3月21日、アップルが「iPhone SE」を発表しました。事前に多くのリーク情報が報道されたこともあり、予想の範囲内という印象はあったものの、今回もまた多くの業界関係者やファンを寝不足にするイベントになったといえます。
奇しくも筆者は移動日であり、フランクフルト空港から飛行機に乗る直前に発表内容を確認することになったものの、イベントが1時間とコンパクトだったので、出発前に情報を得ることができました。
手頃な価格で4Sや5、5sからの移行に最適
iPhone 6や6sのユーザーにとって、発表されたiPhone SEの第一印象は、あまり興奮するものではなかったかもしれません。
しかし、世の中の誰もが6や6sを使っているわけではありません。大きさや価格を理由に、iPhone 4Sや5、5sを使い続けている人もまだまだいるでしょう。画面にひびが入ったままiPhoneを使っている人を見るたびに、他人事ながら心配になるものです。
スマホ全体を見渡しても、4インチのiPhoneは小型かつ高性能という特殊なポジションにありました。ソニーモバイルのCompactシリーズなど一部を除けば、ハイエンドモデルは画面が大きいことが当たり前だったからです。その点、iPhone SEは5sのボディに6sの性能を詰め込んでおり、順当に進化しています。
日本での価格は、現在の為替レートより円安寄りに設定されているのが気になるものの、SIMフリーの64GB版でも6万4800円(税別)。10万円近いイメージのあったiPhone 6sに比べれば、比較的手頃です。
さまざまな理由でiPhone 6や6sをあきらめてきた人にとって、iPhone SEの登場はまさしく渡りに船といったところでしょう。今後の日本市場では、「実質0円」などの販売手法が制限され、中価格帯の需要が高まるものと予想されています。これもiPhone SEにとって強力な追い風になりそうです。
スマホ「2台持ち」の誘惑
このようにiPhone SEは、コンパクトかつ高性能で価格も手頃と、隙のない製品に仕上がっています。どんなポケットにも収まりやすく、メールやSNSのチェック、音楽プレイヤーといった常用スマホに最適です。NFCを搭載したことで、Apple Payが日本に上陸すれば決済にも可能性が広がります。
ただ、腰を落ち着けて電子書籍を読んだりゲームで遊んだりするには、画面の小ささが気になります。特に、5インチクラスの画面に慣れている人にとって、1インチの差は数字以上に大きな差に感じるはずです。
そこで試してみたいのが、iPhone SEと大画面のスマホの2台持ちです。大画面のiPhoneといえば「iPhone 6s Plus」があるものの、これまでは「大きすぎる」と敬遠してきた人も多いはずです。しかしiPhone SEを補完するという活用法であれば、話は変わってきます。ポケットではなくバッグに入れてしまえば、重さも気にならないからです。
iOS端末ばかりでは面白くないという人には、SIMフリーでも増えている大画面のAndroidスマホ、新しいプラットフォームを試してみたい人にはWindows 10 Mobileという選択肢もあります。格安SIMの充実により、2台のスマホを運用するコストはかつてなく下がっています。
理想をいえば、1台のスマホですべてをまかなえるに越したことはありません。いくつかの点で妥協しつつ、iPhone 6sやハイエンドのAndroidを1台持ち歩けば十分という人もいるでしょう。
しかしiPhone SEには、小型高性能という唯一無二の魅力があることも確かです。大画面に慣れてしまい、「4インチにはもう戻れない」という人にこそ、2台持ちを提案してみたいと筆者は考えています。
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