Apple Watch 6に新デザインのiPad Air! 秋のアップル発表会第1弾 第21回
新MacBook Airにも迫る処理能力「iPad第8世代」レビュー
2020年10月13日 12時00分更新
MacBook Airにも迫る処理能力
iPadは、薄さとともに高性能化も目指すiPad Airと比べると、パフォーマンス的に1歩下がった位置にある。今回のiPadのA12 BionicとNeural Engineの組み合わせは、ほぼ同時に発表されたiPad Airではなく、その1世代前の旧iPad Air(第3世代)と同様のチップ構成だ。ちなみに最新のiPad Airは、A14 BionicとNeural Engineの組み合わせとなっており、Aシリーズのバージョンとしては2世代進んでいる。
先のスペック表でも示したように、第6世代と第7世代は、チップ構成が同じなので、他の要因の差異による影響も考えられなくはないが、パフォーマンス的にはほぼ同等のものと思われる。ここでは今回の第8世代のiPadに、筆者の手元にある第6世代、さらに参考までにiPad Pro 12.9インチ(2020)の3モデルでベンチマークテストを実施してパフォーマンスを比較することにした。
テストでは、Androidデバイスなどのベンチマーク結果としてよく見かけるAnTuTuと、パソコンを含めた幅広いデバイスで利用可能なGeekBenchの2種類のアプリを使ってパフォーマンスを測定し、比較した。なおAnTuTuは、おそらく主に政治的な理由で現在はGoogleのPlay Storeから削除されているが、アップルのApp Storeからは、iOS/iPadOS版が無料でダウンロードできる。一方のGeekBenchは、macOSやWindows版、さらにはAndroid版も無料なのに、なぜかiOS/iPadOS版は有料で、App Storeで120円で購入できる。
3つのモデルについて、AnTuTuの統合スコア、GeekBenchのCPU(Multi Core)、同Computeの結果を表に示す。
iPad(第8世代) | iPad(第6世代) | iPad Pro(2020) | |
---|---|---|---|
AnTuTu総合 | 456614 | 235961 | 760949 |
--- CPU | 136576 | 96190 | 185966 |
--- GPU | 174597 | 48890 | 363251 |
--- MEM | 72827 | 41319 | 134317 |
--- UX | 72614 | 49562 | 77415 |
GeekBench CPU Single | 1114 | 772 | 1128 |
GeekBench CPU Multi | 2626 | 1427 | 4720 |
GeekBench Compute (GPU) | 5426 | 3216 | 12179 |
まず、AuTuTuの結果を見ると、ざっと言えば第8世代は第6世代のほぼ2倍近いスコアを示している。これは、第7世代が第6世代と同等とすれば、1世代での違いとしては、かなり大きい。参考までに比較したiPad Proは、第8世代の2倍とまではいかないが、6割以上高速となっていて、さらにカテゴリーの異なるマシンであることが実感させられる。
このような傾向は、GeekBenchのCPUテストでも確認できる。第8世代は第6世代の8割以上高速で、iPad Proはさらに第8世代より約8割高速という結果となった。GPUを使った演算処理能力を評価するComputeでは、第8世代は第6世代より約7割高速、iPad Proは第8世代の2倍以上高速という結果だった。
今回のiPad発表時のプレスリリースには、「CPUパフォーマンスが40%高速化したほか、グラフィックス性能も2倍になっています」と書かれている。今回のテスト結果では、GPU性能よりもむしろCPU性能の向上が目立っているが、いずれにしても、はっきりと体感できるほどパフォーマンスが向上していることは間違いない。
こうした結果を見ると、第8世代のiPadは、まだまだiPad Proには及ばないものの、これまでのiPadからパフォーマンス面で一皮むけた能力を発揮するマシンに進化していることが分かる。GeekBenchの結果を試しにMacと比べてみると、CPU性能の2626という数字は、2020年のMacBook Airのデュアルコアモデル(2255)を上回り、同クアッドコアモデル(2769)に迫っている。GPU性能の5426は、同デュアルコアの6280や、同クアッドコアの9398に及ばないものの、それほどかけ離れた数字ではない。
なお、今回の第8世代のiPadも装備するようになったNeural Engineは、機械学習に関する処理を高速化するための専用チップだ。一般的なベンチマークでは性能を計測できないので、その有無によるパフォーマンスは評価していない。
今回のiPadは、これまでのiPadが相対的に不得手としていたような、特にCPUにとって負荷の重い処理や、3Dアニメーション、AR、あるいはAIがらみの処理に対しても、十分に満足できる性能を獲得したと言える。ただし、iPadシリーズとしては、まだまだ上がある。そのような高性能が要求される処理を中心とする用途については、さらに処理能力に余裕のある選択肢が用意されているというわけだ。
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