日本の営業に関する意識と実態、HubSpotの定例調査より
営業職の20代、7割が「転職や起業」前提でキャリア開始 …マネージャーはどうすべき?
2025年02月26日 08時00分更新
HubSpot Japanは、2025年2月18日、第6回となる「日本の営業に関する意識・実態調査2025」の結果を発表した。
本調査では「営業職における世代間の意識の違い」「最新テクノロジーやツールの導入状況」「変遷する顧客の需要」について分析。特に、若い世代が営業職を“キャリアの足掛かり”と捉えている現状が明らかになっている。
HubSpot Japanのマーケティングチーム シニアマネージャーである土井早春氏は、「(若手が営業を足掛かりと捉えていることは)成長したメンバーが流出する面ではネガティブだが、将来を見据える意識をきっかけにコーチングをすることも可能である。今後、マネージャーは、個人の短期目標と組織の中期目標をすり合わせて、いかに具体的な仕事に落としていくかが重要になってくる」と説明した。
世代によって異なる“営業というキャリア”の捉え方
本調査は、日本のビジネスを支える営業組織の現状を定点観測する目的で行われており、今回(2024年11月実施)で6回目となる。法人営業に焦点を当て、「営業(売り手)」側の1545名(経営者・営業責任者・営業担当者)と「顧客(買い手)」側の515名(経営者・会社員)を調査対象としている。
最初のテーマは、営業職における「世代間の意識の違い」だ。
まず判明したのは、“営業というキャリア”に対する意識の違いである。20代の68.2%が、キャリアスタート時に「営業職のエキスパート」を目指すのではなく、「他職種や起業のためのステップ」と捉えていた。同じように回答したのは、30代で50.4%、40代では47.2%と、世代が上がるにつれて比率が下がる。
副業や自己啓発についても同様だ。20代の74.1%が、営業職に就いた際に「成果を上げることや昇進」よりも、「副業や自己啓発」に注力することを希望していたと回答。これは全世代で最も割合が高い。
そもそも、どのような理由で営業職を選んだのか。最も回答が多かったのが「やりがいがありそうだから」で26.7%。以下、「会社から指定された」「能力や性格を活かせるから」「安定した収入のため」「自己成長のため」が続いた。
これを「営業職に就いた時期別」で分類すると、2010年以降では、「自己成長のため」「安定した収入のため」が上位3位に入った。土井氏は、「理由として考えられるのは、リーマンショックと就職難。『自己成長しなければ安定した収入を得られない』という危機感から、就職・転職における仕事の選び方の意識が変わったのでは」と分析する。
“営業を極めようとする人”が若い世代になるほど減る背景として、転職の一般化や、就社からジョブ型への転換など、世の中全体の流れがある。今後の営業組織は、メンバーが描く将来像が多様化していくため、マネジメントの難易度が上がっていくという。
土井氏は、「メンバーがどのような価値観を持っているのか、今後のキャリアで何を大切にしたいかをヒアリングして、メンバー個人の長期目標と組織が達成すべき中短期目標をつなぐことが重要」と強調する。加えて、「CRMなどを活用して、個人の営業成果を幅広く可視化し、精度の高い評価やコーチングをすることも有効」だと付け加えた。
