイティブバックアップの対象も拡張し、新たにAmazon EFSファイルシステム、Azure SQLデータベースのバックアップ/リカバリをサポートしている。また低コストのアーカイブストレージとして、新たにAmazon S3 Glacier/Glacier Deep Archive、Microsoft Azure Archive Storage、Google Cloud Archiveもサポートした。
コンテナ領域では、Kasten K10との統合を進めている。最新版のKasten K10 V4.5では、VBR v11aのリポジトリをバックアップターゲット(保存先)に指定できるようになっており、仮想マシンとコンテナを単一の(VBRの)リポジトリで保存できるようになった。
ちなみにKasten K10とVBRとの統合方針についてスピテリ氏は、基本レベルでの統合は進めているが「両製品の性質の違いから技術リリース戦略はあくまでも別」だと説明した。
ハイパーバイザ領域では、これまでのVMware ESXi、Microsoft Hyper-V、Nutanix AHVに加えて、「Red Hat Virtualization(RHV)」を4番目のハイパーバイザとしてサポートした。市場ではRHVハイパーバイザの利用が増えており、これをサポートしたことは「重要」だとスピテリ氏は語る。
プラットフォーム領域では「Windows 10 21H 1」「Windows Server 2022」を新たにサポートしたほか、IBM AIX、Oracle Solaris用のバックアップエージェントを追加した。
VBRそのもののデータ保護機能強化点としては、継続的データ保護(CDP)機能においてパフォーマンス改善とCPU使用率低減が図られたほか、VMware vSANやVMware vVOLS(Virtual Volumes)のサポートを強化し、VMware環境におけるTier1ワークロードのデータ損失を抑えることができる。
このほか、VBR v11aでは2000件以上の修正も加わっており、信頼性と安定性が改善されている。
ランサムウェア攻撃の増加で監視レポート「Veeam ONE」が人気
バックアップ監視/運用製品のVeeam ONEは、ランサムウェア攻撃の増加を受けて顧客の需要が高まっているという。ランサムウェア被害が発生した場合、大量のデータが書き換えられる(暗号化される)ため差分バックアップ量も急増することになる。Veeam ONEならばそうしたアラートが上げられるからだ。
最新版のVeeam ONE v11aでは、Gooble CloudバックアップやIBM AIX/Oracle Solarisのモニタリング/分析/レポートがサポートされた。またランサムウェア攻撃への対策として、不変性の設定や対応に関する追跡、アラート、レポートが強化された。
さらにスピテリ氏は“何を・どこで・どうバックアップしたのか”を可視化できる、ビジネスレポート機能の強化についても触れた。これはVBRの姉妹製品というVeeam ONEの製品ポジションにおいても重要だという。
3つ目のVeeam Service Provider Console v6は、バックアップをサービスとして(Backup as a Service)提供するサービスプロバイダ向けコンソールの最新版となる。サービスプロバイダはVeeam Platform上でマネージドサービス機能を加えて顧客、テナント、さらには再販事業者も管理できる。
最新版では、ライセンス管理を簡素化した。Veeam Service Provider Console(VSPC) Pulse Portalとの統合により、ライセンスの割り当て、インストール、停止といった作業を直接できるようになった。「ライセンス管理は煩雑。ここを合理化することで、サービスプロバイダは他の作業に集中できる」とスピテリ氏は重要性を説明する。
またAPIも強化しており、Restful APIの更新によりサービスプロバイダなどはモダンな方法で新機能を既存のプラットフォームやワークフローに統合できると述べた。