ビジネス概況、新機能、サードパーティ連携、活用事例を披露
1週間で1200万ユーザー増加!好調すぎる3周年のMicrosoft Teams
2020年03月25日 10時30分更新
マイクロソフトのコラボレーションツール「Microsoft Teams」が、2017年3月の提供開始から3周年を迎えた。それにあわせて、日本マイクロソフトは、Microsoft Teamsの現在の取り組みや活用事例、新機能などについて、オンライン会見で報告した。
4ヶ月でユーザー倍増 テレワークとともに導入が伸びるTeams
同社によると、現在、世界中で1日あたり4400万人以上がTeamsを利用しているという。2019年11月には2000万人の利用者だったものが、わずか4カ月で倍増以上となった。特に3月に入ってからは7日間で1200万人も増加し、日本でもこの1~2週間で最大の伸びを見せたという。今ではTeams上での会議は毎日9億件以上に達しているという。
これには全世界で新型コロナウイルス感染症が拡大しているのに伴い、テレワークを導入する企業が増加。Teamsを活用する企業や学校が増えていることが背景にある。
日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部の山崎善寛本部長は、「Teamsが、お客様の困難な状況をサポートするという点でお役に立っている。ビジネスがグローバル化するなかで、日本だけでなく、海外の顧客との接点や、海外の従業員のケアを行なう上でも利用されている。有事の際には我慢をしてビジネスを行なうのではなく、柔軟な働き方によってビジネスを止めない環境が実現できるようになる」と説明する。
Teamsは、2017年3月にOffice 365のチャットベースのワークスペースツールとして、 25言語で提供をスタート。その後、2017年6月には教育機関向けTeamsを投入し、同年9月にはAIを活用したビデオ会議と音声通話の提供を開始している。2018年7月には無料版の提供を開始するとともに、米国政府向けTeamsも提供している。「無料版は一部機能の制限はあるが、サインアップをしてもらえれば、個人やSOHO環境でもTeamsを活用できる。まずは使ってみたいといった人にも提供している」(山崎氏)とアピールする。
2019年1月には、現場の最前線で活躍する従業員向けに新たな機能を提供し、工場や店舗などで働くファーストラインワーカーが利用できる機能を提供している。2月には、医療機関向け連携機能を搭載し、患者の予約管理やシステム連携機能を追加。3月には、会議向け新機能と現場の最前線向け機能、産業向けシナリオを追加するといった進化を遂げてきた。現在、181カ国、53の言語で利用できるようになっている。
ユーザーとしてはフォーチュン100社の企業のうち、93社がTeamsを導入。アクセンチュアでは、44万人の従業員がTeamsを活用しているほか、Ernst & Young、SAP、ファイザー、Continental AGなど、10万人以上の従業員を抱える20社が利用。1万人以上の企業では、650社以上がTeamsを利用しているという。さらに、イタリアのボローニャ大学では、4日間で講義の90%をTeamsに移行。米ペンシルベニア州のSt. Luke’s University Health Networkの医師は、コロナウイルスに感染すると重症化する危険のある患者とのビデオ会議にTeamsを使用しているという。日本でも、大阪市が4月に予定している約520人の新職員向けのオリエンテーションや研修にTeamsを使用する予定だという。「今後は新人研修の場などにもTeamsを利用してもらえるように支援する」(山崎氏)とした。
増えるサードパーティとの連携と新機能
Teamsでは、チャットやオフィスファイルの共有などを行なう「チーム」、社内だけでなく、社外を結んだミーティングや、患者や児童生徒を結んだコラボレーションできる「会議」、外線発信の機能を利用できる「通話」の機能を提供。これらをひとつのツールとして提供できる点が強みであるとする。
特に通話で提供している外線発信では、ソフトバンクとの協業によって、クラウドボイスサービス「UniTalk(ユニトーク)」を2019年8月から日本で提供していることに言及。「Teamsにおける通話機能は、日本において強化している領域。PCを自宅に持ちかえれば、家にいながら会社の番号で電話が掛けられ、受けられる。リモートワークの幅を広げることができる」(山崎氏)。また、クラウド名刺管理サービス「Sansan」との機能連携により、Teams上で社外のチームと連携した共同作業が実現できるようにしていることにも触れた。
