Hondaの燃料電池車「クラリティ FUEL CELL」は次世代燃料戦争の勝者となるのか!?
2021年03月28日 12時00分更新
派手ではないが高級感があり
落ち着いた雰囲気の車内
室内を見ると、アコードに似た空間。ですが、さり気なく木目調パネルを使うあたりは、Honda eに似た雰囲気で、高級感とエコを意識させます。運転席はセンターコンソールが二階建てになっているためか、コクピット感が強い印象。どこか「走りのHonda」らしい印象を与えてくれます。
センターコンソールにUSB端子などが用意されているのは実にイマドキ。ですが、端子が後方に置かれているのは初めてで、ケーブルを差し込む時には手探りになりそう。ここはちょっと使い勝手が悪いかと。使い勝手でいえば、クラリティ FUEL CELLは電子サイドブレーキ車なのですが、サイドブレーキボタンにLED表示がなく、動作状態がメーターパネルを見ないと確認できないのは不便。目視確認する人は多いと思うので改善していただきたいと思いました。
ステアリングはスポーティーなD型ではなく、コンサバティブな円形。しっとりとしたレザータッチと、ステアフィールがオトナのクルマであることを意識させます。運転支援系はバッチリ用意されており、こちらも文句ナシ。ユニークなのはフロントガラスに数多くのカメラ類を搭載しているためか、ワイパーの動きが普通のクルマとは異なること。このワイパーが秀逸で、左前方の視界がとても良好。ほの車種もこうしてほしいなと思います。
メーターはLCDを採用。コントラストが高く視認性が良好で、ハイブリッド車のような表示。FCVだからといって、特別何か変わったことはありません。
ナビゲーション関係は、車両のインフォメーションはもちろんのこと、水素ステーションの場所はもちろんのこと、営業・休業も示してくれます。色々触っていたら、Hondaからオーナーに対してメールが送られているのを発見、開いたらメッセージを読み上げてくれました。スマホと車両をUSB接続すればApple CarPlayをはじめとするサービス(機能拡張)が利用できます。
後席も広くて高級感のある作り。Cセグメントとは異なる足元の広さに「自分に家族がいたら、こういうクルマを買うんだろうなぁ」とも。クラリティ FUEL CELLはリアシート後部に直系65㎝の水素タンクが横たわっているのですが、それを感じさせない広さと居心地のよさ。きっとVIPな方々を乗せても「狭い」という不満を口にされる方は少ないでしょう。面白いなぁと思ったのは、後席のヘッドレスト後方に鍵穴があり、試しにクルマのキーを差し込んだところ、バックドアが開いたではありませんか。車内からトランクルームを開けられるのは普通ですが、逆に万が一車上荒らしに合っても、被害は最小限に守るという強い意志を感じました。
そのトランクルームですが、イマドキのDセグメントセダンの収納を見慣れた目からすると、車格にしてはかなり狭い印象を受けます。具体的にはゴルフバッグが2個入るかどうか、といったところでしょうか。これは水素タンクに依るもので仕方ないところでしょう。床は二層式になっており、蓋をあけると、さらに収納が。大抵、こういうところにはパンク修理キットが入っているもので、どこにあるのかと探してみたら、右側のフェンダー部分に隠れていました。これもまたユニーク。
フロントボンネットを開けると中はギッシリ。燃料電池の中核であるFCスタックの小型化をさらに進めて、ボンネット内に収められたことがクラリティ FUEL CELL最大のトピックスで、モーター/ギアボックスと一体になった駆動ユニットは、「レジェンド」用の3.5リッターV6エンジンとほぼ同じ大きさ、重さになったのだとか。
電源ボタンを押して外に出ると、少し甲高い「ミーン」という、FCスタックに空気と水素を取り込むエアポンプ系の音が微かに聞こえる程度で実に静か。地下駐車場などでは、反響の影響もあり結構聞こえやすかったりしますが、屋外ではほとんど気づくことはないでしょう。実際、駐車場内や狭い路地を徐行していた際、クルマが近づいているにも関わらず、前を歩く人間やハトがクルマの存在を気づくことはありませんでした……。
ちなみに駆動方式はFF。モーターの最高出力は177psで最大トルクは30.6kgf・mと、1.9トンの車体を動かすには十分なスペック。それでは街にくりだしてみましょう。
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