新DB「Azure Cosmos DB」やPaaSのMySQL/PostgreSQLが登場
AzureからDBやAIの新発表が続々、「Build 2017」開幕
2017年05月11日 13時40分更新
米マイクロソフトは5月10日~12日、年次開発者会議「Build 2017」をシアトルで開催している。初日の基調講演には、同社のサティア・ナデラCEO、Microsoft Azure統括副社長のスコット・ガスリー氏、Microsoft AI and Researchグループ副社長のハリー・シャム氏らが登壇し、Azureからデータベース、IoT、AI関連の新発表を行った。1日目の基調講演で発表された新サービスをまとめて紹介する。
IoTデバイスにコンテナアプリを配布する「Azure IoT Edge」
まず、AzureのIoT関連の新サービスとして「Azure IoT Edge」が発表された。Azure IoT Edgeは、IoTのエッジ側の物理デバイスがAzure上のサービス(Azure IoT Hub、Azure Stream Analytics、Azure Machine Learningなど)と通信するためのクライアントアプリケーションをDockerイメージとしてパッケージングし、物理デバイス側のDockerコンテナホストにデプロイするシステムだ。
デモでは、Azure側のダッシュボードからIoTエッジデバイスの稼働状況などをモニタリングし、処理負荷警告を検出した際には新たなクライアントアプリケーションを即時展開して負荷を軽減する様子を紹介していた(新しいアプリケーションを配布してデバイスからAzureへ送信するデータ量を削減するなどの調整を行っていたようだ)。
「Azure Cloud Shell」とAzureポータルのスマホアプリが登場
Azureポータルから直接CLI(コマンドラインインターフェース)コンソールを起動できる「Azure Cloud Shell」が発表された。Azure Cloud ShellはBashで操作可能であり、あらかじめAzure CLIが含まれている。デモでは、CLIからAzure Virtual Machine Scale Setを使って1000台の仮想マシンを起動していた。
また、Azure Cloud Shellは、同日リリースされたiOS/Android向けAzureポータルアプリでも起動が可能。iOSでBashのコンソールが動くデモは、開発者の笑いを誘っていた。
AzureにMySQLとPostgreSQLのPaaSが登場
Azureに、PaaSのMySQLデータベースサービス「Azure Database for MySQL」と、同じくPaaSのPostgreSQLデータベースサービス「Azure Database for PostgreSQL」が追加された。
バックアップやリカバリ、データベースパッチ配布、可用性維持、セキュリティ対策といったデータベース管理の手間がないMySQLデータベース、PostgreSQLデータベースのマネージド型サービスを、Azure上に数分で構築できる。
DocumentDBの発展形「Azure Cosmos DB」を発表
続いて発表された「Azure Cosmos DB」は、AzureのドキュメントデータベースAzure DocumentDBをグローバルに分散させて、高可用性、スケーラビリティ、低遅延、データ整合性を実現するデータベースシステムだ。
Azure Cosmos DBでは、Key-Value、Document、Column Family、Graphの複数のデータモデルを1つのシステムから利用できる。また、自動的にすべてのデータのインデックスを作成し、DocumentDB、MongoDB、Table Storage、Gremlin Graph、Sparkなど複数のAPIを使ってデータにアクセス可能。
データ容量は数ギガバイト程度から数ペタバイト級まで、トランザクションも毎秒数百程度から毎秒数億レベルまでのスケーラビリティを実現するとしている。
サーバーレス関連のアップデート
Azureのサーバーレスサービス「Azure Functions」に関連するアップデートもあった。Visual StudioからAzure Functions(およびLogic Apps)を開発、デプロイ、テストできるツールが発表されたほか、アプリケーションのパフォーマンス監視ツール「Azure Application Insights」からAzure Functionsのメトリックを取得できるようになった。
サーバーレスアプリケーションのコードは、ステータスやメトリックなどの情報取得が難しいことが課題だったが、今回のアップデートにより、Application InsightsからAzure Functionsのコードの状況を把握できるようになった。
Microsoft Cognitive ServicesからカスタマイズできるAIを発表
AzureのAIサービスAPI群「Microsoft Cognitive Services」に、カスタマイズ可能な画像認識API(Custom Vision Service)や音声認識API(Custom Speech Service)が追加された。デモでは、Custom Vision Serviceのサイトにユーザーがアップロードした植物の画像を、クリック操作だけでAzureが学習して検出できるようになる様子が紹介された。
そのほか、Cognitive Servicesの新しいAPIとしてビデオのインデックス処理などを自動で行う「Video Indexer」が発表されたほか、研究開発中のAPIを先行利用できる「Cognitive Services Labs」プログラムが新設された。