最新のテクノロジーを体験したい!
なら最新の自動車に乗ってみよう!
いつだって世の中のテクノロジーは自動車と共に進化してきた。鉄とアルミとプラスチックの集合体である自動車に、その時代の最先端技術が投入され、工業製品として世に出ている。それは今でも変わらない。
最新のテクノロジーを体験するなら、最新の自動車に乗ればいいんじゃ……? そう考えたスピーディー末岡。でもひとりで乗っても寂しいよね、ということで編集部のつばさを巻き込み、様々な自動車に乗って最先端の技術を肌で感じる連載を立ち上げた(サーキットで限界走行するとか、そういう企画ではない)。
最近の自動車は通信機能を搭載していたり、Apple CarPlayなどスマホと連携することが当たり前になっている。自動車を知ることは、PC/IT系の最新情報を知ることにもなるのである。
そんな連載第1回で試乗する自動車は……
ポルシェ 911 ターボS
最新のポルシェが最良のポルシェ
AT免許でも運転できちゃう!
いきなりとんでもない自動車を持ってきてしまったが、ポルシェといえばテクノロジーの塊。常にチャレンジングなメーカーだからだ。先日のル・マン24時間レースの劇的な優勝には感動したし。そしてスペック至上主義者なので、現在のポルシェのラインナップの中で一番馬力がある「911 ターボS」をチョイスした。
知らない人はいないかと思うが、ポルシェというメーカーについて説明しよう。ドイツのシュツットガルトに拠点を置く、高級スポーツカーメーカーであり、世界有数のレーシングカーメーカーでもある。とくにモータースポーツとともに発展してきたと言っても過言ではないくらいレースとは密接で、世界中の様々なカテゴリーのレースで勝ちまくってブランド力を高めてきた。
911シリーズというスポーツカーを筆頭に、SUVのカイエン、マカン、オープンカーのボクスター、2シータークーペのケイマン、5ドアセダンのパナメーラなど、車種は少ないがどれも高性能で個性的なラインナップを持つ。
とくにポルシェの象徴とも言える911は、RR・リアエンジンリアドライブという、後輪車軸の後ろにエンジンがある後輪駆動が最大の特徴。世界的に見てもこのレイアウトを採用しているモデルは少ない。巨大な重量物であるエンジンを後方に置くことによって、居住性と実用性が得られるため1950年代以降にブームとなったが、高速走行時に前輪の操舵感が消える、難しい操作性、高いボディー剛性が必要など、メリットよりもデメリットが多くなり、急速に廃れていった。
しかし、それでもRRにこだわり続けたのがポルシェ。職人たちの意地とテクノロジーでデメリットをねじ伏せたのである。RRには発進時に後輪にトラクション(駆動力)がかかりやすい、ブレーキをかけたときに前後の重量バランスが良いといったメリットもある。スポーツカーメーカーであるポルシェはRRのメリットを突き詰め、デメリットは電子制御などで消していった。自動車のレイアウトでは不利と言われるRRをモノにしたことにより、世界中の自動車ファンから愛される存在になっていった。
1964年に誕生した911も、現行の991型で7代目。排ガス規制をクリアするために、自然吸気(NA)の水平対向6気筒エンジンは空冷から水冷になり、ついには標準グレードの911 カレラは全車ターボ付きモデルになった。しかし、それでも911ターボは別格だ。1975年に930型として登場した911ターボは、280馬力、最高速度280km/hというパワーを4速MTで受け止めていた。NAエンジンでテクニカルに旋回する911カレラに対し、圧倒的なパワーとスピードで駆け抜ける911ターボ。同じ911でも全然別のキャラクターとして誕生したのである。
誕生から40年経ち、ターボSというモデルに進化した。馬力は580馬力、最高速度330km/h、0-100km/hの加速はなんと2.9秒というモンスターマシンになったのだ。これはポルシェのラインナップの中では圧倒的なスペック。サーキットで解き放ってこそ活きる性能を、あえて街乗りで試すことにした。試乗コースは東京都内(編集部がある千代田区付近)、軽く首都高を走った。
なお、つばさによる試乗レポート動画は以下をご覧いただきたい。
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