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ASCII Power Review 第313回

8K60PのHDR動画に、1憶2000万画素の静止画が撮影できました

空飛ぶ超高画質の全天周カメラを操縦してみた=「DJI Avata 360」実機レビュー

2026年04月11日 01時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 DJIは、360度の全天周撮影に対応した新型ドローン「DJI Avata 360」を3月26日に発表、4月9日に販売開始した。

 本製品は、1/1.1インチのイメージセンサーを2基搭載することで、8K/60fpsのHDR動画撮影を可能にしたドローンだ。対応ゴーグルとモーションコントローラーを併用すれば、飛行中に周囲を自由に見回せる没入感のあるフライトを楽しめる。

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

「DJI Avata 360」7万7330円~

 ただし、ゴーグルを装着した飛行は航空法の「目視外飛行」に該当するため、事前の承認申請に加え、周囲の安全を確保する補助者の配置が義務づけられている。たとえ周囲に人がいない高山であっても、屋外での目視外飛行にはこれらの準備が必須だ。

 運用上のハードルは高いが、その労力に見合うだけの映像を撮影し、爽快感を得られる。今回は目視範囲内での検証となったが、360度映像の画質や、トラッキング性能、そして全方向障害物検知の信頼性などを中心にその実力を試してみよう。

用途に合わせて4つのパッケージ
送信機とゴーグルどちらで操縦するか

 

 DJI Avata 360には、用途に合わせて以下の4つのパッケージが用意されている。「DJI Avata 360(機体単体)」は、すでに送信機やゴーグルを所有しているユーザー向けの製品。新規に導入する場合の最小構成価格は11万6380円となる。ドローンとしては、中〜上級機に位置づけられるモデルだ。

★「DJI Avata 360(機体単体)」(7万7330円)
 機体本体

★「DJI Avata 360(DJI RC 2付属)」(11万6380円)
 機体本体、画面付きDJI RC 2送信機、インテリジェントフライトバッテリー×1など

★「DJI Avata 360 Fly Moreコンボ(DJI RC 2付属)」(15万9830円)
 機体本体、画面付きDJI RC 2送信機、インテリジェントフライトバッテリー×3、充電ハブ、スリングバッグなど

★「DJI Avata 360 Motion Fly Moreコンボ」(16万2140円)
 機体本体、DJI Goggles N3、DJI RC Motion 3、インテリジェントフライトバッテリー×3、充電ハブ、スリングバッグなど

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

今回試用したのは「DJI Avata 360 Fly Moreコンボ(DJI RC 2付属)」だ。機体本体、画面付きDJI RC 2送信機、インテリジェントフライトバッテリー×3、充電ハブ、スリングバッグのほかに、予備プロペラ×4(2種類)、六角レンチ(M1.5)、USB Type-Cケーブル、クリーニングクロス、説明書が同梱

360度撮影用の2基のカメラと各センサーの連携で
全方向障害物検知を実現

 

 まずは基本スペックからチェックしていこう。DJI Avata 360のサイズは246×199×55.5 mm、重量は約455g。プロペラガードを標準装備しているが、先だってレビューした「DJI Neo 2」のように上下からの指の侵入を防ぐ格子までは備わっていない。あくまでも衝突時に人や物を傷つけず、プロペラが破損するのを防ぐためのものだ。

 センサー類については、前方ジンバルとカメラに加え、前面に「前向きLiDAR」と「前方/下方ビジョンシステム」、底面には「3D赤外線検知システム」を搭載している。360度撮影用の2基のカメラと各センサーが連携することで、全方向障害物検知を実現しているわけだ。

 ただし、全方向障害物検知が機能するのは「360度モード」(パノラマモード)のみ。4K/60fps動画を撮影する「シングルレンズモード」では、1基のレンズが前方を向き、もう1基は機体側に収納されるため、障害物検知機能は前方のみに制限される。また、運動性能を優先する「スポーツモード」では、機能自体が無効化される点も注意してほしい。

