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スピーディー末岡のドライビングプレジャー! 第1回

最新こそ最良! 最強のポルシェ 911 ターボSが凄すぎた

2016年07月09日 17時00分更新

文● スピーディー末岡/ASCII 車両協力●ポルシェジャパン

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乗るだけで高揚感。溜息が出るほど美しいエンジン音
そしてカミソリのように鋭い加速

 まず外見。パッと見てポルシェだとわかる特徴的なデザイン。ターボモデルはリアフェンダーが大きくなっており、素の911と比べても迫力が違う。サイドミラーからリアフェンダーのエアダクトがチラチラと見えるのもテンションがあがる。そして、驚いたことにホイールはセンターロックを採用。レーシングカーと同じである。

580馬力を受け止めるタイヤはピレリのP ZERO。フロントが245/35 ZR20、リアが305/35 ZR20。20インチのホイールに極太扁平タイヤを装着する

 ボディーサイズは全長4507mm、全幅1880mm、全高1297mm、車重は1600kg。筆者の愛車であるプジョー 207が4030×1750×1470mm、車重1260kgなので、だいぶ大きいことがわかる。それゆえ狭い道は苦手だが、大きい道路なら切り返すことなくUターンできるくらいの旋回性はある。

 いざ乗り込むと、ドライビングポジションの低さに驚かされる。もちろん、シートの調整は可能なので視点をあげることもできるが、スポーツカーの視点は低いものという変なこだわりが筆者にはあるのでそのままにした。そしてイグニッションをひねると、後ろに鎮座する3.8リッターの水平対向6気筒ツインターボエンジンから低く野太いサウンドが車内に響き渡る。どんな音かはのちほどYouTubeチャンネルに動画を上げるので確認してほしい。それはもう美しい音色である。ドアを閉めたときの「バムッ!」という音も質実剛健なドイツ車らしい。ハンドルも適度に重いので、左右にふらふらすることもなくまっすぐ走ることができる。

現行ポルシェの象徴であるLEDライトと2ラインになったウィンカー

 最近の911ターボはどちらかというとスポーティーというよりラグジュアリー、ビジネスエクスプレス的な位置付けになっており、MTの設定はない。PDKと呼ばれるポルシェ独自のトランスミッション(ATみたいなもの)に4輪駆動という設定のみ。なので、AT限定免許でも運転できる。ATのようにクリープがあるので、アクセルを踏まなくても前に進むのだが、この前に進む力の強さに驚かされる。多少の勾配ならアクセルを踏まずにどんどん上ってしまうのだ。

 試乗コースは一般道なのでアクセル全開にはできなかったが、ちょっとアクセルを踏めばターボのブーストをかけずに加速していき、さらにアクセルを空けるとターボが働きシートに張り付けになる加速Gが味わえる。とはいえ、ストップ&ゴーの都内では完全に持てあましてるフラストレーションである。しかし、シートの座り心地とホールド感がいいので、街乗りでも疲れない。クルマがクルマなので、ぶつけられませんようにと神経はすり減ったが。

リアフェンダーのエアダクトがターボモデルの証!

リアのウィングは主張しすぎずでカッコイイ

 911は実用性と運動性能を両立させているスポーツカーだ。この1台で移動・サーキット走行・レジャーなどが楽しめる。車高も低いのだが、よほど段差がある場所でなければコンビニやファミレスにも入れる。今回も何ヵ所かのコンビニに立ち寄ったが、車止めにも引っかからず、入り口の段差でバンパーの下をこすることもなかった。

 高速道路での乗り心地だが、サスペンションの硬さもあって路面の凹凸を結構拾う印象。それ以外は直進での安定性と、カーブを曲がっている最中の「絶対スピンしなさそう」という安心感もあって、さすがビジネスエクスプレスだと思い知らされた。速く、快適に、より短時間で目的地に着くための自動車なのだ。電子制御が介入するほど激しい運転はしていないが、デジタルで制御されたサスペンションや横滑り防止機能は、ドライバーを守ってくれるに違いない。

911の給油口は前にある

サイドミラーは意外と大きい。そのぶん車内からは見やすい

 スポーツカーといえばどれだけ速度が出るかが注目されがちだが、ポルシェは加速と同じくらい減速に注力しており、ポルシェのブレーキは宇宙一、なんて言われたこともある。RRのメリットがブレーキングのときに最大限活かされるのである。重量物が後ろにあるため普段はリアヘビーだが、フルブレーキングすると荷重が4輪すべてに行き渡り、理想の減速体勢になる。残念ながらそこまでのブレーキングはしなかったが、PCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)と呼ばれるレーシングカーにも採用されるブレーキは、ちょっと踏むだけでゴリゴリとスピードを削っていた。

