7nmベースで製造されるRyzen APU
Renoirが2020年発表
さて、直近の話はこんなところであるが、この先出るものは? というと、7nmベースで製造されるRyzen APUである。ただしこれは2020年に入ってからとなるだろう。構成はZen2+NAVIという順当なもので、Renoir(ルノワール)なるコード名だけが伝わってきている。
このRenoir、海外のサイトでは「2020年のCESでお披露目ではないか」とされているが、筆者はおそらくCESの段階で示されたとしても、それはプレビューレベルのもので、製品出荷はもっと後になると思われる。
理由は先のTSMCの逼迫の話が一番大きい。そもそもまだPicassoベースの製品が出荷されたばかりだし、どうやっても平均小売価格を高く設定できない現状のRyzen APUの構成では、まだ割高な7nmを利用するよりも割安な12nmを利用する方が理にかなっている。
おそらくRenoirが量産に入るのは、TSMCのN7+やSamsungの7LPPといった、EUVプロセスの量産が本格化し、相対的にN7の需要が減って、製造コストのプレミアが減る来年第2四半期以降ではないかと筆者は予想している。
その頃には、Zen3ベースとなるN7+を利用した次のRyzenが用意できる頃であり、Ryzen 3000シリーズ同様タイミングを合わせて出荷、という方が自然な感じである。
幸いにもというか不幸にもというか、Ryzen APUは今のところ有力な競合製品がない。現状、インテルのCore i3以下のグレードのCoffeeLakeベースの製品とは互角以上であり、次に出てくるComet Lakeまでに7nmに移行すれば十分間に合うからだ。
もちろん、例えばモバイルのシェアを今の3倍にする、なんて目標を立てていれば、今すぐ7nmに移行しないと競争力が足りないが、そうでなければ慌てて移行する必要はないと考えられる。というわけで、APUの7nm移行はもう少し先になりそうだ。
この連載の記事
-
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