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

機体のサイズは246×199×55.5 mm

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

離陸前はジンバルのゴム足を下側回転させておくことで、レンズが地面に触れることを防ぐ

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

後方には電源ボタンとバッテリー残量LEDを配置

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

右側面のフタを開けると、USB Type-C端子とmicroSDメモリーカードスロットが現れる

 カメラには、1/1.1インチのスクエアCMOSセンサー(有効画素数64MP)を2基搭載。レンズの主な仕様は、FOV200°、焦点距離2.5mm(35mm判換算7.8mm)、絞りF1.9だ。フォーカスモードは固定焦点(FF)を採用しており、合焦範囲は1.5m〜∞となっている。

 撮影可能な動画、静止画の解像度は下記のとおり。ファイル形式は動画がOSV/MP4(H.265)、静止画がJPEG/DNG(RAW)。

 シングルレンズモードでの電子式映像ブレ補正は送信機によって異なり、RC 2/RC-N2/RC-N3使用時はRockSteady 3.0(カメラの揺れを補正)、Goggles 3/N3とRC Motion 3またはFPV送信機 3を組み合わせた場合はRockSteady 3.0とHorizonBalancing(水平方向の傾きを補正)を利用可能だ。

【動画】
★360度モード
 8K(2:1):7680×3840ドット@60/50/48/30/25/24fps
 6K(2:1):6000×3000ドット@60/50/48/30/25/24fps
★シングルレンズモード
 4K(4:3):3840×2880ドット@60/50/48/30/25/24fps
 4K(16:9):3840×2160ドット@60/50/48/30/25/24fps
 2.7K(4:3):2688×2016ドット@120/100/60/50/48/30/25/24fps
 2.7K(16:9):2688×1512ドット@120/100/60/50/48/30/25/24fps

【静止画】
★30MP/8K 360度写真
 JPEG:7776×3888ドット(30 MP)
 DNG:7680×3840ドット(29.49 MP)
★120MP/16K 360度写真
 JPEG:15520×7760(120 MP)
 DNG:15360×7680ドット(118 MP)

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

離陸前(上)と離陸後(下)。機体が浮かび上がるとカメラが上下を向き、着陸する際にはジンバルのゴム足側が下に回る

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

バッテリー、microSDメモリーカード込みの機体重量は実測467.5g

Avata 360はNeo 2比で1.5倍の水平速度を実現
最大飛行時間は約23分、航続距離は13.5km

 

 本製品の最大伝送距離は、障害物や電波干渉のない環境において、日本(MIC)で10km、FCCで20km、CEおよびSRRCで10kmだ。最大飛行時間は約23分(ホバリング時は約22分)、最大航続距離は13.5km、最大風圧抵抗は10.7m/sとなっている。

 最大速度は、ノーマルモードで上昇・下降が6m/s、水平が16m/s。スポーツモードで上昇・下降が10m/s、水平が18m/sに達する。

 「DJI Neo 2」のスポーツモード(上昇5m/s、下降3m/s、水平12m/s)と比較すると、水平速度においてDJI Avata 360は1.5倍の運動性能を備えていることになる。

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

11万6380円のセットに同梱されるDJI RC 2送信機。本製品以外のほかのドローンでも利用可能だ

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

前面だけでなく、上面や背面にもボタンやダイヤルを配置。機体を注視しつつ、手探りで直感的な操作が可能だ

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

インテリジェントフライトバッテリー3本と充電ハブ

 Fly Moreコンボには、インテリジェントフライトバッテリー3本と充電ハブが同梱されている。1本のバッテリーを10%から90%まで充電するのに約31分かかるとされている。

 バッテリー1本あたりの最大飛行時間は約23分だ。つまり、交換の際に10分程度の休憩を挟めば、3本のバッテリーでローテーションを組むことで長時間の連続運用が可能になる

DJIらしい万全の障害物検知機能
編集アプリ「DJI Studio」の追尾性能は秀逸

 

