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自動運転に求められるイメージセンサーとは?

自動運転進化と密接にからむイメージセンサーの今

連載
アスキーエキスパート

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自動運転に求められるイメージセンサーとは?

 まず、環境に関しては、暗所での性能が求められます。夜間であれば、ヘッドライトをつけるとはいえ、ヘッドライトで照らせないところから人や車が飛び出してくる場合、より暗い状況の情報も得る必要があります。また、トンネルの出口などでは、トンネル内の暗いシーンとトンネル外の明るいシーンが1つの画像の中に混在することになります。こういった状況でも、トンネル内とトンネル外両方の情報を得ることができなければ、安全に車を運転することができません。暗い場所と明るい場所、同時を取得することができる広いダイナミックレンジが必要となります。

 次に、距離に関して見てみると、スマホであれば、50m先の距離情報が必要なアプリはあまりないかもしれませんが、車ではそうはいきません。時速80kmでは、わずか4.5秒で100m進んでしまいます。安全にブレーキをかけることを考えると、より遠くまでの距離情報を得ることが大変重要なのです。

 車用途ならではのこんな問題もあります。近年、消費電力や耐久性の観点から、急速にLEDの信号や車のライトが普及してきましたが、実はこのLEDは人間には見えない早さで点滅しているのです。この現象をLEDフリッカーといいます。点滅しているので、カメラがシャッターを切るタイミングによっては、信号がついていないように見えてしまいます。万が一、赤信号でLEDを見間違えてしまうと大事故につながりかねません。イメージセンサーは、このLEDフリッカーに対応する必要があります。


 このように、車用途には、暗所や広いダイナミックレンジ、遠距離情報、LEDフリッカー対応のイメージセンサーが必要になってきます。また、1つのイメージセンサーですべての機能をまかなえるわけではないので、複数を車の360度すべてをカバーできるように配置することでより高度な自動運転が可能となります。

 美しい画像を得るためのイメージセンサーや、スマホで距離情報を得るためのイメージセンサーに関しても本連載では述べてきましたが、車用途に共通する技術もあれば、そうでない技術もあります。

 たとえば、暗所や広いダイナミックレンジを持つ画像は、美しい写真を撮る技術と共通します。スマホや一眼レフで子供の寝顔や、逆光のシーンなどでも写真を、より美しく撮ることができるようになってきていますが、同じ技術が車用途のイメージセンサーにも応用されてきています。

 一方、LEDフリッカーの影響がない画像を得るという技術は、スマホのカメラなどではあまり重要とされていません。この技術は車用途に独自に開発する必要があります。距離情報も同様に、遠くまでの情報を得るには、照射する光を調整し、それを受け取るイメージセンサーも合わせる必要が出てきます。

 このようなさまざまなイメージセンサーを組み合わせることで、日々車の安全性や自動運転が進歩しています。ここで、1つ注目すべきことは、これらのイメージセンサーから得られる情報は、すでに人の眼を超えはじめているということです。たとえば、街灯がまったくなく、月が雲に隠れはじめると、人間の目ではまったく周りの状況は見えなくなりますが、イメージセンサーを用いると、驚くほど鮮明に画像を得ることができ、物体を識別することが可能となります。

 人間が左右や後方の情報を得ようとすると、首を回したり、視線を移動させたりしなければなりませんが、複数のイメージセンサーを使うことで360度すべての情報を同時に得ることができます。

 これらの情報を高速で処理して、ブレーキやアクセル、ハンドル操作を直接行なうことができれば、人間が運転するよりもずっと安全な自動運転が可能となります。このような世界が目の前にきているからこそ、多くの企業が自動運転に向けて取り組みを行っていると考えられます。そしてイメージセンサーも同様に、より広いダイナミックレンジを得る技術、より暗所でも撮影ができる技術、より遠方の距離情報を正確に得ることができる技術の開発が行なわれています。

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