筆者もお気に入りのHHKBに新モデルが登場
筆者は、お気に入りのものはありますが、どちらかというとキーボードの好き嫌いを言わない方です。
不評だったMacBook Proのバタフライキーボードもなぞるようなタイピングは楽だったし、新しい16インチMacBook ProのMagic Keyboardも使いやすい。一方でiPad Proで仕事をする時間がどんどん長くなり、Smart Keyboardのペタペタタイピングも楽しんでいます。
しかし長年手放せずに使い続けているのが、PFUの伝説的なキーボード「HHKB(Happy Hacking Keyboard)」です。筆者はこれまで、「HHKB Professional 2 Type-S」という静音・高速タイピング仕様を好んで使っていました。
そのHHKBが満を持してリリースした新モデルが、12月10日発表の「HHKB Professional HYBRID」「同Type-S」です。
HHKBは高級キーボードの部類に入り、販売価格は3万円を超えます。しかしシリコンバレーのエンジニアやアジア方面のeスポーツ選手など、高級キーボード市場が広がる前から販売され、すでに累計50万台を記録したそうです。長く愛される優れたデザイン製品に贈られるグッドデザイン賞ロングライフデザイン賞という、非常に獲得が難しい賞に輝いています。
HHKBは心地よい静電容量無接点方式のキー、コンパクトでポータブル、合理的なキー配列、そして高耐久性をうたい、PCが壊れてもデバイスが変わっても、キーボードだけは手になじんだモノを使い続ける。そんなコンセプトが貫かれています。
今回のHYBRIDモデルはUSB-Cポートが追加され、有線接続とともに4台までのBluetooth接続を切り替えられる仕組みを備え、複数の場所、複数のデバイスで使える利便性が高まりました。まさに、肌身離さず持ち歩く仕事道具としての性格が強まっています。
この時代に乾電池採用……?
昨今、プレミアムキーボード市場は拡大しており、2022年までに6億5000万ドルを超えると見られています。中でもメカニカルキーボードを搭載した無線接続モデルは人気があり、コンパクトでミニマムなキーボードというHHKBのコンセプトが、20年以上遅れて世界に広がっているようにも移ります。
そして新世代のプレミアムキーボードには、USB-Cとリチウムイオンバッテリーが備わり、長時間の無線接続を実現しつつ、メカニカルスイッチやレーザースイッチによる高いレスポンスを実現するものも出てきました。
HHKB HYBRIDはUSB-Cポートこそ搭載したものの、リチウムイオンバッテリーは内蔵せず、HHKB Professional BTと同じように「単3乾電池」2本によって3ヵ月駆動できるという仕様に据え置かれました。その点に対しては、発表会を見守っていた人々からも残念という声が上がっていました。
確かにリチウムイオン電池は、現在のスマートフォンにとって、あるいはウェアラブルデバイスにとって、さらに電気自動車にとっても重要なモバイルパワーソースです。モバイル性がコンセプトにありながら、なぜリチウムイオン電池を搭載しなかったのでしょうか。
この連載の記事
-
第314回
Apple
アップル「iPhone SE(第3世代)」隠れた最大のイノベーション -
第313回
自動車
「10年後にはみんなEVになるんだから」と人は言うけれど -
第312回
自動車
スマホから自動車を買う テスラのユーザー体験 -
第311回
自動車
Tesla Model 3をポチるまで 決め手は航続距離と乗り心地 -
第310回
自動車
テスラを買ったワケ 最大の動機は「リスク回避」 -
第309回
ビジネス
Twitterジャック・ドーシーCEO退任 理由は「創業期を脱するため」 -
第308回
トピックス
忙しすぎてカオスな予定を量子AIに調整してもらいたい -
第307回
Apple
なぜiPodは成功したのか 20年経った今あらためて考える -
第306回
トピックス
大学オンライン授業、教室との「ハイブリッド化」は複雑怪奇 -
第305回
トピックス
トランプ大統領が巨大ITに締め出された事態の重み -
第304回
自動車
アップルは本当に電気自動車を作るのか - この連載の一覧へ