タイトルの充実が期待できるPSプラットフォームの強み
もちろん普及の鍵を握るのは、PSVRのコンテンツの充実が実現できるかどうかだ。
ハウス氏は、全世界で大手企業からインディーズ(独立系)開発者まで、230社以上の参入の表明があり、また、2016年末までに、50以上のタイトルの発売を予定していることを明らかにした。この数を集めることに成功できたのは、PSプラットフォームで長年ビジネスを展開してきたSCEの強みといえるだろう。
展示されていた20タイトルあまりのデモの中で、SCEが自社スタジオで開発している深海体験型のコンテンツ「THE DEEP」やアクションゲーム「The London Heist」などは体験済みで、その完成度の高さは知っている。なので、今回は意識的に未体験のゲームを遊ぶようにした。
何よりも感動したのが音楽シューティングゲーム「REZ Infinite」だ。
このゲームは、2001年にPS2とドリームキャスト用に発売された「Rez」のリメイク版だ。クリエイターの水口 哲也氏がセガに在籍していた時代に開発したゲームで、発売された当時から、作り出される世界を十分に楽しむためにはテレビモニターの狭さが制約と感じさせていた。
それが、やっとVRによって画面の狭さから解放され、空間の広がりを十分に感じられるようになったのだ。独特の浮遊感覚と、音楽とのマッチは、PSVRの没入感によって強化され、同じゲームなのにまったく違ったゲームのように感じさせる新しい体験へと変化していた。
水口氏も「15年でやっとここまで来た」と喜びを隠せない。VRを体験したときにREZは必ずリメイクしようと決めていたそうだ。「ずっとVRを作っていたけど、本格的なVRハードは思っていたよりも早く来た」とも話していた。
レースゲームの「DRIVECLUB」も非常に楽しめた。デモブースでは、専用のハンドルコントローラーを使ってプレーしたのだが、操作感覚は、現実の自動車を運転している感覚と大差ない。
これまでテレビモニターという画面サイズという制限を受けていた状態から解放されたインパクトは大きく、VR HMDによって最もメリットを受けられる分野だと感じられた。
ただ、ハンドルコントローラーがなく、ゲームコントローラーでプレーした場合に同じような感覚を得られるのかまではわからない。説明によると、傾きセンサーを使って操作できるので、かなりハンドルに近い感覚で操作可能ということだった。
レースゲームは、PSVRによって決定的に変わるジャンルになると考えられる。一度、狭いモニターでプレーしていたときにあった制限から解放されると、二度と戻ろうとは思えない。多様な自動車を操作できるのが今から楽しみだ。
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