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4つのキーテーマに基づきエンハンス、「Oracle DB 21c」のAutoMLやブロックチェーンテーブルも紹介

1年間で300以上のサービス強化、オラクルがOCI最新動向を説明

2021年03月31日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは2021年3月26日、同社が提供するIaaS/PaaS「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の定例アップデート説明会を開催した。昨年1年間では300以上、最新の四半期(12月~2月の3カ月)でも65以上の新機能追加/機能強化を行っており、こうしたアップデート内容から主要なものをピックアップして説明するもの。

 定例説明会の第1回目となった今回は、OCIが目指すサービス/機能拡充の方向性を紹介したほか、昨年1年間を通じた主要なアップデート、さらに「Oracle Database 21c for Cloud」のリリース、機械学習/データ分析を自動化するAuto ML機能の強化、Oracle Databaseへのブロックチェーンテーブル機能の実装といった、直近3カ月の重要なアップデートが説明された。

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)では昨年12月から今年2月の3カ月間で65以上の新機能追加や機能強化が行われた

説明を行った日本オラクル テクノロジー事業戦略統括 ビジネス開発推進本部 本部長の佐藤裕之氏

「4つのキーテーマ」に基づいて68の主要サービスを機能強化していく

 日本オラクルでは今後、3カ月に1回のペースで記者向けに定例説明会を開催していく予定だという。出席した同社 ビジネス開発推進本部 本部長の佐藤裕之氏は、こうしたアップデートの定例説明会を開催する理由を次のように説明した。

 「過去のソフトウェア製品では1年、2年に一度、大きなアップデートのタイミングで新機能や機能強化を紹介すればよかった。しかし、OCIでは機能追加や機能拡張が日々行われており、クラウドサービスの場合は1年経つとかなり違った姿になってしまう。そこで、メディアの方にも四半期に一度、全体像を理解いただく機会を作れたらと考えた」

 実際、OCIでは提供するIaaS/PaaSの主要サービスが68まで増加しており、昨年1年間で300以上の機能アップデートが行われたという。こうした新サービス追加や機能強化の全体的な方向性、キーテーマは、「柔軟な基盤」「データ基盤」「クラウドセキュリティ」「配置の柔軟性」の4つだと佐藤氏は説明する。

 当然、2020年のアップデートの多くも、この4つのキーテーマに沿ったものになっている。佐藤氏は、キーテーマの説明もまじえながら、主要なアップデートを紹介していった。

OCIのサービス/機能拡充は「4つのキーテーマ」に基づき進められている

OCIにおける2020年の主要なアップデート

インフラ構成はより柔軟に、セキュリティは自動化でより堅牢に

 まずは「柔軟な基盤」だ。ここでは、OCIが提供するコンピュートやストレージの構成変更をより柔軟なものにし、ユーザーの使い勝手を向上させることを目指している。たとえば昨年は、コンピュート(インスタンス)のサイジングにおいて、OCPU(仮想CPU)数とメモリ容量を柔軟にカスタマイズできるシェイプ(インスタンスタイプ)を発表した。このFlexibleシェイプを使えば、OCPU数を1CPU単位で、メモリ量を1GB単位で設定/リサイズすることができ、使用リソース量とコストを最適化することができる。

 「これまではクラウドベンダーが決めたサイズ(CPU数、メモリ容量)のシェイプしか提供されておらず、その“中間”のサイズを使うことができなかった。たとえば、本当は5CPU/60GBの仮想マシンが使いたいが、4CPU/60GBか8CPU/120GBしか用意がなければ大きなほうを選択しなければならず、コストの無駄が生じた。オラクルは今回、その“中間”を選べるようにした」

 またストレージにおいても、作成済みのブロックボリュームに対して、オンライン(無停止)でのサイズの変更や、パフォーマンスタイプの変更が行えるようにしている。

仮想CPU/メモリ容量を細かくカスタマイズできる新たなコンピュートシェイプ(インスタンスタイプ)を投入している

 「クラウドセキュリティ」というキーテーマに関しては、OCIで自動化されたエンドトゥエンドのセキュリティを実現するための機能群を紹介した。たとえば「機密データを公開設定にしてしまう」といったユーザーの設定ミスを自動検知/是正する「Oracle Cloud Guard」、セキュリティ設定を強制適用することで個人情報など機密性の高いワークロードやデータを安全に扱える高機密環境「Oracle Maximum Security Zones」、データベースのセキュリティ対策(セキュリティ構成の評価やアクティビティ監査、機密データの発見、マスキングなど)を自動化/可視化する「Oracle Data Safe」などが、新機能として昨年追加されている。

セキュリティの自動化を推し進めることで、人的ミスも含めたセキュリティ事故を低減する狙い

あらゆるデータタイプに対応するコンバージドデータベース戦略

 「データ基盤」については、まず、あらゆるデータタイプ/ワークロードに単一のデータベースで対応する「コンバージドデータベース(統合データベース)」戦略を紹介した。従来のRDBが対応してきた構造化データだけでなく、JSON、キーバリュー(NoSQL)、地理情報、グラフデータ、ファイルまで、多様なデータをシングルデータベース(Oracle Database)で一括して格納/管理/分析可能にする考え方だ。

 またOCIでは、Oracle DB/Oracle RACをインストールした仮想マシンのほか、ベアメタルサーバー環境、顧客専有の「Oracle Exadata」環境もクラウドサービス(PaaS)として提供している。加えて、自律型データベースサービスである「Autonomous Database」も提供しており、ユーザーのメンテナンス負担を大きく削減することができる。

 昨年は、パーシステントメモリ(永続性メモリ)に対応し、I/Oレイテンシが10倍、トランザクション処理のI/Oが2.5倍向上する進化を遂げたた最新版Exadataをクラウドで利用できる「Exadata Cloud Service X8M」がリリースされた。また、Autonomous Databaseを機能拡張し、新たに「Autonomous JSON Database」がラインアップされている。

OCIではOracle Databaseを中心に据えたコンバージドデータベース戦略を展開している。特に、その運用管理を大幅に自動化するAutonomous Databaseを旗艦サービスと考え、顧客への提供形態も拡充している

 またOCIでは、Enterprise版のMySQLもマネージドサービスとして提供しており、ここでは新たにMySQL向けの分析処理高速化エンジン「HeatWave」の提供を開始している。これに加えて「昨年は、いわゆるビッグデータ関連の、データの収集、蓄積/管理、提供、可視化/分析を担う一連のサービス群が拡充された」(佐藤氏)。

MySQLのマネージドサービスで高速化エンジン「Heatwave」を提供開始。またビッグデータ処理向けのデータ基盤を構成するサービス群もラインアップした

 そのほかにも昨年は、新たな運用管理ソリューション「Oracle Cloud Observability and Management Platform」の提供開始のほか、HPCソリューションやクラウドネイティブソリューションのサービス強化にも取り組んだ。加えて、OCIとMicrosoft Azureとのデータセンター間相互接続Oracle Cloud VMware Solutionといったパートナーシップ拡大も図っている。

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