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マイクロソフト・トゥディ 第209回

アクア、DMG森精機 - IoTの協業発表が相次ぐ日本マイクロソフト

2016年09月22日 10時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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 日本マイクロソフトが、IoTを切り口に様々な業界との連携を相次いで発表している。

 これまでにも、次世代型小売店舗の実現に向けてソフトバンクロボティクスと協業。PepperとAzure IoT Suiteを結んだ接客の実現に取り組んだり、日本航空(JAL)がHoloLensを採用し、ミックスドリアリティの特徴を生かしたエンジン整備や操縦トレーニングに応用したりといった例もある。

 トヨタ自動車とは、トヨタコネクテッドを共同で設立。クルマから取得する情報を集約し、サービスを高めたり、新たなクルマの開発につなげる取り組みを開始している。またパナソニックでは、クラウドサービス基盤となるPCPF(パナソニッククラウドサービスプラットフォーム)をAzureで構築し、150万台以上の製品をクラウドサービスにつなげて、外出先からテレビやエアコンを操作したりといったことを可能にするという。

真のユーザーオリエンデッドな製品やサービスの開発・提供

 9月に入ってから、日本マイクロソフトは、家電メーカーのアクアと、工作機械メーカーのDMG森精機との協業をそれぞれ発表している。

 アクアとは、家電製品とクラウドサービスを結びつけた新たな取り組みで合意。その第1弾として、業務用コインランドリー向けのサービスにIoTを活用することになる。

 「AQUAクラウドITランドリー」(仮称)として、業務用コインランドリーを活用した新たなサービスビジネスを2017年にも提供。これまで、オンプレミス上で管理している保有データをクラウド化し、コインランドリーの稼働状況に関するデータをビッグデータとして蓄積。使用状況やパターンなどの様々な分析により、「声なきユーザーの潜在的ニーズを探り、これまでにない真のユーザーオリエンデッドな製品やサービスの開発・提供につなげる」(アクアの山口仁史日本代表 執行役員 COO)とする。

アクアの山口仁史日本代表 執行役員 COOと日本マイクロソフトの平野拓也代表取締役社長

「AQUAクラウドITランドリー」(仮称)として、業務用コインランドリーを活用した新たなサービスビジネスを2017年にも提供。これまで、オンプレミス上で管理している保有データをクラウド化し、コインランドリーの稼働状況に関するデータをビッグデータとして蓄積

 業務用コインランドリーは、三洋電機時代から継続しているビジネスで、国内1252店舗において、1万6000台以上を導入している。

 日本マイクロソフトとの連携により、AQUA ITランドリー会員ユーザーは、コインランドリーの空き情報の閲覧や洗濯終了メールの受信、キャンペーン情報などを受信できるほか、新たに地図サービス連携や、ソーシャルメディアサービスとの連携、電子マネーや他業種ポイントサービスとの連携なども可能になるという。

 今後は、家庭向けの白物家電にもこうしたノウハウを展開していくことになるという。

 「モノとクラウドが融合することで、新しい価値の創造と顧客体験を実現できると判断した」(アクアの山口仁史日本代表 執行役員 COO)とする。

 日本マイクロソフトの平野拓也代表取締役社長も、「これまでの家電のデジタル化を超え、サービスモデルの変革につなげることができる。家電のデジタルトトランスフォーメーションを実現するものになる」と前置きし、「顧客体験を向上させるサービスであり、顧客は自分の時間を効率的に使えるようになったり、コインランドリーのオーナーはデータをもとに設置方法の検討やサービス向上につなげたりできる」とする。 実は、コンイランドリーの利用者は増加傾向にあるという。

 これまでは家に洗濯機を持たない単身赴任者や1人暮らしの学生などの利用が多かったが、昨今では、ライフスタイルの変化、価値観の変化によって、時間を有効に使いたいという理由で利用が増えているという。

 「毎日の衣類は自宅で洗う一方で、早く洗いたい、あるいは大きな物を洗うといった場合にはコインランドリーを使ったり、コインランドリーで洗濯している間に、近くで買い物することができるため、時間を有効活用できるというニーズもある」という。

 洗濯に伴う労働コストは、5兆2000億円に達すると試算されており、そのうち、コインランドリーが1000億円規模、クリーニング店の活用が4000億円規模。残りの4兆7000億円が、自宅での洗濯による労働コストだという。

 「自宅の洗濯機と、コインランドリーを使い分けて利用するニーズは、これから増加すると考えており、アクアは、業務用洗濯機にはさらに力を入れていく」と語る。

 今回の提携は、IoTを活用することで、洗濯という観点から、生活を効率化できる提案ともいえ、今後は家庭向け洗濯機への応用によって、自宅の洗濯機+コインランドリーという利用提案を促進することにもなりそうだ。

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