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Apple Watch 6に新デザインのiPad Air! 秋のアップル発表会第1弾 第21回

新MacBook Airにも迫る処理能力「iPad第8世代」レビュー

2020年10月13日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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9月18日から発売開始した第8世代「iPad」

 いまやiPadは、アップル製品の中でももっともバリエーションが豊富な機種となった。大きなくくりでも、iPad、同Pro、同Air、同miniと4種類もある。さらにサイズ違いのiPad Proは、明らかに別モデルと言っていい。その中でもっともオーソドックスなのは、言うまでもなく名前の後ろに何もつかない「iPad」だ。そのiPadも、ついに第8世代まで登場するという、アップル製品の中でもかなり息の長いモデルとなった。前モデルや他のモデルと比べてどこが魅力的なのか、レビューしていく。

スタンダードの安心感と充実

 言うまでもなく、iPadシリーズの中でもっともスタンダードなモデルは、このiPadだ。最初に登場したiPadから小型化を図ったmini、薄さを志向したiPad Air、そして高性能化を追求したiPad Proのようにモデルが分化していく中で、タブレット型コンピューターの標準としてのブレないアイデンティティを保ち続けている。

 これまでのiPad Airは、本体の厚みを除くと、パッと見にはiPadと区別しにくいデザインだった。しかしすでに発表されている最新のiPad Airは、エッジの効いた側面を採用し、iPad Proに近いデザインを志すようになった。それに対してこのiPadは、側面から裏面にかけて大きなアールが付いた伝統的なiPadならではのデザインを踏襲している。それは、おおまかに言えばminiと共通だが、大きさがまったく違うのでひと目で区別が付く。というわけで、iPadのデザイン的なアイデンティティーは、何も変わらないことによって、改めて強固なものとなったと言える。今や、ある種の安心感さえ感じさせる製品となった。

 実は、iPadの本体サイズは、前任機の第7世代の登場時に少し大きくなり、1世代前のiPad Air(第3世代)と厚さ以外は同じになっていた。それに合わせて画面サイズも9.7インチから10.2インチに拡大され、10.5インチのiPad Air(第3世代)とほぼ同じになった。今回の第8世代も、本体サイズ、画面サイズは第7世代と同じで、外見は何も変わらない。

キーボード用のSmart Connector

 また前任機の第7世代から、第6世代までにはなかったキーボード用のSmart Connectorを装備し、それもそのまま受け継がれている。

 それでは、第7世代と第8世代の違いは何なのか。もっとも意味の大きいのは、プロセッサーの相違だ。第7世代がA10 FusionとM10コプロセッサを採用するのに対し、第8世代ではA12 BionicとNeural Engineの組み合わせを採用している。実は、第6世代と第7世代への進化では、ディスプレイが大きくなったものの、プロセッサーは変わっていなかった。それに対して第7世代化から第8世代では、プロセッサーを強化した。iPadは、外見は維持しながら、このような漸進的な進化を続けている。

 なお細かい点を挙げれば、7から8でFaceTime HD(フロントカメラ)の仕様がわずかに変わっている。レンズのf値が2.2から2.4へと微妙に大きくなっている。これは必ずしもフロントカメラが暗いところに、弱くなったことを意味するわけではないだろう。CCDの感度が上がっているとしたら、以前と同様、あるいはそれ以上の明るさで撮影できるはず。いずれにせよ、その効果の違いに気付くのは難しいほどの差でしかないように思われる。

 念のため、第6〜8世代のiPadのスペックを一覧表で確認しておこう。ストレージ容量は、3世代に渡って何も変わっていない。リアカメラの仕様もまったく同じと言える。第6世代に「人体検出と顔検出」が欠けているのは、おそらく当時のOSの機能を反映したものだろう。実際、第6世代のiPadに最新のiPadOS 14をインストールして試してみたところ、少なくとも顔検出機能が動作することは確認できた。

