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松村太郎の「"it"トレンド」 第291回

無観客試合から考えるテクノロジー

2020年03月19日 23時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中で広がっています。中国に次いで感染者数が増加した韓国、それを上回る勢いのイタリア、スペインといったヨーロッパ諸国での感染拡大と、米国での拡大によって、世界経済は大混乱に陥っています。

 日本は1万人に迫る勢いでの感染者数拡大とはなっておらず、一定の歯止めが効いているという評価には同意できます。もちろん7月からのオリンピック・パラリンピックで世界中から訪れるアスリートと観客を招き入れるため、今からしっかり抑えておかなければなりません。

 日本は7月の段階で、あるいはいろいろな準備で日本への渡航が増えるようになる5月のタイミングで、世界の感染拡大の勢いがどれだけ収まっているかに注目です。

 欧州、そして米国の都市圏でも、外出禁止が敷かれるようになり、日常生活を送れている人の方が少数派になってきたと思います。米国のトランプ大統領は、収束は早くて7月から8月との見方も示しました。

 注目されているのが東京五輪をどうするか、という問題。国際オリンピック委員会が決定権を持っており、日本も東京都も日本のオリンピック委員会もこれまで通りやるという前提で動いています。しかし、判断するタイミングが遅くなればなるほど中止する場合の混乱や損害は大きくなるわけで、いつまでも強気でポジティブというのはリスクを広げているだけです。

 そうした中、聖火リレーがスタートしましたが、新型コロナウイルスへの懸念から、ギリシャ国内でのリレーは中止となりました。現状で通常通りのオリンピックが開催されることが難しいことの現れといえ、夏のオリンピック開催の判断に大きな影響を与えそうです。

無観客大相撲を見て感じたこと

 世界を見渡しても、あらゆるスポーツイベントは中止や延期が決まったり、無観客試合という措置が取られるようになりました。大相撲も無観客で行なわれ、それがテレビ中継されましたが、その光景を見てまるで神事のようだという感想を抱いた人もいました。

 もちろんそれだけ人が外に出て行っていないということの裏返しでもあるため、座席のチケットからお弁当まで、大相撲の興行に携わっていた多くのビジネスが止まっていることを表しています。危機感を抱く方もいるでしょう。その一方で一切観客の声がなく、淡々と相撲が繰り広げられていく様子は新鮮で、鮮烈な印象を与えてくれました。

 その様子を見ていて、トランプ大統領は「嫌だ」と言っていますが、無観客のオリンピックが成立するとしたら、どうなるでしょうか。

 テクノロジー的な未来の話をする前に、少し現実的な話から。

 国際オリンピック委員会の収益はオリンピックの巨額の放映権販売が47%を占めていると言われています。東京五輪に関する最大の契約は、2014年のソチオリンピックから10大会の米国向け放映権で120億3000万ドル(約1兆3000億円)とされています。

 オリンピックが7月末から8月までの期間に設定されているのは、最大の放映権を支払っている米国のスポーツイベントと重ならないためと言われており、そのため暑い夏の時期を避けた日程を組むことが難しい理由とされています。中止となると、放映権の取り扱いに困るため、なかなか判断ができないかもしれません。

 一方、無観客試合の場合、テレビ中継で観戦はかわらないため、むしろテレビにより注目が集まりそうです。放映権の部分も守られます。しかし日本国内で準備していたチケットや様々な周辺ビジネスはなくなるため、日本での損害が際立つことになりそうです。

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