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4コア/24GBメモリが永久無料の「Always Free Arm」も、Armエコシステム支援で利用促進を図る

オラクル、OCIで“1コア=1セント/時間”のArmベースインスタンスを発表

2021年05月26日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 米オラクルは日本時間2021年5月26日、同社のIaaS「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」において、Armベースのコンピューティングサービス「OCI Ampere A1 Compute」の提供を開始した。仮想マシン利用料が「1コア(1 OCPU)あたり0.01ドル/時間」と安価な設定であるのと同時に、高いスケーラビリティも有しており、汎用コンピュートからインメモリデータベース、HPCまで幅広いユースケースに適合するとしている。

 さらにオラクルでは、4コア/24GBまで無料で永続利用できる「Always Free Arm」など複数のプログラム提供、Armプラットフォームで動作するソフトウェアエコシステムの拡大支援なども発表しており、OCIにおけるArmプラットフォームの利用を強く後押ししていく構えだ。

Armベースのコンピューティングサービス「OCI Ampere(アンペア) A1 Compute」の概要

記者向けの説明を行った米オラクル OCI コンピュート製品管理担当VPのマット・レナード(Matt Leonard)氏

最大80コアの仮想マシン、160コアのベアメタルサーバーを柔軟に提供

 OCI Ampere A1 Computeは、Armの64ビットサーバープロセッサ向けアーキテクチャ(AArch64)を採用した「Ampere Altra」プロセッサを使い提供される。1~80 OCPU、コアあたり1~64GBメモリを提供する仮想マシンと、160 OCPU/1TBメモリのベアメタルサーバーという2形態をラインアップする。オラクルが提供するリージョンに加えて、顧客データセンターに配置する顧客専有リージョン「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」でも利用が可能。

 Ampere A1 Computeの仮想マシンは、1コア(1 OCPU)あたり0.01ドル/時間、1GBメモリあたり0.0015ドル/時間と安価な利用料金が特徴だ。さらに、仮想マシンのコア数とメモリ容量の比率が固定されておらず、コア数/メモリ容量を柔軟に設定できるOCI独自の「Flexible VM」シェイプで提供される。これにより、ユーザーはワークロードに適した仮想マシンサイズを自身で設定することができ、利用コストをさらに最適化できる。

 米オラクル OCI コンピュート製品管理担当VPのマット・レナード氏は、Ampere A1 Computeの特徴として、上述したプライスパフォーマンスの高さに加えて「予測可能なパフォーマンス」「CPUレベルでのセキュリティ」を挙げた。Ampere Altraプロセッサは、すべてのコアが最高周波数(3.0GHz)で動作するよう設計されており、さらにシングルスレッドコアであるため、同じプロセッサ上で動作するほかのワークロード/ユーザー(ノイジーネイバー)からの影響を受けない。この特徴から、コア数を増やすことで性能をリニアにスケールさせることができ、またコアを共有する他のスレッドからセキュリティ影響を受けることもないと説明する。

 こうした特徴から、Ampere A1 Computeは幅広いユースケースに対応できるとレナード氏は説明した。Webアプリケーションやコンテナアプリケーションといった汎用的なワークロードから、コンピュート集約型(Compute Intensive)、モバイルアプリケーション開発/テスト、インメモリキャッシュ/データベース、科学技術計算/HPCといったワークロードまで、多様なワークロードの実行に適しているとしている。

 「(今回の発表前に、一部顧客への)限定提供を行ったが、幅広いユースケースでの利用が見られた。HPCワークロードを扱うさまざまな研究機関も高い関心を持っている。ただ、今回は高いプライスパフォーマンスを提供できるサービスになっており、汎用ワークロードでの採用が増えるのではないか」

「予測可能な性能」「シングルスレッドコア」「高いプライスパフォーマンス」の特徴から多様なワークロードに適すると説明

Arm利用を促す開発エコシステムの構築

 Armプラットフォームは、従来主流だったx86プラットフォームとのバイナリ互換性を持たないため、利用を促すためにはArm対応のソフトウェアや開発ツール群がそろっていなければならない。レナード氏も「重要なのはArm周辺の(ソフトウェア)エコシステムをいかに構築し、またサポートするかだ」と、オラクルとしてそこを支援していくことの重要さを語る。

 まずオラクル自身は、Armプラットフォームに対応したOracle Linux、Java、MySQL、GraalVM、Oracle Container Engine for Kubernetes(OKE)などの開発ソフトウェアスタックを有しており、これらはAmpere A1 Computeインスタンスで利用が可能だ。

 さらに今回、オラクルではAmpere A1インスタンス向けの「Oracle Linux Cloud Developer」仮想マシンイメージを用意している。これを使うことで、OCIクライアントツールやユーティリティ、一般的なプログラミング言語(Java、GraalVM、Python、PHP、Node.js、Go、C/C++)を含む開発環境をインストール、構成、起動できる。

Armプラットフォームに対応したソフトウェアエコシステム

 さらにレナード氏は「それだけでなく、開発者が使いたいツールを使えることも重要だ」と述べ、GitHubやGitLab、Jenkinsのワークフロー自動化、CI/CDツールがAmpere A1 Computeに対応したことも発表した。これらは「Deploy to Oracle Cloud」ボタンをクリックするだけで簡単に展開できるという。

 今回は、Jenkins、Spinnaker、TektonといったオープンソースCI/CDツールの開発を支援し、CI/CDエコシステムの発展を促すベンダーニュートラルな組織、Continuous Delivery Foundation(CDF)への参加も発表している。これもArm開発者エコシステムの成長と強化を狙ったもので、オラクルでは技術ブログやハウツーガイド、テンプレートなどを掲載したサイトを立ち上げるという。

 なお、オンプレミスのArm環境からの移行、あるいは他社クラウドのArm環境(AWSなど)からの移行については、バイナリの互換性はあるためリコンパイル不要で移行できると説明した。Armではライセンス供与したプロセッサ、およびそれを組み込んだサーバーについて、バイナリレベルでの互換性を保証する認証プログラムを設けており、そうした移行は可能だという。

CI/CDツールとの連携を強化したほか、Continuous Delivery Foundation(CDF)への参加も発表

永久無償枠と「Arm Accelerator」プログラムも発表

 Armプラットフォームの利用を促すために、オラクルでは複数のプログラムも提供していく。

 まずはAlways Free Armサービスだ。これまでOCIでは20以上のサービスにおいてAlways Free(永久無償枠)サービスを提供してきたが、今回ここにAmpere A1 Computeが加わる。具体的には、4 OCPU/メモリ24GBまでのAmpere A1 Computeインスタンスが、無料で永続的に利用できる。これとは別に、初めてサインアップしたユーザーに対しては、従来どおり30日間の試用ができる300ドルぶんの無償クレジット「Oracle Cloud Free Tier」も提供する。

 ただし、Armベースの開発プロジェクトを推進しており、このFree Tierでは必要を満たせない開発者や顧客企業、大学などに対しては、新たに「Arm Accelerator」プログラムも提供する。具体的なクレジット額などは案件ごとに判断されるが、このプログラムでは12カ月間の支援が受けられる。

 「オラクルでは、クラウド市場におけるここ数年の勢いをいかに維持していくかを考えてきた。そこで今回、その市場にArmのパワーを取り込んでいく取り組みを発表した。Ampere Altairプロセッサを通じて、誰もがArmのパワーをフルに活用できるクラウドを提供していく」

永久無償枠のAlways Free Armに加えて、Arm開発プロジェクトへのクレジット支援プログラムも打ち出した

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