2020年12月までに提供する新たな機能として、Web会議においてはリアルタイムのノイズ抑制機能や、参加者の発言を助ける挙手機能のほか、iOS環境への背景ぼかし機能を提供。また、チャット機能では、オフライン環境や低帯域幅のサポート、複数のチャットを別ウィンドウで実施できる機能を追加する。通話に関しては、中堅中小企業での外線通話および電話会議を可能にするために「Microsoft 365 Business Voice」を、2020年4月1日から日本で提供を開始することを明らかにした。
「家庭内の生活音や雑音を気にして、家から会議に入りにくいという声もある。そうした状況を支援するためにクラウド側でノイズ抑制を行ったり、背景をぼかしたりできるようにした。背景は、雪山にしたり、大阪などの景色にしたり、自分で撮影したオフィスの風景を使うこともできる」(日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部プロダクトマーケティングマネージャーの春日井良隆氏)
さらに、スマホを利用する際などに最適なウォーキートーキー機能を提供。「工場や駅、店舗などで働くファーストラインワーカーからは、つねに通話ができる状態にしておきたいというニーズがある。トランシーバーとしても利用できるこの機能は、グループでの利用もできるため、一斉通話も可能になる」(日本マイクロソフトMicrosoft 365ビジネス本部プロダクトマーケティングマネージャーの吉田馨一氏)という。
そのほか、サードパーティーが開発したTeams認定デバイスについても触れた。ここでは、工事現場などでの利用を想定し、カメラやマイクを一体化したRealwearが開発したヘルメット型ヘッドセット、ボーズが開発した高音質を実現するTeams対応ヘッドフォン「Bose Noise Cancelling Headphones 700 UC」、Teams初の認定となったコラボレーションバー「Yealink VC210」 などを紹介した。
なお、コラボレーションバーは、スピーカー、マイク、カメラ、Teamsアプリを一体化したもので、タッチ型のディスプレイに接続するだけで、すぐに会議ができるようになる。Polyからもコラボレーションバーが発売される予定だ。「コラボレーションバーを日本でどう呼ぼうかと悩んだが、日本語の概念がない。名称は英語のままとし、新たなジャンルのハードウェアとして定義することにした」(春日井氏)という。
リモートワークや遠隔授業など日本でのTeams活用事例も披露
一方、日本でのTeamsの活用事例についても説明した。
NTTコミュニケーションズでは、50人の「Microsoft Teamsファン」を社内に育成して、社内へのTeamsの利用拡大を進めてきた経緯もあり、2020年2月17日夕方からスタートした社内全員のリモートワークも円滑に実施できたという。
また、Webサービスの開発などを行なっているコンセントでは、コミュニケーション手段をTeamsに統一した。そのなかで全盲の社員が、スクリーンリーダーと点字ディスプレイでTeamsを活用。ショートカットキーを多用することで、「いいね」を押してみたり、チャットの内容を読み上げたりといったことで、円滑なコミュニケーションが可能になったという。
さらに、教育機関の利用では、臨時休校対策として遠隔授業で利用したり、立命館小学校や大阪市立小路小学校では、Teamsのライブイベント機能を利用した卒業式ライブ配信を実施。千葉大学教育学部付属小学校では、休校前最終日にTeamsアカウントを配布して、宿題の配信や提出、ビデオ会議機能によるホームルームを実施したことに触れた。
日本マイクロソフトでは、教育機関向け支援策として、新たにOffice 365 A5のアカウントの無償発行を開始。さらに、Teamsのライブイベント機能の活用支援、教員向けのSurfaceの無償貸し出しや無償トレーニングを実施しているとのこと。
法人向け支援策としては、電話およびWebフォームで、リモートワークに関する相談をワンストップで対応するセキュアリモートワーク相談窓口を設置。企業の規模を限定せずに、Office 365 E1のアカウントを6カ月間無償で発行したり、テレワーク導入ガイドおよびテレワーク診断の提供、ウェビナーや使い方マニュアル、動画による導入および操作支援も行なっているとした。
そのほか、Teams Anniversary Weekとして、4月8日~10日までの3日間、日本におけるMicrosoft Teams 3周年を記念した最新情報の提供や導入状況の紹介などをライブ配信する予定だという。