ユーザー体験の向上、Veeam VBRリポジトリへの統合も。製品担当幹部インタビュー

「Kasten K10 V4.5」が登場、エッジKubernetes環境対応を強化

末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 Veeam Software傘下のKasten(Kasten by Veeam)は2021年9月29日、Kubernetes環境向けのバックアップソリューション最新版「Kasten K10 V4.5」を発表した。エッジ環境のサポート、ユーザー体験の向上、そしてVeeamの旗艦製品である「Veeam Backup & Replication(VBR)」との統合が大きな特徴となった。Kasten製品担当VPのガウラヴ・リシ氏にインタビューした内容もまじえてお届けする。

Kasten by VeeamがKubernetesアプリケーションのバックアップソリューション最新版「Kasten K10 V4.5」をリリースした

Kasten製品担当バイスプレジデントのガウラヴ・リシ(Gaurav Rishi)氏

 Kasten K10は、Kubernetes環境にあるアプリケーションに対して「バックアップとリカバリ」「アプリケーションのモビリティ(移植性)」「ディザスタリカバリ(DR)」という3分野の機能を提供する。

 リシ氏は、K10の重要な特徴として「特定のベンダーやディストリビューションモデルとの結びつきがない『選択の自由』」を挙げる。これはVeeamのVBRと共通する特徴だ。また、K10自体もKubernetesネイティブアプリであり、アジャイル開発やDevOpsを採用して2週間おきというハイペースで機能をリリースしている点も特徴だ。

 運用環境におけるKubernetesの実装は2016年と比べて300%も増加しており、いよいよ本格的な普及段階になってきた。そうした背景もふまえつつ、K10 V4.5 では顧客ニーズや市場の変化に合わせた機能を盛り込んだという。

 リシ氏が最初に紹介したのが、「顧客からのリクエストが最も多かった」というユーザーエクスペリエンスの強化だ。Kubernetes環境の状況をすぐにモニタリングできるよう、レポートやアラートのツールをユーザーインタフェースに統合した。「(顧客企業では)Kubernetesの専門家はまだ少ない。その一方でエコシステムは拡大しており、シンプルに管理したいというニーズがある」(リシ氏)。

 V4.5では、実装/管理/モニタリング/トラブルシューティングの各ツールをあらかじめ統合し、すぐに使い始めることができるようになっている。K10をKubernetesクラスタにインストールすると、そのクラスタ上にあるすべてのアプリケーションを自動検出したり、アプリケーションを分析して依存性マップを作成したりすることができる。

 スナップショットの一部として、Kastenのバックアップツール(Kanister)がブループリントを持つデータサービスを自動検出する機能も加わった。V4.5では「Amazon RDS」「K8ssandra」「Apache Cassandra」「Apache Kafka」に対応している。中でもK8ssandraは、Apache Cassandraの“クラウドネイティブ版”であり、クラウドネイティブコミュニティにおいて人気が高まっているが、このK8ssandraインスタンスも検出できるようになった。

 サンプルやドキュメンテーションも強化している。ユーザー自身でワークフローを作成したり、APIを使ってアラートシステムと連携したりなどと、バックアップのオペレーション手法を拡張/改善したいというニーズにも対応する。

Gafanaダッシュボードに「Kasten K10 V4.5」のインタフェースを統合した例

 エッジ対応も重要な特徴となる。リシ氏によると、小売店舗などのリソースが限られるエッジ環境でKubernetesアプリケーションを稼働させたいというケースが増えている。ここでは、エッジ向けの軽量Kubernetesディストリビューションである「K3s」、さらにAmazon Web Services(AWS)のオンプレミス向けKubernetes環境「Amazon EKS Anywhere」との統合を進めた。

 特に、ローンチパートナーとなったAmazon EKS Anywhereにおいては、パブリッククラウド上のKubernetes環境である「Amazon EKS」との間で一貫性のあるアプリケーション保護や管理ができ、「クラウドとオンプレミス、エッジとクラウドの間のワークロードの移動を容易にする」(リシ氏)と説明する。

 「たとえばAmazon EKSではストレージに『Amazon EBS』を、(エッジの)EKS Anywhereでは内蔵フラッシュストレージを使っているかもしれない。(K10ならば)アプリケーションを書き直すことなく、移動時にオンザフライでメタデータとストレージクラスを変更できるのでモビリティが実現する。こうした移植性は、クラウドネイティブの特徴から期待されるものの、実際にはそう簡単に得られるものではなかった」(リシ氏)

パブリッククラウド上のKubernetesクラスタからエッジのクラスタにアプリケーションを移植する際にリソース変換(Resource Transfromation)を行い、モビリティを実現する(画像は公式ブログより)

 エコシステムのサポートも拡大している。リシ氏は、VBRの次期バージョンである「VBR v11a」のリポジトリターゲットとの統合を紹介した。この統合により、K10のバックアップ保存先としてAmazon S3、S3互換オブジェクトストレージ、NFSに加えてVBRリポジトリサーバーも選択できるようになる。

 「これまでのVBRはハイパーバイザベースのワークロードが主な対象だったが、Kasten統合によりコンテナベースのワーククロードも同じVBRにプッシュできるようになった」(リシ氏)。顧客から見ると、単一のリポジトリで仮想マシンとコンテナの両方のバックアップを保存し、セカンダリストレージへの投資をより有効に活用できると語る。

 2020年にVeeamが買収して以降も、Kastenは独立組織として運営を続けている。「スタートアップの良いところは残しつつ、Kubernetes採用の広がりを受けて、エンタープライズ向けの機能を強化していきたい」と、リシ氏は今後の方針を説明した。

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