次はVegaかと思ったら、突然登場した
Radeon RX 500シリーズ
次はVega待ちかと思われていた2017年4月に突如投入されたのが、Radeon RX 500シリーズである。まず4月にRadeon RX 580とRadeon RX 570が発売されている。
コアのコード名はAMDがPolaris 20としているので図でもこれを継承したが、コアそのものは基本一緒である。もっともRadeon RX 480出荷当初に流通していたコアはリビジョンC7だったのに対し、Radeon RX 580ではリビジョンE7に切り替わっているため、まったく同じわけ」ではなくマイナーアップデートはあったようだ。
スペックは若干動作周波数が引きあがったほか、Radeon RX 480の時はGDDR5が「8GB版が8Gbps、4GB版が7Gbps」だったが、Radeon RX 580ではメモリー容量に関わらず8Gbpsに統一されたのが主だった違いだろう。
もっとも性能を引き上げた分、TDPも150Wから185Wに引き上がっている。これはRadeon RX 570も同じで、コアの動作周波数引き上げだけでなく、メモリーも6.6Gbpsから7Gbpsに引き上げられており、結果TDPは120Wから150Wに増加している。
このあたりはGeForce GTX 1060/1070に対する対抗策、と言えなくもないのだろうが、それにしては投入時期がやや遅くなりすぎた感がある。もう少し早めに投入できていれば、と思わなくもない。
同じ4月に投入となったのがRadeon RX 550である。こちらはPolaris 11の削減版ではなく、まったく新しいダイである。当初はPolaris 12として開発されていたはずだが、他の製品にあわせてPolaris 22というコード名に変わったらしい。
こちらは完全にローエンド向けで、製品ページを見てみると、性能比較がRadeon R7 250やIntel HD Graphics 530ということになっている。
5月に投入されたGeForce GTX 1030とちょうど競合するポジションにいるのだろうか。さすがにTDPが50Wともなるとファンレスというわけにはいかないようで、このあたりはファンレス製品もあるGeForce GTX 1030にはおよばないが、そのASUSはIP5X対応防塵ファン搭載製品を出したりしているあたり、ローエンドの選択肢が増えるという意味では歓迎であろう。
ちなみにAMDはこのRadeon RX 550を若干スペックダウンしたRadeon RX 540もラインナップしているが、こちらはモバイルプラットフォームのみの提供で、現在のところデスクトップ向けのカードを供給する予定はないようだ。
最後に、今年5月に投入されたのがPolaris 21搭載のRadeon RX 560である。この製品がおもしろいのは、もともとPolaris 11が16CU(Compute Unit)構成だったのにRadeon RX 460ではこれを14CU構成に落として使っていたのが、Radeon RX 560では16CU構成に戻したことだ。
ダイサイズは123mm2と小さいから、2CUを無効にした理由は歩留まり改善云々ではなく単に性能調整であり、GeForce GTX 1000シリーズとの競合が激しくなってきたので全CUを有効化した、というあたりであろう。
動作周波数も若干引き上げられているが、ただそうは言ってもメモリーバスは7Gbps/128bitで据え置きなので、こちらがボトルネックになりそうで、どこまで性能改善の効果があるのかはよくわからない。
消費電力も若干増え、75Wから80Wになってしまったことで、理論上は補助電源が必要(PCI Express x16レーンから供給できる電力は規格上75Wまで)のはずだが、実際の製品を見ると補助電源なしのRadeon RX 560カードが存在しているあたり、電力消費量を見ながらピーク時には周波数制限などをかけてるのかもしれない。
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