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パルコ×BiNDup対談

リアル店舗主導で新たな顧客体験を生み出すパルコのDX戦略と、ウェブやECのこれからの役割

2020年02月07日 11時00分更新

文● 益子貴寛(Takahiro Mashiko)

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導入実績19万件以上のホームページ作成サービス「BiNDup」。本格的な企業サイトや店舗サイトはもちろん、ランディングページ型のサイトや運用型のブログサイトまで、幅広く対応。独自ドメイン、常時SSL、強力なフォーム機能で、本格的な採用サイトが運用できる。

 企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の現場では何が起きているのか。2019年11月22日にグランドオープンした新生・渋谷PARCO(パルコ)は、「世界へ発信する唯一無二の“次世代型商業施設”」というコンセプトを掲げ、新たな消費者ニーズの創造や価値観の提案という顧客体験に挑んでいる。

 この中では、ウェブやECの活用も重要な位置を占めている。パルコ 執行役であり、グループデジタル推進担当の林直孝氏と、CMSとしてのBiNDupを提供しながら、企業のウェブ戦略や推進に関わるデジタルステージ 熊崎隆人氏が、渋谷PARCOを中心としたDXの取り組みと、BiNDupが描くDXの未来について語る。

DXが必須となった売り場のデジタル化と新しい体験の提供とは。

──「24時間PARCO」というスローガンの意味と、ウェブでのプロモーションの取り組みを教えてください。

林 直孝(はやし なおたか) 株式会社パルコ 執行役 グループデジタル推進担当 1991年にパルコ入社後、全国の店舗、本部、および、ウェブ事業を行う関連会社(株式会社パルコ・シティ、現・株式会社パルコデジタルマーケティング)を歴任。 店舗のICT活用やハウスカードとスマホアプリを連携した個客マーケティングを推進する「WEB/マーケティング部」等を担当。 2017年3月に新設された「グループICT戦略室」(2019年にグループデジタル推進室に改称)でパルコグループ各事業のオムニチャル化、ICTを活用したビジネスマネジメント改革を推進。

林:スマートフォン(スマホ)の利用が一般的になった2013年に、「24時間PARCO」というキャッチフレーズを打ち出しました。これは、店頭接客とウェブ接客に総合的に取り組み、新たなコミュニケーションや購入体験を提供する、という意味でした。店頭接客は営業時間や商圏という地理的な条件に制約されますが、ウェブでは24時間いつでもどこでも接客できると。実は、当時よくいわれた「オムニチャネル」という言葉を、私たちなりにわかりやすく表現したものなんです。

 ウェブに関する施策としては、2013年春から次々と、パルコのホームページのスマホ対応、19店舗(店舗数は2013年度時点)すべてでのSNS活用、各テナントがブランドや商品について日々発信するショップブログの開設、店頭商品のウェブ注文や取り置きが可能な「カエルパルコ」の立ち上げ、スマホ公式アプリ「POCKET PARCO」のリリースという順で取り組んできました。

 特に、パルコの店舗すべてで個別に、Twitter、Facebook、LINEなどのアカウントを開設したことは、2013年当時、他に例がなかったと思います。それぞれ立地も商圏もテナントのラインナップも、もちろんお客様も異なるので、店舗ごとにしっかりと情報発信し、コミュニケーションをしていこうと。

──オムニチャネル化やウェブ活用について、最近のトレンドを教えていただけますか。

株式会社デジタルステージ 代表取締役社長 大学在学中にデザインとコンサルティングを主業務とするCRYPTOMERIA, incを設立。2007年より株式会社デジタルステージの取締役を兼任し現在は代表取締役。CMSとしてBiNDupを提供しながら企業のサイト戦略に携わる。並行して、経営、マーケティング、テクノロジーの分野で、経済産業省、東証一部上場企業、地方自治体、スタートアップ等、顧問を歴任。事業経験、コンサルティングのノウハウを生かし、未来に誇れるプロジェクトのために活動している。

熊崎:アパレルやジュエリー、飲食店などのクライアントと幅広く仕事をしている中で、時代の大きな変化を感じます。数年前までは、リアル部門とインターネット部門ではどちらかの売上が伸びれば、どちらかの売上が減るというトレードオフの関係でとらえていたんですね。