第8世代 第7世代 第6世代
チップ 64ビット・A12 Bionic
Neural Engine
64ビット・A10 Fusion
M10コプロセッサ
64ビット・A10 Fusion
M10コプロセッサ
ストレージ 32/128GB 32/128GB 32/128GB
本体サイズ 250.6 × 174.1 × 7.5 mm 250.6 × 174.1 × 7.5 mm 240.0 × 169.5 × 7.5 mm
本体重量 495/490(Cellular)g 483/493(Cellular)g 469/478(Cellular)g
ボタン ホームボタン/Touch ID
電源オン・オフ/スリープ・同解除
音量上げる・下げる
ホームボタン/Touch ID
電源オン・オフ/スリープ・同解除
音量上げる・下げる
ホームボタン/Touch ID
電源オン・オフ/スリープ・同解除
音量上げる・下げる
コネクター Lightningコネクター
Smart Connector
3.5mmヘッドフォンジャック
nano-SIM(Cellular)
Lightningコネクター
Smart Connector
3.5mmヘッドフォンジャック
nano-SIM(Cellular)
Lightningコネクター
3.5mmヘッドフォンジャック
nano-SIM(Cellular)
ディスプレイ 10.2インチ/2160 × 1620/264ppi
500ニト
Apple Pencil(第1世代)対応
10.2インチ/2160 × 1620/264ppi
500ニト
Apple Pencil(第1世代)対応
9.7インチ/2048 × 1536/264ppi
Apple Pencil(第1世代)対応
カメラ 8 メガピクセル/f/2.4
オートフォーカス
パノラマ(最大43メガピクセル)
写真のHDR
バーストモード
タップしてフォーカス
タイマーモード
自動手ぶれ補正
人体検出と顔検出
8 メガピクセル/f/2.4
オートフォーカス
パノラマ(最大43メガピクセル)
写真のHDR
バーストモード
タップしてフォーカス
タイマーモード
自動手ぶれ補正
人体検出と顔検出
8 メガピクセル/f/2.4
オートフォーカス
パノラマ(最大43メガピクセル)
写真のHDR
バーストモード
タップしてフォーカス
タイマーモード
自動手ぶれ補正
ビデオ撮影 1080p HDビデオ撮影(30fps)
スローモーション(720p/120fps)
ビデオの手ブレ補正
3倍ビデオズーム
人体検出と顔検出
1080p HDビデオ撮影(30fps)
スローモーション(720p/120fps)
ビデオの手ブレ補正
3倍ビデオズーム
人体検出と顔検出
1080p HDビデオ撮影
スローモーション(240fps)
ビデオの手ブレ補正
3倍ビデオズーム
FaceTime HD 1.2 メガピクセル/f/2.4
720p HDビデオ撮影
写真のHDR
バーストモード
タイマーモード
人体検出と顔検出
1.2 メガピクセル/f/2.2
720p HDビデオ撮影
写真とビデオのHDR
バーストモード
タイマーモード
人体検出と顔検出
1.2 メガピクセル/f/2.2
720p HDビデオ撮影
写真とビデオのHDR
バーストモード
タイマーモード
スピーカー ステレオ ステレオ ステレオ
マイク デュアル デュアル シングル
センサー Touch ID
3軸ジャイロ
加速度センサー
気圧計
環境光センサー
Touch ID
3軸ジャイロ
加速度センサー
気圧計
環境光センサー
Touch ID
3軸ジャイロ
加速度センサー
気圧計
環境光センサー
バッテリー 32.4Wh・リチウムポリマー
Wi-Fi:最大10時間
Cellular:最大9時間
32.4Wh・リチウムポリマー
Wi-Fi:最大10時間
Cellular:最大9時間
32.4Wh・リチウムポリマー
Wi-Fi:最大10時間
Cellular:最大9時間

 なお、この表を見ても分かる通り、電力供給/有線データ通信ポートとして、iPadは誕生以来一貫してLightningコネクターを採用している。これは、iPad Proに続いてiPad Airが、MacBookシリーズと同様のUSB-Cを採用したのと対照的だ。アップル製品にも、ここまでUSB-Cが普及してくると、今回のiPadがUSB-Cになっても不思議ではなかったのに、と感じている人も少なくないだろう。

第8世代iPadもLightningコネクターを採用

 しかしこれは、このiPadが、ある種の標準デバイスとして外部仕様の継続性を重視していることの表れと考えられる。業務用や教育用としてもかなり普及しているため、突然コネクターを変更すると、各方面にいろいろ少なからずインパクトを与えることになる。アップルの標準タブレットとしてのiPadの最新モデル用に、あえて選択したポートがLightningなのだ。

 実は、今回のiPadに付属する20Wの電源アダプターの出力コネクターはUSB-Cになっている。それでも付属の充電用ケーブルが、USB-C ↔ Lightningとなっているのだ。それを考えると、それほど遠くない将来には、iPadもUSB-C化の波に飲み込まれるのかもしれない。

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