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仕事に差がつく!阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第10回

Web版を中心に共通化と進化を遂げる今後のOutlook

2020年11月06日 09時00分更新

文● 阿久津良和(Cactus) 編集●MOVIEW 清水

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 本連載は、マイクロソフトのソリューション「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Office 365」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。

 Office 365を使いこなして仕事を早く終わらせたい皆様にお届けする本連載。今回はOutlookの今後に注目する。

“One Outlook”の実現に一歩近付けるMSTとOPX

 読者諸氏もご承知のとおり、デスクトップアプリのOutlookとWeb版のOutlook(Outlook on the web)の機能は大きく異なる。確かに差は縮まりつつあるが、macOS版などプラットフォームによって使えない機能が存在するのが現状だ。

 Microsoftが米国時間2020年9月22日から開催したエンタープライズ向けカンファレンス「Microsoft Ignite 2020」のセッション「The Evolution of Outlook」では、今後Outlookに導入されるMST(Microsoft Sync Technology)を披露した。まずは下図をご覧いただきたい。

各プラットフォームが採用するアーキテクチャー

 各プラットフォームのOutlookが異なる技術を用いていることを示したスライドだ。Microsoftが2014年に買収したAcompliの名前も確認できる。一方で下図に示したのは今後のOutlookが採用するアーキテクチャーだ。メール基盤をマイクロサービス化し、メールや予定表など各サービスを提供する部分も共通化。各プラットフォームのOutlookはUIライブラリーのReactを用いるという。Microsoftは「MSTによって(プラットフォーム間の同期)パフォーマンスと信頼性が格段に向上する」と述べている。さらにWeb版Outlookは、メール一覧表示の描画速度が約4.5倍、メール本文の描画速度が約7.8倍向上し、メモリー消費量も約5.9倍軽減するという。

MSTを用いることで機能の共通化を図る

 本セッションで注目したいキーワードがもう1つある。それがOPX(Outlook on the web Powered Experiences)だ。多くの新機能をWeb版Outlookで構築し、デスクトップ版など他のプラットフォームに機能を解放する取り組みを指す。たとえばWeb版Outlookなどは、適切な会議室を見つけるルームファインダーと呼ばれる機能を備えているが、macOS版は未実装(筆者はMacを所有していないため未確認である)。OPXによってこのようなプラットフォーム間の機能差を埋めていくという。

今後はAIを活用したルームファインダーもmacOS版Outlookに提供される

 OPXの構造を知るには、別セッションの「Delivering a better, more innovative Outlook faster than ever」も参考になる。OPXは[Microsoft Edge WebView2]コンポーネント経由でデスクトップ版やmacOS版に機能を提供するという。これらの変更はOffice Insider版で検証を重ねていくため、我々のメール環境が今日明日変化するものではない。だが、日々の仕事に欠かせないOutlookの進化を知っておいても損はないだろう。なお、同セッションでは、Outlookで使用される各種データとサービスを調整する「AL(Augmentation Loop)」についても解説された。

OPXの主な流れ。Web版Outlookを通じてデスクトップ版Outlookでも特定の機能を有効にする

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