世界最速のスパコン「El Capitan」はHPEと共同開発
AMDとHPEは米国時間の3月3日、ローレンス・リバモア国立研究所に2022年に導入される2 ExaFlopsのEl Capitanというシステムに関して、DOE(米エネルギー省)のNNSA(国家核安全保障局)と契約を結んだことを明らかにした。契約総額は6億ドル。主契約者はHPEで、AMDがHPEのパートナーとなる格好だ。
なぜでHPEが主契約者かというと、昨年5月7日にHPEがCray Inc.を買収したからで、そのため下のスライドにはCRAYのロゴが残っているわけだ。
このEl CapitanはGenoaコアのEPYCと第3世代インフィニティー・アーキテクチャー(つまりCDNA2)ベースのRadeon Instinctが搭載され、EPYC1つに対してRadeon Instinct4つで1つのノードを構成するとしている。
ただしノード間接続はHPE CrayのSlingshotを使うという話になっており、おそらく2つのノードが1つのシャーシに収められ、シャーシ間はSlingshotでつながるという格好になると思われる。
この基本構成はFrontierとほぼ同じであり、ただしコンポーネントが多少アップデートすることで、1.5EFlops→2EFlopsを狙えるということだと思われる。現状ノード数が不明なので、コンポーネント更新だけではどの程度の性能アップになるかわからないからだ。
これはFrontierに続くAMDの大きなデザインウィンであることは間違いないし、旧Cray、現HPE Crayは当然この構成を他のHPCが必要な機関に売り込みにいくだろう。そう考えると、2023年以降のHPC市場がどう変わってくるのか楽しみである。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ


