SBテクノロジーは、2020年4月27日、2019年度(2019年4月~3月)連結業績説明会にMicrosoft Teamsを使用し、オンライン参加に限定した形で開催した。日本マイクロソフトのMicrosoft Teamsを使用したオンラインによる決算説明会は、これが日本で初めてとなった。
事前打ち合わせもすべてTeamsで実施
説明会には、Microsoft Teamsを通じて、投資家やアナリスト、報道関係者など80人以上が事前に登録して参加。さらに、Microsoft Teamsのライブイベント機能を使って、社員も参加できるようにした。説明会は約1時間にわたって行なわれ、質疑応答の際に、質問者の音声がつながりにくいといったことが一部見られたが、滞りなく終了した。
SBテクノロジーの代表取締役社長兼CEOの阿多親市氏は、「オンラインでの説明会の開催は当社にとって初めてであり、Teamsを決算説明会に使用するのは、今回が日本で初めてとなる。そのため、日本マイクロソフトの協力を得て、準備を進めた。今日も、プロカメラマンと機材を用意してもらっており、ウェブカメラとは異なる画質が実現できている。だが、Microsoft Teamsでは、特別な機材やシステムを揃えることなく、セキュアにイベント開催やコミュニケーションが実現する。Teams会議では250人まで参加ができ、ライブイベント機能では1万人まで参加できる。さまざまな企業が、決算説明会や社員向けイベントなどでMicrosoft Teamsを使いたいという場合には、今回の取り組みを事例のひとつにしてほしい」と述べた。
説明会では、阿多社長と佐藤光浩副社長、清水哲也執行役員の3人が会場から参加。その他の役員はオンラインで参加した。
同社では、事前に接続テストを実施するなど、綿密に運営に向けた計画を立案して遂行。参加者がTeams上の「ロビー」に現れると、速やかに参加を承認したり、説明会の間は、参加者のマイクをミュートにすることを呼びかけたり、操作方法を説明したマニュアルを事前にメールで配布したりといったことを行った。
また、SBテクノロジーと日本マイクロソフトの技術者による事前打ち合わせは、すべてTeams会議で行ない、説明会当日は、SBテクノロジーのエンジニアや日本マイクロソフト、協力会社から最小限のメンバーだけが現地に参加。日本マイクロソフトの一部社員は、トラブルが発生した際に、オンライン上から対応できるように自宅にスタンバイしていたという。
Microsoft Teamsを使ったテレワークを率先して実施
SBテクノロジーは、「マイクロソフト パートナー オブ ザ イヤー」を6年連続で受賞。Microsoft Azureや Microsoft 365の導入、運用支援サービスで、国内トップクラスの実績を持つ。また、同社では、Microsoft Teamsを社内に全面的に導入。Teamsを先進的に活用する企業の1社だ。「当社のテレワークに欠かせないツールがMicrosoft Teams。ファイル共有やチャットによるコミュニケーションのほか、Teams会議の利用など、Teamsの機能をフル活用している」とする。さらに、社長の阿多氏は、2000年5月~2003年6月までマイクロソフト(現日本マイクロソフト)の社長を務めていた経験者でもある。
SBテクノロジーでは、新型コロナウイルスの感染症の拡大にあわせて、3月からテレワークによる勤務を強く推奨。政府の緊急事態宣言発令後には、原則テレワークへと警戒レベルを引き上げたという。
東京・新宿の本社オフィスは約1000席あるが、現在は30~40人程度の出社になっており、「95%がテレワークになっている」という。また、顧客の環境において、24時間365日の運用や監視を提供しているチームやデータセンターの運用チームは、人数を減らしたり、必要な対策を行ったりした上で拠点に出社しているという。
今回の決算説明会での利用をはじめ、日本マイクロソフトのMicrosoft Teamsは、規模が大きなイベントでも利用が開始されている。
2020年3月に行われた京都の立命館小学校の卒業式では、新型コロナウイルス感染症の影響で参加が禁止された保護者に対して、Teamsのライブイベント機能を使って配信。日本マイクロソフトが技術支援を行った経緯がある。また、大阪市では、2020年4月に入庁した数100人の新採用職員の研修やオリエンテーションにTeams を活用。ICT戦略室と人材開発センターが協力して、研修用の動画をTeams会議の録画機能を活用して制作。その動画を、Microsoft Streamを使って、配信、閲覧する仕組みを作ったという。
日本マイクロソフトでは、今回のSBテクノロジーの決算説明会でのTeamsの利用を受けて、「新型コロナウイルス感染症の影響で、リモートワークやBCP対策、遠隔授業などで、Microsoft Teamsを利用するお客様が増えるとともに、その信頼性の高さ、安全面、機能の豊富さなどから、これまで無かった新しい用途でのTeams活用が広がっている。医療機関では、院内感染拡大防止のために患者のいる病室と、室外の医師、看護師のコミュニケーションにTeamsが活用したり、テレビの報道番組や情報番組、バラエティ番組の中継でもTeams会議を活用するケースが増えている」と説明した。
その上で、「国内初の決算説明会をTeamsで開催し、アナリストや投資家、またSBテクノロジーの関係者の多くが、自宅などなどから参加し、スムーズに実現できたことは、今後多くの企業が予定しているセミナーや株主総会などにおいても、Teamsが貢献できる機会があることを示すものとなった。日本マイクロソフトでは、その実現を支援していきたいと考えている」と述べた。
すべてが過去最高となったSBテクノロジーの2019年度
決算説明会で披露されたSBテクノロジーの連結業績は売上高が前年比15.7%の583億2400万円、営業利益は20.8%増の30億3500万円、経常利益は32.4%増の30億330万円、当期純利益は33.8%増の18億5600万円となり、「売上高をはじめ、すべての項目において、過去最高になっている。また、受注高は348億円と前年度から約100億円増加し348億円となり過去最高になり、受注残高も1693億円と過去最高となった。そうしたなかで、2020年度を迎えることになる」(SBテクノロジーの阿多社長)と述べた。
また、2020年度の業績見通しは、売上高が前年比6.3%の620億円、営業利益は18.6%増の36億円、経常利益は18.7%増の36億円、当期純利益は13.1%増の21億円としている。
主軸となるコーポレートITソリューション事業では、新型コロナウイルス感染症が蔓延した後の社会である「アフターコロナ」において需要が高まるテレワークや、デジタル化に向けたツールの導入やシステム開発、セキュリティ対策への投資が進むと想定。エンジニア作業を必要としないサービス開発への投資と、パートナーセールスの強化を行ない、さらに高まるクラウドセキュリティの需要に早期に対応するという。
また、ビジネスITソリューション事業では、注力業界である製造業、建設業が、新型コロナウイルス感染症の影響によって大きな打撃を受けているが、DX投資は継続されると判断。公共分野においては デジタルガバメントが推進されると想定しており、同社が農林水産省向けに進めている電子申請基盤への取り組みをはじめ、2025年には行政手続きの9割を電子化するという政府目標にあわせた活動を推し進める姿勢を示した。
さらに、テクニカルソリューション事業においては、ソフトバンクのIT領域におけるベンダーマネジメント案件の拡大を見込む一方、ノートンストア運営代行ビジネスなどが含まれるECソリューション事業は、個人向けセキュリティ製品がピークアウトの兆しにあること、仕切り率変更といった契約の見直しにより、減少傾向に転じると想定している。
なお、同社では、2021年度を最終年度とする中期経営計画を推進しており、そこで掲げている営業利益43億円、ビジネスITソリューション事業およびコーポレートITソリューション事業の売上構成比で50%、ROE13%の目標は据え置いた。