IBM 801はいくつかの製品に応用されることになったが、CPUといっても実際はけっこう大きめのボードなので、それこそIBM 9370シリーズのような筐体には入れられても、これより小さなものに搭載するのは難しい。
画像の出典は、IBM 100
普通では「市場でなにか手頃なプロセッサーを入手して使おう」となりそうだが、そうせずに自前でなんとかしようとするあたりがIBMである。逆に言えば、Intel 8088をベースにIBM-PCを構築したESDのやり方は、当時のIBMとしてはかなり異端だったわけだ。
IBM 801が完成する少し前の1977年、IBMのOPD(Office Products Division)は、プリンターの制御や、ワープロなどのオフィス機器の構築に必要なプロセッサーを探していたが、手頃なものがなかった。そこでIBM 801をベースに、自前でプロセッサーを開発することを考える。
もっともOPD自身はもともと電動タイプライターから始まり、コピー機やプリンターを経て、1976年にやっとワープロIBM Word Processor/32(*1)を手掛けた程度で、プロセッサーの開発能力は持っていなかった。そこでIBMがテキサス州オースティンに拠点を構えていたDevelopment Labの協力を仰いで独自のプロセッサー開発に乗り出す。
(*1) そのWord Processor/32も、単独開発ではなくIBMのGeneral System Divisionとの共同開発である。
この連載の記事
-
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第792回
PC
大型言語モデルに全振りしたSambaNovaのAIプロセッサーSC40L Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第791回
PC
妙に性能のバランスが悪いマイクロソフトのAI特化型チップMaia 100 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第790回
PC
AI推論用アクセラレーターを搭載するIBMのTelum II Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第789回
PC
切り捨てられた部門が再始動して作り上げたAmpereOne Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第788回
PC
Meteor Lakeを凌駕する性能のQualcomm「Oryon」 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第787回
PC
いまだに解決しないRaptor Lake故障問題の現状 インテル CPUロードマップ - この連載の一覧へ