ASCIIゲームレビュー語録 第2回
骨太な難易度や救済策など、多くのプレーヤーを満足させる魅力が豊富
「SEKIRO」は死が攻略の糸口に、プレーヤーのアイディアすべてが戦略になる
2019年04月20日 15時00分更新
3月22日に発売されたフロム・ソフトウェアの「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(以下、SEKIRO)」は、「ダークソウル」シリーズなどでおなじみの「死にゲー」を受け継ぎつつ、しのぎを削る剣戟アクションやステルスプレーなど新たな路線を構築した戦国アクションアドベンチャーだ。従来と同様、一世一代の賭けに挑むようなスリルと、ゾクゾクと震えが止まらなくなるような勝利の余韻が味わえるほか、心の奥底に眠っている「チャレンジ精神」を奮い立たせてくれる。
SEKIROには「負けるとわかっていても挑みたくなる面白さ」が秘められている
私はダークソウルシリーズの経験者ということもあってか、プレー開始直後はSEKIROはダークソウルシリーズよりも難易度が下がっているように感じた。ダークソウルシリーズが「VERY HARD(すげぇ難しい)」とすれば、SEKIROは「HARD(難しい)」といった感じだった。しかし、「楽勝!」と言い続けられないのがフロム・ソフトウェアのタイトルの醍醐味。従来のような骨太な難しさは健在だった。
数時間プレーして気付いたのだが、やはりSEKIROに登場する敵もめっぽう強く、ザコだろうとボスだろうと、うまく戦略を立てないとあっけなく「死」を迎えてしまう。さらに敵に負けると一部の所持金と経験値を失ってしまうため、死にゲー初心者の多くは「なんて難しいゲームだ!」と感じただろう。私のように、コントローラーを床にたたきつけたくなる気持ちをグッとこらえた、もしくはやってしまったという人もいるのではないだろうか。
だが、よーく考えてほしい。東大の入試や、出世を賭けた一大事、奥さんと仲直りする方法といったあらゆる試練には「攻略法」があるはずだと。つまり、SEKIROにも攻略方法が存在するということだ。ちゃんとプレーすればSEKIROがいかにフェアなゲームなのかがよくわかるはずだ。
SEKIROは何度も負けていると、敵の攻撃パターンが次第にわかるようになる。ダークソウルシリーズよりも敵の攻撃パターンが明確なため、攻撃パターンさえ覚えておけば自ずと攻略法が見えてくる。どのタイミングで敵の攻撃を弾けばよいのか、どのアイテムが有効なのかなど、さまざまな戦略が次々と頭に浮かぶ。そして、その戦略を実際に試してみようと思った瞬間、「もう一回戦ってみよう」とリトライしたくなる。そういった行動心理が「負けるとわかっていても挑みたくなる面白さ」に直結するというわけだ。

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