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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第598回

最後のAtomとなるChromebook向けプロセッサーのJasper Lake インテル CPUロードマップ

2021年01月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Rocket Lake-Sのダイサイズは8コアで219mm2
インテルCPUとしてはかなり大きい

 さて、そのRocket Lake-Sの特徴そのものは従来から発表されているものと大して変わらない。ただ今回ダイショットが公開されたので、これをベースに分析してみた。

Rocket Lake-Sの特徴。もう少し説明が増えてもよさそうなものだが……

 下の画像は上が先の画像から切り抜いて歪みを修正したうえで縦横比を調整したRocket Lakeのもの。下は8コアのCoffee Lakeのダイショット(以前インテルが提供したもの)である。

Rocket Lake(上)、Coffee Lake(下)ともにメモリーインターフェースは下辺に配置されている

 ここで縦横比の調整だが、どちらも14nmプロセスで製造しているので、DDR4/LPDDR4のI/F部のPHY(最下層の物理層)の寸法は同じであろうという仮定のもとに、このPHY部分(緑色で囲った部分)が同じサイズになるように調整した形だ。

 8コアCoffee Lakeのダイサイズが180mm2前後とされていることから考えると、8コアRocket Lakeのダイサイズはおよそ219mm2と算出される。横幅はわずかに短いが、縦方向が1.2倍ほどに伸びている。これはおそらく個々のCPUコア(+3次キャシュ)の高さが2割ほど伸びて、これがそのまま反映されている格好と思われる。

 不思議なのはGPUである。桃色で囲った部分がGPUになるが、Coffee LakeのIntel UHD 630(24EU)がおよそ45.4mm2、対するRocket Lakeはおよそ45.9mm2と算出された。それもあって、ひょっとしてRocket LakeのMedia Processing Engineは右側のブロックに移動したのではないか? と図には記しておいた。

 ただCoffee Lakeの方も良く見ると横が3列に分かれており、EUが実装されているのは左の2列だけ(しかも一番左上にはEUが配されていないように見える)。残りのブロックはGPUのBack EndやMedia Encode Engineその他がごちゃごちゃ詰まっている感じであり、Rocket Lakeはこうしたもののかなりの部分を右側のUncore部に移動させたのではないか? という気もする。そうであれば、桃色で囲った部分がほぼ同じ面積でもそれほど不思議ではない。

 それはともかくとして、8コアで220mm2近いというのは、インテルとしてはかなりのビッグサイズのダイである。なにせ10コアのComet Lakeが200mm2そこそこなので、Comet Lakeの12コア構成相当のダイサイズになる。確かにこれは10コア製品が出ないわけだ。

 そしてこれだけダイサイズが大きければ、ピークの消費電力が増えるのも仕方ないところだろう。連載596回でも書いたが、Rocket LakeはK付きがTDP/PL1 125W、PL2が250W。KなしがTDP/PL1 65W、PL2 224Wだそうであるが、K付きにしてもKなしにしても、実際はPL1の枠で動くことは少なく、すぐにPL2まで上がる振る舞いをしそうで、実際のアプリケーション利用の際の平均的な消費電力がどのくらいになるかはきちんと確認しておく必要がありそうだ(測定が面倒そうだが)。

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