ポルシェと言えば、誰もが知る高級車の一大ブランド。同社ラインナップの「911」は、世界中の自動車メーカーがスポーツカー造りのベンチマークとし、クルマ好きなら「いつかは911」と憧れる存在だ。
そんな911が、この6月にマイナーチェンジした。現行の997型になってから4年も経つので、マイナーチェンジ自体は珍しいことではない。しかし、今回の変更点はマイナーチェンジなんて生やさしいものではなく、今後のポルシェの方向性を示しているかのような、かなり衝撃的な内容であった。
直噴エンジンで高出力、低燃費、低公害
まず伝統のエンジン、水平対向6気筒エンジンに、なんと直噴システム「ダイレクト・フューエル・インジェクション」(DFI)が採用された。 通常のエンジンでは、ガソリンと空気を混ぜてからシリンダー内に送り込んでいたが、直噴エンジンは先に空気を入れてからガソリンを直接シリンダー内に噴射する仕組みだ。燃料の希薄燃焼が可能で燃焼効率も良いため出力アップも期待でき、さらに使う燃料が薄ければ燃費も良くなり排ガスもクリーンになるという特性がある。
これまで、一切直噴エンジンを採用しなかった911だが、同社はここ数年、かなり環境問題を重視しており、燃費とパワーを両立できてさらに排ガスをクリーンにできるとあらば、直噴システムの導入は自然の流れと言える。911に採用されたのは今回が初めてだが、ポルシェのSUV「カイエン」には、すでに直噴システムが採り入れられている。
直噴システムが採用されたことで、「911カレラ」の3.6リッターエンジンは、従来のモデルより最高出力が20psアップし345psに、上位モデルの「911カレラS」に搭載される3.8リッターエンジンは、30psアップの385psになった。それでいて、燃費はどのモデルも「10.2km/リッター」を実現しているというから驚きだ。
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