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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第76回

WWDCなどのAPI公開が見ものだ:

アップルiPhone今年の大注目は「U1チップ」

2020年01月15日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

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●AR分野でもその活用は期待できる

 噂レベルではありますが、UWBを用いた忘れ物タグの実現について指摘する声も多く聞かれます。おそらく、カメラを起動してあたりを見渡すと、見つけたいモノがある場所にピンが立って、そこを探せば発見できる、という体験を狙っているのではないでしょうか。

 これまでのTileなどの忘れ物タグは、Bluetoothを使っていたため、距離は方角の正確性までは実現していませんでした。そのため「音を鳴らす」という手段によって、タグのありかを発見する仕組みを採用していました。それでもカギを即座に見つけられた、と言う体験をしている人は少なくないはずです。

 しかし、例えばソファのクッションの隙間に入ると、タグから鳴る音がなかなか聞こえにくくなってしまって、探し物がはかどらないこともありました。視覚的に「ここ」と分かるようにしてくれれば、より良い体験になることは間違いありません。

 また、カメラアプリでの活用も考えられそうです。これはアップル自身が実装するかどうかは別として、例えば同じ場所や空間で写真やビデオを撮影しているとき、お互いのカメラの場所や方向、距離が分かれば、複数のカメラで記録した画像から正確に空間を組み立てることができます。

 これは、拡張現実の空間を素早く記録する際に非常に役立ちますし、お互いの場所や距離が正確に分かることで、それぞれが設置したタグなどの情報の空間内での位置もきちんと決めることができます。

 2020年の世界開発者会議あたりで、U1チップをより深く活用するAPIが登場することは間違いないとみています。その応用の方向性に注目しておきましょう。


筆者紹介――松村太郎

  1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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