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平野社長が経営方針説明、Windows 10のアップグレード問題については「非常に反省」

日本MSの2017年度は「デジタル変革」「コグニティブ」に注力

2016年07月06日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフト(日本MS)は7月5日、同月からスタートした新事業年度(2017年度)の経営方針に関する記者会見を開催した。同社社長の平野拓也氏は顧客、パートナー、そして日本MS自身のデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)を推進していく姿勢と、組織変更などの具体的な施策を説明した。

2017年度の経営方針を説明する、日本マイクロソフト 代表取締役 社長の平野拓也氏

昨年度、日本MSのクラウド売上比率は「36%」まで成長

 ちょうど1年前の7月、日本MSの社長に就任した平野氏は「あっという間の1年間だった」と振り返る。この1年間の、“変革”に向けたMS自身の動きとして、平野氏はレッドハットとのハイブリッドクラウド分野における提携強化や「SQL Server for Linux」の開発表明、「Bash on Windows 10」といったオープンソースソフトウェア(OSS)への接近、開発者向け「HoloLens」の北米での提供開始とパートナーへの基盤技術提供による「MR(Mixed Reality)」環境の準備、さらに「Office 365」や「Microsoft Dynamics」との連携によるビジネスユーザーへの貢献を目的としたLinkedInの買収などを挙げる。

 「サティア(・ナデラCEO)率いるマイクロソフトは変革のスピードを落とさず、どんどん前に進んでいる」

 MSではこうした変革を、「革新的なパーソナルコンピューティング」「プロダクティビティとビジネスプロセス」「インテリジェントクラウド」の3分野を軸として、グローバルで進めている。平野氏は、この3つの軸それぞれについて、日本MSにおける2016年度の成果を語った。

“3つの軸”を中心に、MS自身の変革を推進してきた

 特に「Microsoft Azure」を中核とするインテリジェントクラウド分野においては昨年度、「2017年度末までに日本MSの売上の50%をクラウドにする」という目標を掲げていた。その進捗について平野氏は、2016年度末時点で一昨年度の約1.5倍にあたる「32%くらい」になったと報告し、引き続きビジネスのクラウドトランジションに取り組んでいくと述べた。

 「IoTや人工知能(AI)/機械学習(Machine Learning)などをキーワードとして、いろいろな顧客が〔インテリジェントクラウドに〕注目している。日産やトヨタとのコネクテッドカー、ソフトバンクロボティクスや富士ソフトとのロボティクス、東京エレクトロンデバイスとの『IoT共創ラボ』など、顧客の実績〔協業実績〕も出てきた」

 さらに、Azureを活用してソフトウェアをクラウドサービスとして提供する、ISVパートナーのクラウドトランジションも進んでおり、活発なクラウド需要に応えるべく、Azureの国内データセンターは「毎年1.5倍のペースでデータセンターキャパシティを増やしている」と報告した。

2017年度の注力施策は「コグニティブ」「顧客のデジタル変革支援」、新組織も

 新年度の2017年度に日本MSが注力していく施策として、平野氏はまず、人工知能技術を活用した「コグニティブサービスによるイノベーション」と、「顧客のデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)の支援」という2つを挙げた。

 Azureで提供している「Microsoft Cognitive Services」では、知識/言語/音声/視覚/検索といった人工知能の機能群をAPI経由で利用できる。平野氏によると、すでにブラジルでの森林環境分析、メキシコでの交通渋滞予測、米大学での患者の再入院予測や医師の配置最適化などで利用されている。さらに日本でも、大手金融機関が機械翻訳サービスの活用を検討している。

 「プラットフォームベンダーとして、要素技術をAPI経由で使えるよう提供する。こうしたコグニティブサービスを、今後もどんどん市場に出していく」

 また、デジタルトランスフォーメーション支援について、MSとして「カスタマーとの関係構築」「従業員の生産性向上」「業務の最適化」「製品の変革」という“4つのテーマ”で貢献ができるとの認識を示し、顧客事例も紹介した。

デジタルトランスフォーメーション支援の具体的な事例として、ソフトバンクロボティクス、三井住友銀行、JAL、トヨタの各事例を紹介

 さらに、デジタルトランスフォーメーションを支援するための具体的施策として、MSがノウハウを持つ3つの注力シナリオ(ワークスタイル変革/セキュリティ/グローバルオペレーション)の提供、エンタープライズサービスの強化、業種向けソリューションの拡充を挙げた。

デジタルトランスフォーメーション支援のために取り組む具体的施策

 エンタープライズサービス強化については、この7月の組織変更で「デジタルアドバイザー」職を設け、デジタルアドバイザリーサービスをスタートした。これは、MSの持つグローバルな知見とリソースを活用したコンサルティングや支援を行うもので、まずは10名程度からスタートするという。

 また業種向けソリューションに関しても、2、3カ月中に新組織「クラウドインダストリーソリューションユニット」を立ち上げ、重点を置く6業種(製造/金融/流通・小売/政府・自治体/先端研究/医療)に最適化されたシナリオを提供していく。平野氏は、ここでは同時に、各業種に精通したパートナーとの協業も強化していく方針だと説明している。

 「従来のような製品を購入していただくモデルとは異なり、クラウドのビジネスは顧客に〔継続的に〕使っていただかないと意味がない。今回の組織変更の発表も、顧客により使っていただくためのものであり、この1年間の学びと成果に基づくものだ」

そのほかの重点分野。クラウド分野でのパートナー施策の強化、「SQL Server 2016」、法人向けWindows 10、さらにWindows 10デバイス拡充など

 なおパートナー施策に関しては、昨年度拡張を図った「クラウド・ソリューション・プロバイダー(CSP)」プログラムをさらに加速させるとしている。CSPは、単なるMS製品のリセラー(販売店)ではなく、パートナー自身の持つソリューションをAzureと統合して提供するパートナーのことで、2016年度は「1年間で約600社の登録があった」。2017年度はその倍を目指す、と平野氏は抱負を述べている。

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