恥ずかしいファイルの10年後を考えてみよう
こんにちは。デジタルと人の死生の関係性を追いかけているライターの古田です。
みなさんはパソコンやスマホ、オンラインなどに誰にも見られたくないファイルを持っていますか? ありますよね? 私もあります。メインマシンのシステムフォルダの近くに「Windows-h」というフォルダをしれっと置いています。なにかの拍子に家族が中身を見たらどんな反応するのかなぁ、とちょっとシミュレーションするだけで心が痙攣を起こすので普段は考えないようにしています。大丈夫です。大丈夫です。
では、いま現在抱えている見られたくないファイル、恥ずかしいファイルは、いつまで隠しておきたいですか?
「10~20年後なら解禁してオーケー」という類いのものでもないですよね。「死んだ後なら解禁していいよ」という人は結構いそうですが、積極的に開け広げたいという人はそこまで多くないような気がします。「できれば墓場まで持っていきたい」――そう考える人が多勢ではないでしょうか。
実際、いろいろなところで「遺品としてのデジタル資産の対処法」みたいな記事を書いたり話したりすると、大抵ネットで「余計なこと教えんじゃねえ」「死人にムチ打つのはやめろ」みたいな反応が返ってきます。恥ずかしいファイルの持ち主としては至極まっとうな反応だと思います。
私だって、娘がある日突然、他人のGoogleのマイアクティビティー(検索履歴と閲覧履歴)を調べる方法をマスターしたり、Windowsで削除した一時ファイルを復元する術を身につけたりしたら、多分ワクワクしませんし。
情報には他者と共有してこそ価値を持つものとそうでないものがあり、恥ずかしいファイルは明らかに後者なわけです。存在を知られないままそっと消えてくれるのが理想なわけです。しかし、なにも考えずに放置しただけでは望み通りの状況になりにくいのが実情。確実を期すならば、手持ちのデジタル資産の性質と家族や友人の性質を把握して、具体的な手を打つ必要があるのです。
普段のスタンスとちょっと毛色が異なるかもしれませんが、この連載では、恥ずかしい「デジタル遺品」を墓場まで持っていくことに心血を注ぎたいと思います。
今週のポイント
家族を鎮める特効薬
そのままにして逝くと家族が困ってしまう情報を紙で残し、万一の際に見つけやすいように預金通帳に挟んでおく。一見家族のための行動に見えるが、自分のための備えといえる。
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