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Veeamが解き放つ“データの力” 第13回

「VBR導入100万件」を超えて躍進するVeeam、「VeeamON TOUR JAPAN」で語った次期製品や注力領域

これから1年間、Veeamはどう進化するのか ―ロードマップと国内戦略

2021年12月13日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: Veeam Software

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 Veeam Softwareが2021年10月26日に開催した年次イベント「VeeamON TOUR JAPAN 2021」キーノートセッションでは、ビジネスやITを取り巻く環境の急速な変化に対応するために必要な「データ保護戦略の加速」と、それを支援するVeeamが今後1年間どう進むのかが、製品ロードマップや国内ビジネス戦略、また今後一般提供予定の最新製品デモなどを交えながら紹介された。

 今回はこのキーノートセッションから、特に重要なポイントをピックアップしてレポートしよう。

Veeam Software アジアパシフィック・ジャパン担当シニア・バイスプレジデントのシヴァ・ピレイ(Shiva Pillay)氏、ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏、Veeam Software シニア・グローバル・テクノロジストのアンソニー・スピテリ(Anthony Spiteri)氏

Veeam Backup & Replicationのアクティブ導入数が100万件を突破

 Veeam APJ(アジア太平洋日本地域)担当SVPのシヴァ・ピレイ氏は、APJにおけるVeeamのビジネス概況を紹介した。

 世界がパンデミックに見舞われた中でも、Veeamは成長を続けてきた。2021年第2四半期の前年同期比成長率(年間経常収益)は29%増と、13四半期連続での2ケタ成長を達成している。特にこの四半期には、大規模案件の成約数において「前年同期比246%増」という強い成長が実現したという。その要因としてピレイ氏は、Veeamが「企業にとって理想的な新機能や追加機能のリリースを続けてきたこと」を挙げる。

 旗艦製品である「Veeam Backup & Replication(VBR)」のアクティブ導入数は100万インストール以上に達しており、ピレイ氏は「VBRは“最も採用されたエンタープライズバックアップソフトウェア”になった。(100万という数字は)競合製品をすべて合わせたものよりも多い」と胸を張る。

アジア太平洋日本地域におけるVeeamの最新ビジネス概況(2021年第2四半期)

あらゆる場所でデータ保護を可能にする「Veeamプラットフォーム」戦略

 現在のVeeam製品は、VBRを中心に据えた「Veeamプラットフォーム」を構成しており、クラウド/SaaS/アプリケーション/仮想/物理とさまざまな環境に分散するデータとワークロードを保護することができる。加えて、データが分散環境にあっても単一コンソールからデータ保護の管理/運用ができるよう統合されている点、購入したライセンスを必要に応じて柔軟に別の環境に移動できる「Veeamユニバーサルライセンス(VUL)」を提供している点もポイントだ。

VBRを中心に、パブリッククラウド/物理/仮想/SaaS/アプリケーションのそれぞれの環境で動くVeeam Backupを統合管理する「Veeamプラットフォーム」戦略

 ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏は、日本法人も設立から5年が経過し、国内の顧客数は2000社を超えたと説明する。「特に大企業の顧客が多く、たとえばFortune 500企業の約6割が、何らかのかたちでVeeam製品を採用している」(古舘氏)。

 日本の顧客企業においても、「マルチクラウドの活用」「ランサムウェア脅威への対策」「コンテナアプリの増加」といった大きな動向変化が起きている。それに伴って顧客企業では、これまでオンプレミス中心/サイロ型だったデータ保護戦略について「大きく全体を見直さなければならない」状況になっているという。この新たなデータ保護戦略を検討する中で、Veeamが選ばれるケースが多いわけだ。

 「Veeamが顧客に提案しているのは、クラウドやコンテナといった(データ保護にまつわる)新たな課題を総合的に解決できる『単一プラットフォームの構築』だ。クラウド/仮想/物理/アプリケーション、そして最近ではコンテナと、こうしたデータ保護を1つの仕組みで管理できることが、今後のインフラにとって重要なポイントだとVeeamは考えている」(古舘氏)

バックアップとレプリケーションだけでなく、監視と分析、オーケストレーション、データの再利用など幅広い機能を各環境のデータに対して包括的に提供できる点も大きなメリット

クラウド/セキュリティ/コンテナを注力領域とした次期ロードマップ

 この単一プラットフォーム戦略をベースに、Veeamはこの1年間、Veeamプラットフォームのコンポーネント(構成要素)となる各製品の進化を推し進めてきた。Veeam シニア・グローバル・テクノロジストのアンソニー・スピテリ氏は「昨年のVeeamON 2020から1年間で、Veeamでは20以上のプロダクトをリリースしてきた。その勢いは現在も変わらず、Veeamプラットフォームは拡張し続けている」と説明する。

この1年間の成果、ハイライト

 スピテリ氏は具体的に3つの製品を取り上げ、この1年間の成果をハイライトとして紹介した。たとえば2月にリリースされた「VBR V11」は、およそ8カ月間で30万回以上ダウンロードされた。またMicrosoft 365のデータ保護サービス「Veeam Backup for Microsoft Office 365(VBO)」は、2021年第2四半期の有償ユーザー数が660万人となり、前年同期比で48%も増加した。また、VBRのオブジェクトストレージ対応を進めてきた結果、1年間で225ペタバイトものデータを主要パブリッククラウドに移行したという。

