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フェイスブックのOffice 365採用、Windows 10サブスクリプション価格などのトピックも

マイクロソフト“3つの野心”、WPCで披露された今とこれから

2016年07月19日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 米マイクロソフトは、現地時間の2016年7月11日~14日の4日間、カナダオンタリオ州トロントにおいて、パートナーを対象にした年次イベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2016(WPC 2016)」を開催した。世界144カ国から約1万6000人のパートナーが参加し、過去最大規模となった今回、日本からは150社384人が参加している。

全世界のパートナーを対象とした年次イベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2016」

今年のWPCはカナダ・トロントで開催

基調講演の会場となったAir Canada Centre

 基調講演では、同社が掲げる「インテリジェントクラウド」「プロダクティビティとビジネスプロセス」「革新的なパーソナルコンピューティング」という3つのアンビション(3つの野心)それぞれについて最新の取り組み状況や、新たな製品、機能などが紹介された。

“エンタープライズレディ”なインテリジェントクラウドとしてさらに成長

 「インテリジェントクラウド」については、同社 マイクロソフトクラウド&エンタープライズグループ担当エグゼクティブVPのスコット・ガスリー氏が説明した。

米マイクロソフト マイクロソフトクラウド&エンタープライズグループ担当エグゼクティブVPのスコット・ガスリー氏

 ガスリー氏は、マイクロソフトは迅速さ、柔軟さ、そして高い信頼性を兼ね備えたクラウドを提供しており、機械学習やアドバンスドアナリティクス、IoTといったコグニティブサービス(Cognitive Services)の活用で、インテリジェントなアクションも取れると語った。

 「こうしたソリューションを通じて、安全な活用を提案し、全体的な管理を容易にできるのがマイクロソフトの『インテリジェントクラウド』だ。ユーザー企業にとっては、差別化につなげることができるツールだと言える」(ガスリー氏)

 加えて、マイクロソフトは「プロダクティビティ」「ビジネスアプリ」「アプリケーションイノベーション」「データ&インテリジェンス」「セキュリティ&マネジメント」という切り口で特徴を持つことを強調。「さまざまなシナリオを組み合わせたユニークな提案が可能であり、これだけ広範囲な総合的な提案ができる会社はない」と述べた。

 さらにガスリー氏は、Azureが「エンタープライズレベルのクラウド」としての実力と実績を兼ね備えていることも強調した。すでに世界34カ所にAzureリージョンを展開しており、毎年何十億ドルもの投資で新たなインフラも整備、数百万台のサーバーを管理していることなどに触れる。

 「マイクロソフトは10年以上に渡って、エンタープライズレベルのクラウドを提供してきた。コンプライアンスやセキュリティ対策の認証において、もっとも数が多いクラウドがAzureだ。Azureならば、中国でも、ドイツでも合法的に運用可能」「ガートナーの『エンタープライズレディクラウド』マジッククアドラントでは、リーダーとして17個の評価を得ている。これは、AWSとGoogle、Salesforceを足した数よりも多い」(ガスリー氏)

 そのほか、Fortune 500企業の85%がマイクロソフトのクラウドサービスを使用していること、昨年度にはパートナーを通じたエンタープライズクラウドの売上高が450億ドル以上に達したことを示しながら、「マイクロソフトはパートナー中心の会社である」とコメント。マイクロソフトのクラウドを活用している企業は、売上高が2倍になっていること、利益は1.8倍になっていること、Azure上でSaaSを提供しているパートナーの粗利は65%以上になっていることなどを紹介した。

 「CSPプログラムにより、パートナーがよりクラウドを取り扱いやすい環境が整っている。これが、マイクロソフトのクラウドが成長している大きな要因」(ガスリー氏)

 またマイクロソフトが買収し、無償化した「Xamarin」についても言及。Azureと.NET、VisualStudio、Xamarinの組み合わせでモバイルアプリ活用を促進する環境を作り、これまでのビジネス環境を「ポケットの中に入れられる」ようにするという、同社の戦略を説明した。

 「Azureはオープンであり、複数のデバイスやOS、様々なプログラム言語に対応したフレームワークや、データサービス、ツールを出していくことになる。Azureは、WindowsのエコシステムとLinuxのエコシステムも活用が可能である環境を実現しているのが特徴」(ガスリー氏)

新たなアプリストア「AppSource」はISVやSIベンダーのビジネスも支援する

 もうひとつ、ガスリー氏が触れたのが、今年7月に発表された「AppSource」である。

 AppSourceは「ビジネスユーザー向けの」ソリューションを発見できるマーケットプレイスだ。具体的には「Dynamics 365(CRM/AX/NAV)」や「Office 365」「PowerBI」などのプラットフォーム上で使えるビジネスアプリを提供している。業種や用途などの切り口からアプリ検索ができ、すぐにプロビジョニングして利用できる。

AppSourceはビジネスユーザー向けのマーケットプレイス。もちろんアプリを提供するISV、ビジネスユーザー向けソリューションを提供するSIベンダーにとっても重要な役割を果たす

AppSourceのトップ画面(https://appsource.microsoft.com/)

 「現在、200本以上のアプリがAppSourceを通じて提供されている。AppSourceを使うことで、パートナーのソリューションの幅を広げてほしい。これによって、顧客のビジネスを変えていくことができるだろう」(ガスリー氏)

 そのほかにも、新たにAzureのソリューションサイトを立ち上げ、パートナーや顧客がこれを参考にして簡単にソリューションを導入できるようにしたこと、「Azure SQL Data Warehouse」の提供開始も発表した。

 デバイス/アプリケーション管理SaaSの「Microsoft Enterprise Mobile+Security(EMS)」については、「すでにOffice 365ユーザーの40%がEMSを活用。競合他社の製品の2倍の成長を遂げている」と述べたうえで、今夏には新たに、情報保護のための「Azure Information Protection」、SaaSアプリケーションのセキュリティ管理「Cloud App Security」を提供するとして、デモを披露した。

Microsoft EMSはさらにセキュリティ機能を拡充していく

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