最新パーツ性能チェック 第341回
最大30%のパフォーマンス向上!?
「Resizable BAR」の効果をGeForce RTX 30シリーズまとめて検証!人気ゲーム13本でフレームレートを計ってみた
2021年05月01日 18時00分更新
GeForce RTX 30シリーズの「Resizable BAR」で
パフォーマンスはどう変わる?
AMDがRadeon RX 6800シリーズ発表と同時に存在を明らかにした「Smart Access Memory(SAM)」とは、PCI Expressの規格に昔から存在していた「Resizable BAR」を利用し、GPUの描画パフォーマンスを大幅に引き上げた技術だ。CPU→VRAMへのデータ転送におけるボトルネックを減らすことで、転送する描画データが大きいゲームに恩恵がある。
実際、RX 6800シリーズのレビュー前編および後編では、いくつかのゲームにおいてフレームレートの劇的な向上を確認できた。
Resizable BARをWindows環境で使うには、マザーボード側のBIOSに加えて、GPUそのものもResizable BARに対応している必要がある。
AMDがRX 6800シリーズを発売した当初はチップセットも対応CPUもAMD製の最新モデルに限定されてきたが、その後対応範囲は拡大し、昨年はインテルZ490マザーボードでも対応した(もちろん最新のZ590でも対応済)。つまり、昨年の段階でインテル製CPU+Radeonの組み合わせでもResizable BARは効くようになっていた(参照記事:Intel環境でもRadeon RX 6000シリーズのSmart Access Memoryが使えるのか検証してみた)。
一方NVIDIAだが、この状況を静観していた訳ではない。GeForce RTX 30シリーズでも、Resizable BAR対応video BIOS(vBIOS)に更新することでパフォーマンス向上が期待できるのだ。すでに3月末には、各GPUメーカーからRTX 30シリーズ向けのResizable BAR対応vBIOS配布が始まっている。なお、RTX 3060は出荷時点から対応済みなのでvBIOS更新は必要ない。
そこで今回は、RTX 30シリーズでResizable BARを利用すると、ゲームのパフォーマンスはどのように変化するか検証してみた。RTX 3060のファーストレビューでは精彩を欠く印象しかなかったGeForceのResizable BARだが、上位GeForceでは様子が違う可能性がある。Resizable BARはRTX 30シリーズに新たな覚醒をもたらすのだろうか? 様々なゲームで検証してみたい。
Resizable BARの利用要件と対応ゲームは?
ここで改めてRTX 30シリーズのResizable BARを利用するための要件をまとめておこう。若干の例外はあるものの、概ね以下の通りになっている。
2021年4月時点では上の通りとなっている。ただしRyzen 3000シリーズのうち、GPUを内蔵したRyzen 3000Gシリーズは中身がZen+世代なのでResizable BARには対応しない。
AMDの300シリーズチップセット用にResizable BAR対応BIOSが出ているマザーボードもあるが、旧世代チップセットということで全メーカーで対応している訳ではない。Resizable BARはPCI Expressの仕様を利用した機能だが、ある程度新しいCPUやチップセットである必要がある。
そして、本稿のテーマであるRTX 30シリーズのResizable BAR対応によってゲームの性能向上があるかないかに関しては、既にNVIDIAが検証を行ない、効果のあるゲームのリストを挙げている。下のリストは2021年3月末の時点で、NVIDIAによって確認されたResizable BAR対応ゲームである。
- Assassin's Creed Valhalla
- Battlefield V
- Borderlands 3
- Control
- Cyberpunk 2077
- Death Stranding
- DIRT 5
- F1 2020
- Forza Horizon 4
- Gears 5
- Godfall
- HITMAN 2
- HITMAN 3
- Horizon Zero Dawn
- Metro Exodus
- Red Dead Redemption 2
- Watch Dogs: Legion
「Battlefield V」や「Watch Dogs: Legion」はNVIDIA肝いりのゲームだが、「Assassin's Creed Valhalla」や「DIRT 5」のように、起動時にAMDロゴが出るようなゲームもある。ゲームの設計上でより効く・効かないが分かれているのであって、特にゲームの“派閥”的なものとは関係ないようだ。
また、NVIDIAによれば、Resizable BARによって逆効果になるゲームも中には存在するという。ただ、そういうゲームの場合はドライバー側でResizable BARは無効化されるとのこと(ただし、そのゲームが何か、までは教えてくれなかった)。とりあえずはマザーボードのBIOSでResizable BARを有効化し、RTX 30シリーズもvBIOS更新しておけばいい、程度の考えで良さそうだ。
この連載の記事
-
第458回
自作PC
Arc B580のRTX 4060/RX 7600超えは概ね本当、11本のゲームで検証してわかった予想以上の出来 -
第457回
自作PC
インテル新GPU、Arc B580の実力は?AI&動画エンコードは前世代より超強力に -
第456回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」は高画質設定でも最強ゲーミングCPUであることに間違いはなかった -
第455回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」が最強ゲーミングCPUであることを証明する -
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 - この連載の一覧へ