最新パーツ性能チェック 第338回
Ryzen 5000シリーズが最強王座から陥落!?
Core i9-11900K、Core i7-11700K、Core i5-11600K検証!クリエイティブ系アプリ&ゲーム編
2021年04月26日 11時00分更新
「Premiere Pro 2021」や「Media Encoder 2021」で動画編集性能を検証
続いてはAdobeの「Premiere Pro 2021」で試してみよう。レンダリングファイルが一切ない状態のタイムラインを開き、そこに配置した4K動画(再生時間約3分、29.97fps)を最初から再生し、その際にコンソールに出力される「平均プリフェッチタイム」を比較する。
このグラフの数値は動画データを読み込んだ時の待ち時間になるが、バーが長いほど再生が滞る可能性が高くなる。結果は、今回検証に用いたCPUであれば、どれでも再生時にコマ落ちしないことがわかった。しかし、より“余裕をもって処理できる”CPUはどれかと言われたら、Ryzen 5000シリーズと答えたい。8コア/16スレッドのCPUで比べると、Ryzen 7 5800Xが1.3ms程度短時間で処理を終えている。
次に、同じ4K動画のタイムラインをレンダリングした時間も比較してみよう。
第10世代Coreに比べ、第11世代Coreじゃ劇的に処理時間が短くなった。タイムラインの長さは3分で、これが1分近く短縮するとなれば、第11世代Coreにアップグレードする意味はあると言える。Ryzen 5000シリーズのほうが第11世代Coreよりも高速だが、両者の差は極めて小さい。ちなみに、このテストではコア数が少ないCPUのほうが微妙に高速である点も面白い。
ここまでのテストで使用した4KタイムラインをMP4にエンコードする時間もチェックしておきたい。Premiere Pro 2021から「Media Encoder 2021」にエンコードキューを出してエンコードする時間を計測した。コーデックはH.264とH.265を利用し、ビットレートは共に平均50Mbps、VBRの1パスエンコード(H.265の場合は品質「高」設定)、フレーム補間は「オプティカルフロー」とした。
H.264ではトップのRyzen 9 5900Xと、2番手のCore i9-11900KとRyzen 7 5800Xの差がたった1秒と極めて小さい。また、Core i9-11900Kよりもコア数が多いCore i9-10900Kのほうが微妙に時間がかかっている点に注目してほしい。Cypress Coveを採用したことによるIPC上昇効果が極めて有効であることがここでも確認できた。
計算負荷がH.264よりも高いH.265では、CPUパワーの差が顕著に表れた。最速は12コア/24スレッドのRyzen 9 5900Xで、2番手に8コア/16スレッドのRyzen 7 5800Xと続き、インテル製CPUはその後に続く。ここではCypress Coveの力はZen3に及ばない。CPU設計の違いがエンコーダーとうまく噛み合うとこうなるという一例だが、少し前までは「Adobe系とRyzenの相性は悪い」とされてきたことを考えると、すっかり時代も変わったものだ。いや、ここはむしろRyzenが劇的に良くなった、と言うべきか。
GPU使用率の高い「DaVinci Resolve Studio」では接戦
同じ動画編集系ソフトでも、GPU使用率が非常に高い「DaVinci Resolve Studio」ではどうなるか調べてみよう。今回は2本のタイムラインを準備。1つはBlackMagic RAW形式の4K動画に対し、Optical Flow+SpeedWarpでスローモーション化するというもの。そして、もう1つはフルHDの動画をSuper Scale処理で4K化したもの。それぞれ4KのH.264 MP4形式に書き出し、ビットレートは50Mbpsとしている。エンコーダーは「Native」を選択した。
V-Ray BenchmarkのGPU RTXテストの傾向と似ており、エンコード中のGPU占有率が極めて高いこのテストでは、CPUの差は微々たるものだった。物理コア数に勝るRyzen 9 5900Xが頭一つ抜けているものの、残りのCPUは五十歩百歩だ。ただし、第10世代Coreと第11世代Coreの差はわずかではあるが存在している。GPUバウンドな状況でもCPUの差は出るようだ。
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