 本製品最大の売りは、1回の飛行で記録した360度映像から、あとの編集であらゆるアングルの映像を切り出せることにある。

 被写体を追尾する際も、機体と被写体の位置関係だけに集中して飛行すればよく、リアルタイムでカメラの向きを制御する必要がない。これまで、パイロットとカメラオペレーターの2名体制で行っていた高難度の空撮も、DJI Avata 360であればひとりでこなせるのは大きなメリットだ。

 今回、特に驚かされたのが、編集アプリ「DJI Studio」の追尾性能だ。被写体を選択するだけで、常にその対象を中央に捉え続けるトラッキング映像を生成できるのだが、被写体が遠ざかり画面上で相当小さくなった状態でも、追尾が途切れることはほとんどなかった。

 約5分間の映像素材で検証したところ、追尾がはずれたのはわずか2回。この程度の頻度であれば、十分に実用範囲内だ。今回は目立ちにくい黒色のシャツを着用していたことがロストの原因と思われるが、視認性の高い派手な色のウェアを着ていれば、さらに安定したトラッキングが期待できるはずだ。

 動画でもう1点注目してほしいのが、障害物検知機能だ。機体の進行方向に立って検証したところ、直前で停止するか、あるいは速度を維持したまま左右に回り込んで衝突を回避してくれた。動画の後半ではパイロンと同じ高度を飛行させてみたが、こちらも衝突することなくスムーズに通り抜けることができている。

 操縦のミスを補う精度の高い回避介入であり、安全なフライトを強力にバックアップしてくれるだろう。もちろん、ドローンの飛行にあたっては人や物に接触しないように細心の注意を払う必要があるが、本機の検知システムは不測の事態を防ぐうえで極めて有効な支援機能だ。

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

編集アプリ「DJI Studio」のトラッキング機能を利用すると、360度映像のカメラの向きを被写体に固定できる

この動画では正確なトラッキング機能と、障害物検知機能による回避飛行を確認できる
 

 本機で撮影した360度パノラマ映像は、専用アプリ「DJI Studio」で書き出してYouTubeにアップロードできる。

 投稿された映像は、視聴者が自由に視点を動かしながら鑑賞可能だ。たとえば、複数人でプレイするスポーツなどを高い位置から撮影しておけば、そのあと、参加者がそれぞれ見たい場面やアングルを自由に選んで振り返ることができる。

 こうした没入感のある映像を手軽に記録できることも、DJI Avata 360の真骨頂。筆者ならサバゲー動画をぜひ撮影したいところである。

この動画はパノラマ動画としてアップしている。YouTubeに移動して、視点を動かして鑑賞してみてほしい
 

DJI Neo 2より数は少ないがクイックショット機能も利用できる
 

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

パノラマ静止画も撮ってみた。15520×7760ドットは超精細だ。(クリックで実サイズ表示になります)

 今回、「DJI Goggles N3」と「DJI RC Motion 3」については「屋内」での「目視外飛行」を試してみた。360度撮影に対応するDJI Avata 360では、ゴーグルを装着して顔を振っても、機体やジンバルが物理的に動くことはない。

 天井ギリギリで顔の向きを変えると、あたかも自分自身がその位置に浮き上がり、頭を振っているかのような没入感を得られる。これを屋外で体験できれば、文字どおり空を飛んでいるような感覚を味わえるはずだ。

 屋内でのフライトだけでも、FPV飛行の醍醐味を容易に想像できる。安全確保の重要性は承知しつつも、趣味としてのFPV飛行がより身近なものとなるよう、航空法の柔軟な運用や利用環境の整備が進むことを期待したい。

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

DJI Goggles N3(右)、DJI RC Motion 3(左)

360度の全天周撮影ドローン「DJI Avata 360」実機レビュー

新鮮ではあるが、やはり屋内での「目視外飛行」は物足りない。もっと高度な検証もできるように、資格取得を前のめりに検討中だ

高度な空撮がひとりで完結
FPV飛行のハードルは高いが挑戦してみたい
 

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