 その後、インターネットがいっそう普及し、オムニチャネルという言葉が生まれることで、両方の垣根を壊し、シームレスにつなぐ必要性が認識されるようになります。たとえば、インターネットでキャンペーンを行い、リアル店舗への集客につなげたり、リアル店舗で商品の手触り感を確認したあと、インターネットで購入する、といったことです。

 リアル店舗は、実際に商品を手に取れることが強みと考えられていますが、実は商品が生まれるまでの背景やストーリーについては情報不足です。優秀な店員さんに聞けば教えてくれますが、接客に割ける時間は限られます。物理的なスペースにも限りがあるし、ひとつの商品にたくさんの情報を付与することは難しいですよね。それをウェブコンテンツで補うことが、購買意欲を高めることにつながります。これまでの購入履歴をもとに、他の商品をレコメンドするといったことも、リアルとウェブの効果的な組み合わせ方だと思います。

 さらに別の事例として、高いお金をかけてデジタルサイネージのコンテンツを作ってきた会社が、ホームページ作成ソフトであるBiNDupのテンプレートを使って広告を簡便に作りたいという話があったりと、デジタルサイネージやスマホ向けのコンテンツ作成の境界線が変わってきたこともありますね。

BiNDupが提供する様々な業種のテンプレート

林:パルコでいうと、各テナントのショップブログを読んだ人が、そこで紹介されている商品を「カエルパルコ」ですぐにインターネットで注文できるしくみを整えたのが2014年です。実際に店頭に足を運び、試着や接客の上で購入したい方のためのお取り置き注文機能も備えています。つまり、「カエルパルコ」には、インターネットで「買える」、取り置いた商品を店頭で買って「持ち帰る」という2つの意味があるんです。

 ショップブログを読んで、電話での取り置き依頼があったり、それこそお金を送るので商品を配送して欲しいという声がありました。また、テナントそれぞれが活用しているSNSで生み出す、お客様とのエンゲージメントはすごいものがあるなと。

──店舗側からオムニチャネルを加速する「しかけ」についてはどうでしょうか?

林:新たなフラッグシップ(旗艦店)の役割として、渋谷PARCOの5Fにある「PARCO CUBE」という売り場スペースを紹介します。通常のショップはテナントが造作を行いますが、ここはパルコ側で基本的な内装造作を設計・施工し、接客に必要なデジタルサイネージと注文用のタブレット端末を11ショップ分用意しています。

 また、リアルの売り場とECをつなげる取り組みとして、2018年に「カエルパルコ」をリニューアルし名称を変更した「PARCO ONLINE STORE」を活用しました。従来は店頭の商品在庫を登録し、販売するためのプラットフォームでしたが、PARCO CUBEでは店頭在庫ではなく11ショップのテナントが自社で運営するECの在庫情報と連携させ、店頭にない商品も、自社ECに在庫があれば、その場で注文でき、数日中にご自宅に発送できるしくみに進化させました。

75インチサイズの大型サイネージ4台が11ショップのオンラインストアと連携して、商品がランダムに表示されるPARCO CUBE共用部。QRコードで顧客のスマートフォンと簡単に連携でき、サイネージから選んだ商品はスマートフォン上のPARCO ONLINE STOREのカート内に1週間保存できる

 いわば、PARCO CUBEは「オムニチャネル型ショップの集合ゾーン」といえます。ECの在庫を活用することで店頭では従来の売り場よりも少ないスペースで運営が可能になり、特に戦略的に展開したい商品や限定商品を中心に接客販売に注力できる売り場として活用できます。

熊崎:時代の二、三歩先の施策を思いつき、実行したとしても、なかなか定着しません。話題性だけではなく、顧客満足度が上がるかどうか、消費行動に寄与するのかどうかが大切です。パルコの施策は、単なるプッシュ型の集客や接客ではない点、パートナーと一緒に取り組まれている点がスマートですし、今の時代にとてもマッチしています。

 来店後や購入後のフォローアップも大切ですね。「24時間PARCO」とおっしゃっていたとおり、店頭のコミュニケーションだけが接客ではありません。店頭接客のあと、何分後にショートメッセージを送るといったことが、これからは求められるでしょう。お店から外に出たあとの接客は、まさにデジタルが貢献できる部分。たとえば、デジタルの中のカリスマ店員さんがうまくフォローアップすることで、再度の来店や購入につながったりと、人とテクノロジーの力を組み合わせた新しいマーケティングも出てくるでしょう。

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