細かなグレード設定があるメガーヌR.S.
シビックをベースにシビックTYPE Rが生まれたように、メガーヌR.S.はメガーヌをベースとして誕生したことは言うまでもありません。ですが、シビックTYPE Rが1グレード展開であったのに対し、メガーヌR.S.はシャシー、カップ、トロフィーと、走りのステージに合わせて3グレードで構成されています。今春ニュル最速の座に輝いたのは、このトロフィーグレードの中でも、馬力アップと軽量化を施したもっともレーシーなモデル。
では、日本で売られているメガーヌR.S.は? というと「日本の道にはシャシーがもっとも適している」というシャシーグレードのセミATモデルのみ。以前、筆者はこの新型メガーヌR.S.に試乗しましたが、日本で販売されているメガーヌのベーシックグレード(GT)と比べ、スポーティーさを感じさせる引き締まりながらも、不快さを感じさせない足回りセッティング、そしてATという「誰でもルノースポールの世界に触れられる」という点に好感を抱きました(FF世界最速クラス! ルノーの新型「メガーヌR.S.」は峠がキモチイイ!)。
そのいっぽうで、メガーヌR.S.の前身「メガーヌR.S. 273」が2ドアという硬派な1台であったこと、さらに日本では新型車のMT設定がなかったことから、一部から新型メガーヌが「ヌルい」という声があったとかなかったとか。
その声に応えるように輸入元のルノー・ジャポンは、一段階上のカップ仕様のMT仕様車を今春100台限定で販売し、待ってましたとばかりに即完売。ちなみに販売店に数台あるかもしれないとのことなので、希望する方は今すぐディーラーに問合せてみてはいかがでしょうか。今回試乗したのは、そのカップ仕様のMT車になります。ちなみにニュルのタイムアタックはMTで実施されていました。
より走りに特化したメガーヌR.S.カップ仕様
メガーヌR.S.は、メガーヌGTに比べて、フェンダーがフロント65mm、リア45mmと張り出し、フロントマスクやリアディフューザーなどの専用エアロパーツによって、アグレッシブな印象を与えます。
ボンネットを開けると、カバーがなく無造作なパイプ類の取り回しがものものしいエンジンが姿を現します。搭載するエンジンはシャシー仕様と同じく、279馬力を発生する1.8リッター直4ターボ。新生アルピーヌ「A110」に搭載するエンジンと同等品で(アルピーヌは出力が抑えられている)、日産のエンジンをベースに、専用ヘッドを搭載したスペシャル品です。ちなみにトロフィーRは300馬力にパワーアップされているそうです。
シャシーとカップの違いは主に足回り。サスペンションが専用に引き締められたほか、シャシーがブレーキコントロールによるデフ操作に対してトルセンLSDを装着。そして赤く塗られたブレーキキャリパーが含まれます。今回の限定車はそんな6段MTのカップ仕様に、19インチホイールとバイマテリアル・フロントブレーキという2つの本国オプションを追加したもの。この19インチは日本の標準車に装着されているものと同じで、フロントブレーキもディスクローターを鋳鉄製のままハブをアルミ化して、片側1.8kgずつのバネ下軽量化と耐フェード性の向上が図れた、まさにお買い得な1台になっています。
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