 製品の進化、機能拡張において、現在のVeeamがフォーカスしているのは「クラウド」「セキュリティ」「コンテナ」の3領域だ。DXによる変革を促進するためにはクラウド活用が欠かせないこと、データの重要性と価値が高まる一方でランサムウェア攻撃が激しさを増していること、アプリケーションのモダナイズが求められる中でその重要パーツであるコンテナのデータ保護ニーズが高まっていること――顧客企業におけるこうした環境変化が背景となっている。

フォーカス領域は「クラウド」「セキュリティ」「コンテナ」

 それでは“これから1年間”のVeeamはどのようなものを提供していくのか。スピテリ氏は、上述した「単一プラットフォーム戦略」や「3つの注力領域」といった基本方針は変わらないとしながら、さらにそれを進化させていくロードマップを紹介した。10月に一般提供を開始したVBA V11aをはじめ、VBO V6、Veeam Backup for AWS V4/for Microsoft Azure V3/for GCP V2など、各主力製品でバージョンアップが予定されている。

主要製品における今後1年間のロードマップ

 スピテリ氏が特に注目すべきものとして取り上げたのが、新たに登場した「Veeam Backup for Red Hat Virtualization(RHV)」だ。現在ベータ提供中のこれは、その名のとおりRHV環境で稼働する仮想マシンのスナップショットやバックアップをVeeamリポジトリに保管可能にする製品となる。

 「同時にVBR V11aにおいても(VMware ESXi、Microsoft Hyper-V、Nutanix AHVに続く)4つめのハイパーバイザとしてRHVをサポートしている。顧客ワークロードが、ほかの主要ハイパーバイザから少しずつRHVに移行する動きを感じている。RHV/KVMに移行する未来に備えて、サポートを開始している」(スピテリ氏)

 またVBO V6(まもなく登場予定)については、たとえばエンドユーザー自身で特定のファイルやEメールをリカバリできるセルフサービスポータル機能、オブジェクトストレージのアーカイブ層サポートなどの新機能があると紹介した。

VBO V6の「セルフサービスポータル」機能(デモ画面より)。誤って削除したファイルやEメールを、管理者に頼らずエンドユーザー自身でリカバリできる

 パブリッククラウド向け製品では、最近リリースされたVeeam Backup for AWS V4を取り上げた。V4では新たにフルマネージドNFSサービス「Amazon EFS」のバックアップをサポートしたほか、アーカイブ層のオブジェクトストレージとして「Amazon S3 Glacier/Glacier Deep Archive」を追加している。さらにVBR V11aでは、管理コンソールからAWS、Azure、Google Cloud上のVeeam Backupを統合管理できることも紹介した。

「Veeam Backup for AWS V4」では「Amazon EFS」や「S3 Glacier/Glacier Deep Archive」をサポート(デモ画面より)

VBR V11aの管理コンソールでVeeam Backup for AWSによるバックアップも統合管理できる(デモ画面より)

 そして最後に紹介したのがコンテナ領域の製品、つまり昨年買収した「Kasten K10」だ。Kastenでは今年5月にK10 V4.0をリリースしている。

 Veeamでは、保護対象(つまりKubernetes環境)のネイティブソリューションとしてK10の開発を進め、その一方でコントロールプレーンはVeeamプラットフォームにAPI統合していく方針をとっている。上述したパブリッククラウド向け製品と同様の方向性だ。

 スピテリ氏は、VBR V11aにおいて単一コンソールからK10のバックアップ管理とボリュームリストア操作が可能になったこと、またボリュームのバックアップ先(ターゲット)として従来のオブジェクトストレージだけでなくVeeamリポジトリも選択可能になったことを紹介した。

「Kasten K10」のダッシュボードと、バックアップターゲットにVeeamリポジトリが設定可能になった画面

* * *

 スピテリ氏は最後に、Veeamが顧客に選ばれる理由を説明した。それは「シンプル」「柔軟」「高い信頼性」「パワフル」という4つの要素を、Veeamプラットフォームを通じて実現しているからにほかならないという。

 「ワークロードがどんな場所にあっても、またどんなに大規模でも、それを保護できる能力がある。ただし、実際はとてもシンプルであり、コスト削減しながら優れたROIを実現し、インストールも簡単で柔軟性に富んでいる。ハードウェアに依存せずソフトウェアドリブンで、どんなプラットフォーム/ストレージ/クラウドでもバックアップできる。これにより特定環境へのロックインも防げる。VBRが拡張を続けることで信頼性もさらに高まった。『100万インストール』という数字は、顧客からの信頼がなければ達成できなかっただろう」(スピテリ氏)

 なお、今回ご紹介したVeeamON TOUR JAPAN 2021のキーノートセッションは、現在オンデマンド配信中だ(配信期間は2021年12月17日17時まで)。そのほかのセッションも合わせて公開されているので、まだ視聴されていない方はぜひご視聴いただきたい。

●VeeamON TOUR JAPAN 2021 オンデマンド視聴
https://www.veeamjp.info/votj2021lp/

(提供:Veeam Software)

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