VAIOが育ててきた第2第3の事業
これまでのVAIOは、主力となるPC事業においてはモバイルPCにフォーカス。さらに、法人向けにも展開した結果、働き方改革も追い風となり、法人市場において前年比30%増という大きな伸びを記録したという。
「VAIOが独立したあとは限られたリソースのなかで、モバイルPCのラインアップを拡充させ、VAIO True Performanceなどの独自性を持った機能を強化し、さらに付加価値を高めてきた。そしてこのほど、構想3年、開発2年の2in1の新たなPCを投入した。2019年には、生産性向上を図ることを目指したPCにまでラインアップを拡大し、VAIOのビジネスに大きく貢献させたい」とする。
今後はPC事業において、キッティングを含めたカスタマイズによる導入支援や、CSサービスなどの付加価値を向上させたソリューションを提供するなど、ハードウェア以外の収益獲得も目指す。
また独立当初は、国内に集中する方向性を打ち出していたが、現在、日本を含めて12地域で展開。「世界的に知られたブランドを国内だけにしておくのはもったいない。欧州には来年早々にも展開したいと考えており、ロシア、中近東、インドについても、おいおい検討したい。すでに世界のVAIOブランドとして復活を遂げている」と、海外展開の手応えに自信をみせる。
2本目の柱とするEMS事業では、ロボティクスビジネスを中心にして、製品の幅が拡大。出荷台数が前年比2.5倍に増加するという実績をあげている。
「ベンチャー企業や学生でも試作まではできるが、量産化となると話は別である。不良を出さない量産化設計にはノウハウが必要であり、量産化したいので一緒にやってほしいという提案が増えている。VAIOの強みはそこにある。ロボティクス以外にも、eペーパーを使った電子楽譜や、プロジェクターとスピーカーが内蔵したシーリングライトなど、EMS事業の幅が広がっている」とする。
そして、第3の事業としてスタートしたソリューション事業では、VRを活用。東映、クラフターと提携した低遅延多人数同時VRシステムや、VAIOミライ塾の名称によるVRを活用した教育ビジネスもスタートしている。
「長期戦にはなるが、新たなビジネスを育てていきたい」と意気込む。
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