最新パーツ性能チェック 第324回
第4世代Ryzen&AMD 500シリーズチップセット搭載マザーボード限定のはずが……
Intel環境でもRadeon RX 6000シリーズのSmart Access Memoryが使えるのか検証してみた
2020年12月03日 11時00分更新
AMDの“Big Navi”こと「Radeon RX 6000シリーズ」は、同社のRDNA 2アーキテクチャーを採用したGPUだ。7nmプロセスで高クロック同左、さらにInfinity Cacheに16GBのGDDR6メモリーといった内容は、GeForce RTX 3080や3070と真っ向から勝負できる“最高に強いRadeon”と言って差し支えない。
すでに発売している「RX 6800 XT」および「RX 6800」の性能は「Radeon RX 6800 XT/6800で強いRadeonが久々に戻ってきた!」の前編・後編で検証しているが、RX 6000シリーズの性能を語る上で欠かせないのが“SAM”、すなわち「Smart Access Memory」の存在だ。
SAMについて簡単に解説すると、今まで慣例的にわずか256MBの小さな窓を通していたCPUからVRAMへのアクセスを止めると、そのオーバーヘッドが減って描画性能が上がる(ものもある)というものだ。
AMD縛りと思われていたSmart Access Memoryだが……
AMDはSAMについて、当初「Radeon RX 6000シリーズ+AMD 500シリーズチップセット+Ryzen 5000シリーズ」という限定した環境特有の機能であるかのように言っていた。しかし、実際はPCI Express 2.0の時代から存在する機能「Re-Size BAR」(あるいはResizable BAR:リサイズ可能なBase Address Register)を有効活用したものだ。つまり、AMD製のCPUやチップセット、GPUを用いなくとも、SAMに準じる動作は期待できるのだ。
そんな中、ASUSはいち早く同社製のIntel Z490チップセット搭載マザーボードの一部に向けて、SAM(Re-Size BAR)対応を謳ったβ BIOSの提供を開始した。同様のBIOSが今後Intel H460やIntel Z390チップセット搭載マザーボードにも提供されるかについてはまったく不明だが、今回は先んじてSAMに対応したIntel Z490チップセット搭載マザーボードを試そうと思う。
今回はCore i9-10900K+ASUS製のIntel Z490チップセット搭載マザーボード+Radeon RX 6800 XTという、「Intel製プラットフォーム上のRadeon」な環境を用意。SAMに準ずる機能(本来はRe-Size BARと呼ぶべきだが、便宜上SAMと呼んでしまおう)がゲームのフレームレート向上に効くのか否かを検証してみたい。
有効化手順はRyzen環境と同じ
今回は「ROG MAXIMUS XII EXTREME」を使って、SAMを有効化する手順について解説しよう。まずはASUSからリリースされたBIOS「1002」にする必要があるが手順については割愛する。β BIOSなのでシステムが不安定になるかもしれないし、万が一BIOS更新に失敗したら最悪マザーボードが動かなくなる可能性もある。つまり、完全に自己責任の世界になるので、同様の検証を行なう場合その辺を覚悟の上で挑んでいただきたい。
BIOSの書き換えが完了したらBIOS設定を開き「Advanced」→「PCI Subsystem Settings」を開こう。すると「Above 4G Decoding」の下に「Re-Size BAR Support」という項目が出現しているはずだ。これを「Auto」に変更しよう。さらに、「Boot」→「CSM(Compatibility Support Module)」内にある「Launch CSM」も「Disabled」にする必要があるが、ASUS製マザーボードの場合、標準でDisabledになっているはずだ。
あとはRadeon RX 6000シリーズを装着し、普通にドライバーをセットアップするだけで準備OK。デバイスマネージャー上でビデオカードのプロパティーを開き、リソースタブに「大容量メモリの範囲」という項目があれば、SAMが有効になっていることになる。
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