日本マイクロソフトは、日本に根ざした企業へと変われたか
一方で、日本マイクロソフトの社名変更からも5年を経過したわけだが、もともとこの社名変更は、「日本に根ざした企業になりたい」という樋口泰行会長の想いを込めたものだった。
それから5年を経過し、はたして日本マイクロソフトは、日本に根ざした企業へと変わることができたのだろうか。
樋口会長は、「当時イメージしていたのは、かつての日本IBMのように、日本に根付いた会社であり、日本のお客様から信頼される会社であるということだった」と明かす。「日本マイクロソフトは、BtoCだけでなくBtoBの会社でもある。BtoBの事業を行なっていく上でも、お客様からの信頼感、パートナーからの信頼感というものは極めて重要。先進的なイメージを持ちながら、信頼されている会社であることを目指した」とする。
だが、5年を経過して、このイメージが達成されたかどうかという点については、自ら手厳しい評価を下す。
「以前は、一緒に手を組みにくい会社とか、話が通じない会社と言われたが、それは払拭しつつある」としながらも、「日本に根付いた会社かというと、そこまで言い切れる状況にはなっていない」と自己評価する。
「一面では、信頼され始めた部分もあるかもしれない。だが、こうした取り組みは、ちょっと油断するだけで一気にイメージが崩れたり、変わってしまうこともある。今後も、地道に、日本の企業に信頼される日本マイクロソフトを目指したい。この目標にゴールはない」とした。
そしてこうも語る。
「2015年7月に会長の立場になり、客観的な立場から日本マイクロソフトを見てみると、中の仕事が多すぎると感じた。会社全体がもっと外に出て行き、お客様と直接接点を持ち、高い親和性を維持できる関係へと発展させていくことが必要。 具体的には、お客様の課題にもっと食い込んだり、インダストリーごとの悩みまでわかるというところにまで踏み込んでいきたい。 これは、日本企業では当たり前のことだが、グローバルプレイヤーでありながら、そうしたメンタリティを持っているということが重要。それこそが、社名に『日本』と冠した企業の条件である」とする。
日本に根ざした企業となるためには道半ばというのが樋口会長の自己評価。そして、これは終わることがない挑戦だともいえる。
創立30周年に向けた取り組みは
ところで、今年5月に迎える日本法人の創立30周年だが、現時点では具体的な周年行事のプランはないという。
米マイクロソフトが、サティア・ナデラCEOのもとトランスフォーメーションを打ち出すなか、全社戦略として過去を振り返りにくい状況にあるのも事実。しかし、「日本は節目を大切にする国。また、それをビジネスツールとして活用できるというチャンスにもつながる。何かしらの取り組みをやっていきたい」と樋口会長は語る。
創立30周年に向けて、日本マイクロソフトはどんな仕掛けを用意しているのか。これから楽しみである。
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