筆者が初めてパソコンを買ったのは1983年の富士通「FM-7」だった。
価格は12万円前後だったと記憶しているが、おそらく当時の大卒の初任給に近かったはずだ。
当時のパソコンのパフォーマンスは現在のモノとは比べようもないが、値段だけは一人前だった。
その後、「NEC PC-9801」「Macintosh Plus」「TOSHIBA J-3100」「IBM-JX」とたて続けに衝動買いを連発し、怒涛のローン地獄に陥り、現在の筆者ができ上がった次第だ。
そんな多少遅れたパソコン導入だったので、1979年に発売されたシャープの「MZ-80C」はもちろん知っているが、1979年当時の大卒初任給の2.5倍もしたので、毎週行っていた日本橋の電気屋街で指をくわえて眺めていた記憶だけがある。
そんなMZ-80Cのレプリカが、Raspberry Pi A+を搭載した超小型PCとして4分の1サイズでよみがえる、というニュースをウェブで見た。しかし、多忙な日が続いていた時期でもあり、気がついた時にはすでに予約販売が締め切られていた。
ちなみに、レプリカPCを制作したのはシャープ……ではなく、ゲームソフトおよび周辺機器の開発を行なっているハル研究所である。
予約購入者への出荷がはじまって“火入れ”の自慢話がSNS上を賑わし出した頃、なんと、出荷直前のドタキャンがあって、2次募集をする! という話題をウェブで発見。
すでにその時刻には寝床の中にいたが、枕の下からスマホを取り出して速攻で予約注文を終えた。
レプリカのミニPC「PasocomMini MZ-80C」
早速、配送されてきた「PasocomMini MZ-80C」は期待を裏切らない出来だった。当時は買えなかったので梱包パッケージは見たこともないが、ネット上の評判では、真ん中の巨大ホチキスのところで観音開きにならないところ以外は、かなり忠実に作られているらしい。
同梱物は、本体とディスプレー周辺の組み立てパーツ、データレコーダーのメディアであるカセットテープ関係の組み立てパーツ、入出力ポートのカバーパーツ、microSDカードとSDメモリーカードアダプター、Raspberry Pi関係のドキュメント、そして取扱説明書だ。
本体をRaspberry Pi搭載のパソコンとして稼働させるために必要なUSB/ACアダプターやケーブル、USBキーボード、HDMIケーブルは付属していない。MZ-80Cの本体はクルマのボンネットのように開き、付属の支持パーツで支えることが可能だ。
内部には超コンパクトなRaspberry Pi A+のシステムボードが収納され、レプリカモデル本体の向かって左側面には外部キーボードを取り付けるUSBポートが配置されている。
筆者は常にTrackPointの付いたThinkPadキーボードを使用するので、1ポートで大丈夫だが、マウスなどを併用するユーザーはハブを用意する必要がある。
本体背面には、左からmicroUSB(AC-INポート)、HDMIポート、AUXジャックがある。MZ-80Cを動作するRaspberry Pi A+のミニPCとして使用しない時は、前述のポートをカバーするアクセサリーパーツが同梱されているので、取り付けることによって、より外観にリアリティーのあるMZ-80Cができ上がる。

背面のポートカバーはMZ-80C本体を上下に分離させてから取り付け取り外しが便利
背面の幅広のカバーは、そのままでは取り付けにくいので、MZ-80Cの筐体の上半分を取り外して取り付けるのがいいだろう。クルマのボンネットのように一杯まで開き、その後、思い切って同じ方向に倒すとカチッと音がして簡単に取り外すことが可能だ。
さて、往年のMZ-80Cを限りなくリアリティーある雰囲気にするために、2つの細かな部分を作っていこう。まずはディスプレー部分だ。
ディスプレーのモニターフードを取り外し、BASICの起動画面が印刷された画面用紙を背面から押さえる画面裏板とモニターフードで挟み、元の位置に押し込む。そして最後に前面から画面フィルターをはめ込めば完成だ。
続いて、データレコーダーのカセットテープ(の極小模型)にラベルを貼り付け、上蓋の内側から爪楊枝などで押し出せば、データレコーダーのフタが外れる。
お好みのカセットテープを入れてフタを閉めるなり、半空きにするなりしてフィギュアのように情景をエンジョイできる。

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