 今回走ってみての燃費は6~7km/Lと、あまりおサイフに優しくはなかったが、街中の渋滞とアクセルのオンオフが頻繁だったためだろう。驚いたのが、アイドリングストップがあること。ブレーキを踏んで完全に停止するとエンジンが切れて、ブレーキを離すと再びエンジンがかかる。これが燃費にどこまで影響しているのかわからないし、そもそもポルシェに乗る人はそんなに燃費は気にしないかもしれない。

左がターボS、右が911 カレラ。テールランプの形状が全然違うことがわかる

 定員は4人なので大人が後部座席にも乗れるが、正直長時間乗っていられない。頭をガラスにぶつけてしまうので、前屈み推奨だ。後部座席は荷物置き場と割り切り、「4人乗れるからファミリーカーだよ!」と嫁さんの説得材料に使おう。

エンジンが後ろなのでトランクルームは前にあるが、あまり収納スペースはない

【まとめ】次元が違う完成度。値段も次元が違う!

 で、この911 ターボS。お値段はコミコミ約2600万円! 標準の911 カレラが2台買えてしまうお値段だ。だが、その値打ちは十分すぎるほどある。マーチのように街中を流してもいいし、580馬力をふんだんに使ってサーキット走行しても楽しいだろう。このクルマでなければ得られないドライビングプレジャーが確実にある! 

 2600万円という値段は多少のブランド料もあるかもしれないが、このスペックを考えると妥当なんじゃないだろうか、と思えてしまう。ほかの高級スポーツカーやエキゾチックカーと比べたら安いし。筆者はもちろん買えませんが、唸るほどお金がある方はぜひ! 世界最高峰の工業製品、世界最先端のテクノロジーを骨の髄まで味わえるでしょう。

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ハンドルの右下にある円形のスイッチは、スポーツモードなどに瞬時に切り替えるもの。乗り味が別モノになる

クルマのデータはすべてデジタルで表示が可能

スピードメーターのMAXは350km/h。フン、出ねーヨ、と言いたいところだが330km/hは出るようだ

カーナビの画面をこkに映し出すこともできる。視線の移動が少なくてすむ

ターボとターボSというグレードがあるが、売れているのはハイスペックのターボSのほうだとか

ドアを閉めるときの重厚感がたまらない

今回借りたのは左ハンドルモデル。シートはセミバケット仕様なのでホールド感があり、さらに疲れにくい

リアシートは狭い。成人男性はキツイが女性は身長次第で普通に乗れるかも(つばさは厳しそうだった)

サイドシルに燦然と輝くターボSのエンブレム

エンジンルームは最近のクルマらしく必要最低限しか見えない

シガーソケットがなく、USB端子はグローブボックスの中にある

ドリンクホルダーは格納式。必要ないときは邪魔にならないようにしまっておける

7速PDK。もはや人間の手でギア操作をするより素早く的確にギアを変えてくれる

コントロールパネルにはたくさんのスイッチがある。PORSCHEロゴのフタを開けるとSIMスロットがある

ASCIIらしく、SIMを公開! M2MのSIM、初めて見たー!と編集部員が盛り上がっていた。常にモバイル通信を行なってナビの情報などを最新に保っている。オーナーはキャリアとの契約も通信費の支払いも必要ない

ディスプレーは静電式のタッチパネルで感度がかなり良い。スマホと同じ間隔でグリグリ動かせる

ポルシェのインフォメーションシステム「ポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム」(PCM)。スマホとも連動するが、まだ日本でできることは少ない

車体のログが記録されている。270km/hも出したの誰!? 筆者たちは街乗り中心なので、こんなに出せません(出せる腕もありません)

文字入力はフリックかと思いきや、文字を長押しすると出てくるほかの文字をタップするという、ちょっと使い勝手が悪いモノだった

今のところ、PCMアプリでできるのはカーナビまわりのことだけ。国によってはストリーミングが聴けたりするらしい。今後の展開は未定とのことだ

地図はGoogle Mapと連動しているので、PCやスマホで利用している人なら使いやすいだろう

Apple CarPlayとも連動するのでiPhoneユーザーは音楽を聴いたり電話をしたりと、使い方の幅が広がるだろう

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