最新パーツ性能チェック 第280回
最強CPUはどれだ!「第3世代Threadripper」vs「第3世代Ryzen」vs「Cascade Lake-X」の性能をガチ比較
2020年01月07日 11時00分更新
CG系ではThreadripperが基本的に強いが……
ではおおよその力の差が分かったところで、実アプリベースによるベンチマークといこう。まずはCG作成系アプリにおける性能を比較する。まずはCGレンダラー「V-Ray」をベースにした「V-Ray Next Benchmark」を使ってみた。このベンチではCPUのほかにCUDAを使ったレンダリング性能も計測できるが、今回はCPUのみのパフォーマンスを比較する。
結果の単位はksamples(キロサンプル)なので数値が多いほどレイの演算をこなした、という意味になる。ここでの優劣の傾向はCINEBENCH R20とかなり似ているが、Core i9-10980XEが3・4番手に付けた。インテル製CPUにやや有利な傾向を持ったベンチであるせいもあるが、単純にここは物理コア数の強みが活きた感じだ。だがコア数では3970XとタイのThreadripper 2990WXが最下位なのは、Zen+であることに加え、2990WXの内部構造が特殊であることが原因と考えられる。
続いて「blender」を使い「barbershop_interior」を1フレームだけレンダリングする時間を比較しよう。GPUでレンダリングすることもできるが、ここではCPUのみを使って処理をさせている。
ここでも最速は32C64TのThreadripper 3970Xで変わらない。CGレンダリング系では第3世代Threadripperは極めて安定した強さを誇っている。
一方下位に眼を向けると、Ryzen 9 3950XとCore i9-10980XE(倍率Auto)が同着だが、BSCを有効にするとThreadripper 2990WXを上回る性能を発揮している。絶対的な処理時間はThreadripperに負けるものの、CPUやマザーボードの価格、さらに消費電力も考えるとRyzen 9 3950Xのコストパフォーマンスは圧倒的だ。
ただこの結果は1フレームだけレンダリングした時の時間であるため、アニメーションとして出力した場合の時間的コストを考えると、第3世代Threadripperの方が導入効果が高いといえるだろう。3950Xに対し処理時間半分強で済むというのはCGクリエイターにはとてつもない魅力だ。
続いてはプロシージャル型のCG作成アプリである「Houdini Apprentice」で検証しよう。このアプリを使い、激しく暴れる皿の上に置かれた粒子の挙動をプレビューする時間を計測する。粒子数は約49万個とし、120フレーム先にどうなっているかを計算させる。粒子の挙動は1フレームずつ積み重ねていくため、CPUの計算力が必要になるのだ。時間の計測はHoudiniに内蔵されているパフォーマンスモニターを利用し、処理全体にかかった時間を計測する。
全コアフルに使うのだからコア数が多い方が早い……というのは事実だが、今回行なった粒子の挙動の演算では、意外にも差は小さかった。Zen+ベースのThreadripper 2990WXが遅いのは予想通りだったが、16C32TのRyzen 9 3950Xに対し、32C64TのThreadripper 3970Xの処理時間がほとんど速くなった感じはしない。
ただ処理時間を物理コア数で割ってみると、Threadripper 3970Xが11.2秒/コアなのに対し、Ryzen 9 3950Xは26秒/コアであるため、一応効果は出ているといえるだろう。このテストでの処理時間だけに眼を向ければ、Core i9-10980XEもそう悪くはない結果(CPU価格が3970Xの約半分、かつコア当たりの処理時間は3950Xより効率が良い)を出せているが、絶対的な速さが重要ならThreadripper 3970Xの方が優れている。
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