このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第593回

車載向け市場にフォーカスしたGSP AIプロセッサーの昨今

2020年12月13日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

GSPの量産を2020年第2四半期に開始
7Wで16TOPSの処理性能

 HotChipsで発表した2年後の2019年11月、BlaizeはStealthモードから脱却。GSPの量産を2020年第2四半期に開始することを明らかにした。この前に社名はThinCIからBlaizeに変更されており(理由は不明)、これに合わせてPicassoと呼ばれるSDK(ソフトウェア開発キット)、およびAI Studioと呼ばれる「プログラミングレス」のソフトウェア開発環境もリリースされた。

 チップそのものは、最終的に7Wで16TOPSの処理性能を持つとされており、組み込み向けにクレジットカードサイズのモジュール、およびM.2/PCIe カードタイプのものがすでに用意されている。

16 GSP Coresというのは、要するにQuadが16個という意味と思われる

クレジットカードサイズのモジュールには、画像入力用のCSIも搭載されている模様。ただホストとのI/Fはよくわからない(PCIeだろうか?)

PCIeアドインカードの方は、これは1個搭載するタイプ。実際にはX1600Eをそのままマウントしてるだけ

GSPが4個のもの。中央にあるのがPCIeスイッチで、そこに4つのGSPがつながっている構造。ちょっと気になるのはM.2モジュールにはDRAMが外付けされていたのに、こちらにはないこと。裏面実装だろうか?

 ちなみにこの量産チップ(El Canoという名前らしい)はSamsungの14nm(14LPC?)で製造され、動作周波数は1GHz。またGSPの内部にはQuadとは別にOS稼働や制御用にDual Cortex-A53が搭載されているそうだ。

 量産開始は今年第4四半期(もう終わりそうだが)予定で、M.2フォームファクターのXploler X1600Eが299ドル、組み込み向けモジュールのPathfinder P1600が399ドル、4つのGSPを搭載したXploler X1600P Quadが999ドルとなっている。

 GSP自体は汎用というか、AIやグラフ処理が必要な場所にどこにでも利用可能であるが、同社や販売パートナーであるNSI-TEXEが力を入れているのは間違いなく自動車向けである。

 MobileEyeのEyeQ5やNVIDIAのDrive AGX Xavierが狙うADAS/自動運転向けに、GSPを積極的に売り込んでいくつもりと思われる。無事にシリコンが出たというだけでも大した成果なのがAIスタートアップの現状であるが、それを乗り越えて自動車向けというハードルの高い市場に切り込んでいくBlaizeは、さて市場を掴めるだろうか?

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン